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頑張っても給料が上がらないのは、あなたの努力不足とは限らない
仕事を真面目にやっている。
人より早く処理している。
周りが困っている業務も拾っている。
資格も取った。改善提案もした。後輩の面倒も見た。
それでも給料が上がらない。
このとき、多くの人は「自分の頑張りが足りないのか」と考えてしまいます。けれど、給料は必ずしも「頑張りの量」で決まるわけではありません。
給料は、かなり冷たく言えば、次のような条件で決まりやすいです。
- その仕事をできる人がどれくらいいるか
- その人が辞めたら会社がどれくらい困るか
- 他社でも同じ能力が高く売れるか
- 会社に給料を上げる余力や制度があるか
- その人が本当に外へ移れる状態か
- その業界・職種・地域の賃金水準がそもそも高いか
つまり、努力は大事です。
ただし、努力そのものが直接給料になるわけではありません。
努力が給料に変わる場所に置かれているか。
これが重要です。
給料は「頑張り」より「市場」で決まりやすい
たとえば、同じように頑張っていても、地方の古い中小企業で働く人と、成長産業の高単価職種で働く人では、年収の上がり方がまったく違うことがあります。
これは性格や根性の問題ではありません。
労働市場の問題です。
内閣府の経済財政白書でも、人手不足の中では、賃金がシグナルとなって、希少な労働力がより生産性の高い部門やニーズの高い部門へ移動することが期待される、と整理されています。つまり、社会全体としても「必要な場所へ人が移ること」が重要なテーマになっています。
ここで大事なのは、会社の中だけを見ていても、自分の値段は見えにくいということです。
今の会社では「便利な人」でも、外の市場では「業務改善ができる人」かもしれない。
今の会社では「余計なことを言う人」でも、別の会社では「課題を構造化できる人」かもしれない。
今の会社では「ただの担当者」でも、別の市場では「仕組み化・教育・改善ができる人」と評価されるかもしれない。
会社の評価と市場の評価は、必ずしも一致しません。
会社は、上げなくても辞めない人の給料を上げにくい
ここは少しきつい話です。
会社側から見ると、「給料を上げなくても辞めない人」は、給料を上げる優先順位が下がりやすいです。
もちろん、すべての会社がそうだとは言いません。
社員を大切にして、能力や貢献に応じてきちんと処遇する会社もあります。
ただ、現実にはそうでない会社も多いです。
真面目に働く。
文句を言わない。
穴があれば埋める。
困っている人を助ける。
でも転職はしない。
強く交渉もしない。
この状態になると、会社から見ると非常に都合がいい人材になります。
本人は善意でやっている。
でも会社側からは「安定して使える人」になる。
そして、気づいたら「頑張っているのに上がらないレーン」に固定される。
これは努力不足ではありません。
設計の問題です。
「社内で頑張る」と「市場で高く売れる」は別
頑張ること自体は悪くありません。
むしろ、能力を伸ばすには一定の努力が必要です。
ただし、その努力が「社内専用ポイント」になっていないかは見た方がいいです。
たとえば、次のような努力は社内では便利でも、外に出たときに説明しづらいことがあります。
- 上司の好みに合わせて動く
- 明文化されていない空気を読む
- 属人化した雑務を大量に拾う
- 評価されない調整役を続ける
- 何でも屋として穴埋めする
一方で、次のような努力は市場価値に変換しやすいです。
- 数字で説明できる改善実績を作る
- 業務フローを標準化する
- Excel、VBA、RPA、AIなどで手作業を削減する
- 教育資料やマニュアルを作る
- 採用・労務・営業・制作など、職種名として伝わる経験にする
- ポートフォリオや職務経歴書に書ける成果を残す
同じ頑張りでも、外に持ち出せる努力と、会社の中で消える努力があります。
どうせ頑張るなら、外に持ち出せる形にした方がいいです。
頑張り搾取レーンから抜けるチェックリスト
今の会社で頑張り続けるべきか迷ったら、次を確認してみてください。
- 自分の成果は数字や実績として説明できるか
- その成果は職務経歴書に書けるか
- 同じ能力を他社でも評価してもらえそうか
- 給料を上げる制度や実績が会社にあるか
- 上司の好みではなく、職種・市場で評価される能力が伸びているか
- 自分が辞めても会社が困るだけで、自分の給料は上がらない構造になっていないか
- 会社の穴を埋めるほど、自分の市場価値ではなく会社依存度だけが上がっていないか
このうち多くが怪しいなら、そこは「頑張れば報われる場所」ではなく、「頑張りを吸われる場所」かもしれません。
努力は否定しない。置き場所を変える
この記事で言いたいのは、「頑張るな」ではありません。
むしろ逆です。
頑張れる人ほど、頑張りの置き場所を選んだ方がいいです。
努力できる人は強いです。
学べる人も強いです。
改善できる人も強いです。
ただ、その力を「安く使われるレーン」に置き続けると、会社の穴埋めに消えてしまいます。
会社の評価だけを待つのではなく、市場でも評価される形に変換する。
社内の便利屋ではなく、外でも説明できる成果にする。
上司の気分ではなく、職務経歴書に残る実績を作る。
これが、頑張りを回収する方向です。
まとめ
頑張っても給料が上がらないとき、まず見るべきなのは「自分の根性」ではありません。
見るべきなのは、
- その会社に給料を上げる制度があるか
- その業界・職種の賃金水準が高いか
- 自分の努力が市場価値に変わっているか
- 自分が外へ移れる状態か
- 会社の穴埋めで終わっていないか
です。
努力は大事です。
でも、努力を安売りする必要はありません。
頑張るなら、頑張りが自分の市場価値として残る場所で頑張った方がいい。
会社に吸われる頑張りではなく、自分に返ってくる頑張りに変えていきましょう。
FAQ
Q. 今の会社で頑張るのは無駄ですか?
無駄とは限りません。実績・経験・スキルとして外に説明できる形で残るなら意味があります。ただし、社内の空気読みや雑務処理だけで消える努力は、職務経歴書に残りにくいです。
Q. 転職しないと給料は上がりませんか?
会社によります。昇給制度が機能している会社なら社内で上がることもあります。ただし、上がる仕組みがない会社で待ち続けるより、市場を見た方が早い場合もあります。
Q. 頑張っているのに評価されないのは自分が悪いですか?
必ずしもそうではありません。評価制度・上司・会社の利益構造・業界水準の問題もあります。自責だけで考えず、「その努力が値段に変わる場所か」を見た方がいいです。
参照元
- 内閣府「令和6年度 年次経済財政報告 第2章 第2節 労働移動に係る現状と課題」
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je24/h02-02.html - 厚生労働省「労働市場をめぐる現状と課題等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001670967.pdf
