Excel管理表を作っただけで改善したことにするな

会議、1on1、Excel管理表を増やしても、真因に触れなければ仕事は減らない。管理のための管理がブルシットタスク化する構造を整理する。

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この記事で言いたいこと

会社では、何か問題が起きるとすぐに「打ち合わせを増やす」「Excel管理表を作る」「1on1をする」「話し合う」という方向に行きがちだ。

でも、それで本当に何が変わったのか。

  • 作業は減ったのか
  • 判断は早くなったのか
  • 手戻りは減ったのか
  • 滞留は減ったのか
  • 誰かの負荷は下がったのか
  • 次回から管理しなくても回る状態に近づいたのか

ここに答えられないなら、それは改善ではなく、管理のための管理でしかない。

管理表を作った。
会議を増やした。
1on1を始めた。
話し合いの場を作った。

それ自体は成果ではない。

成果は、仕事が減ること。
仕事が早くなること。
問題が再発しにくくなること。
人が無駄に削られなくなること。

ここを見ないまま「改善しました」と言うのは、ただの改善ごっこだと思う。


「困りました、動きました、Excel管理表を作りました」で終わる違和感

たとえば、こういう発表がある。

内示が出ない。
だから訪問した。
そしてExcel管理表を作った。

一見すると、ちゃんと動いているように見える。

問題があった。
現場に行った。
管理表を作った。

たしかに、何もしていないよりは動いている。

でも、本当に重要なのはそこではない。

問いはこれだ。

Excel管理表によって、何が変わったのか。

内示が出ない原因は何だったのか。
顧客側の判断が遅いのか。
社内側の確認が遅いのか。
担当者が止めているのか。
フォーマットが悪いのか。
催促タイミングが曖昧なのか。
誰が何を判断するか決まっていないのか。

その原因に対して、Excel管理表は何を変えたのか。

  • 未回収件数が減ったのか
  • 平均回収日数が短くなったのか
  • 催促回数が減ったのか
  • 担当者別の滞留が見えるようになったのか
  • 先回りでリスクを拾えるようになったのか
  • 訪問すべき先とメールで済む先を分けられたのか
  • 次回以降、そもそも内示が止まりにくくなったのか

ここまで見て初めて「改善」と言える。

管理表を作っただけでは、ただの表である。


管理表は成果ではなく、ただの一時的な足場

Excel管理表は便利だ。

状況を一覧化できる。
抜け漏れを見つけられる。
担当者を見える化できる。
会議で説明しやすい。
上司に見せやすい。

だから、改善っぽく見える。

でも、管理表はあくまで手段であって、成果ではない。

管理表を作ること自体は、工事現場で足場を組むようなものだ。
足場を組んだだけで家が建ったわけではない。

本来は、管理表を使って問題の位置を特定し、原因をつぶし、最終的には管理表なしでも回る状態に近づけるべきだ。

ところが、実際には逆になりがちだ。

管理表を作る。
管理表を更新する。
更新漏れを確認する。
管理表をもとに会議する。
会議の議事録を書く。
議事録を確認する。
次回会議でまた管理表を見る。

結果として、問題そのものよりも、問題を管理する仕事が増えていく。

これは改善ではない。

ただの作業追加だ。


管理のための管理が増えると、忙しさは自作自演になる

「忙しい、忙しい」と言う職場ほど、なぜか仕事を増やす方向に行くことがある。

問題がある。
では会議を増やそう。
では管理表を作ろう。
では1on1を増やそう。
では話し合いの場を作ろう。
ではイベントを増やそう。
ではアンケートを取ろう。
では振り返り資料を作ろう。

そうやって、忙しさを減らすための施策が、さらに忙しさを作る。

これはかなり危ない。

本当に忙しいなら、最初に見るべきなのは「何を追加するか」ではなく、何をやめるかだ。

  • この会議は本当に必要か
  • この管理表はまだ必要か
  • この入力項目は誰が使っているのか
  • この確認は二重化していないか
  • この1on1は通常業務で吸収できないのか
  • この報告は意思決定につながっているのか
  • この資料は誰の何を変えているのか

ここを見ないまま施策を足すと、仕事は減らない。

むしろ増える。

そしてまた「忙しい」と言う。

それはもう、外から見ると自滅に近い。


打ち合わせすれば解決、1on1すれば解決、ではない

打ち合わせは悪ではない。
1on1も悪ではない。
Excel管理表も悪ではない。

問題は、それらを「解決策そのもの」と勘違いすることだ。

打ち合わせは、何かを決めるためにある。
1on1は、放置すると見えない詰まりや不安を拾うためにある。
管理表は、異常や滞留を見つけるためにある。

つまり、全部「手段」だ。

打ち合わせをしただけで解決したわけではない。
1on1をしただけで育成できたわけではない。
管理表を作っただけで改善したわけではない。

本当に見るべきなのは、その後だ。

  • 決まったのか
  • 動いたのか
  • 止まっていたものが進んだのか
  • 誰かの迷いが減ったのか
  • 同じ確認をしなくて済むようになったのか
  • 次回以降、会議なしで判断できるようになったのか

打ち合わせをした結果、さらに打ち合わせが増える。
1on1をした結果、さらにフォロー面談が増える。
管理表を作った結果、さらに管理表の管理が増える。

これでは意味がない。


真因を触らない改善は、やるだけ無駄になる

問題が起きたとき、表面の症状だけ見て施策を足すと失敗しやすい。

たとえば、離職理由として「仲間がいない」「新しい仕事がない」「イベントがない」という言葉が出てきたとする。

それをそのまま受け取って、

  • 交流イベントを増やす
  • 懇親会を増やす
  • 1on1を増やす
  • 若手プロジェクトを増やす
  • 社内行事を増やす

とやると、現場のタスクが増えるだけかもしれない。

本当に見るべきなのは、もっと下にある構造だ。

  • 仕事の役割が曖昧ではないか
  • 判断者が決まっていないのではないか
  • 上司が詰まって仕事が止まっていないか
  • 現場リーダーに責任だけ落ちていないか
  • 頑張る人ほど損をする構造になっていないか
  • 成長実感ではなく、便利屋化していないか
  • 仕事の意味や評価につながる経験が渡されているか

真因に触れずに施策を足すと、問題は消えない。

むしろ、問題の上に新しい作業が積み上がる。

それは改善ではなく、問題の装飾だ。


QCでは深掘りを求めるのに、実際の改善は浅く通る矛盾

腹立たしいのは、ここだ。

QCや改善活動では、真因を探せと言われる。
なぜなぜ分析をしろと言われる。
筋を通せと言われる。
もっと分かりやすくしろと言われる。
理解される資料にしろと言われる。

深掘りが足りない。
論理が弱い。
伝わらない。
ここを直せ。
あそこを直せ。

そうやって大量に赤ペンを入れられる。

それなのに、実際の組織運営では、

  • 打ち合わせします
  • 管理表を作ります
  • 1on1します
  • 話し合います
  • 意識を変えます
  • 交流を増やします

くらいの粒度が普通に通る。

これはかなり気持ち悪い。

本気で真因を見ろと言うなら、現実の離職対策や業務改善でも同じように見るべきだ。

でも実際には、深い分析ほど燃えやすい。
誰かの責任や構造に触れるからだ。

一方で、浅く丸い施策は通りやすい。
誰も傷つけないし、やっている感が出るからだ。

つまり、評価されているのは論理の強さではなく、組織が飲み込みやすい丸さなのかもしれない。

そこに気づくと、かなりアホらしくなる。


「論理=自分の考え」になっている人の赤ペンはきつい

もう一つきついのは、「論理」という言葉が人によって全然違うことだ。

本来の論理は、

  • 前提がある
  • 根拠がある
  • 原因と結果がつながっている
  • 打ち手が原因に対応している
  • 読み手が追える順番になっている

というものだと思う。

でも、組織によっては「論理」が、実質的にこうなることがある。

自分が納得しやすい順番かどうか。 自分の考えと合っているかどうか。 自分が見たい結論に向かっているかどうか。

この場合、どれだけ筋が通っていても、相手の脳内ルートに合っていなければ「分かりにくい」と言われる。

逆に、筋が浅くても、相手が好きな型に乗っていれば通る。

これはかなりしんどい。

深く考えた人が直され、浅く丸めた人が通る。
真因に近づいた人が危険物扱いされ、表層施策が評価される。

そういう環境では、正確に分析するほど不利になることがある。


ブルシットジョブではなく、ブルシットタスクが増えている

こういう職場で増えるのは、いわゆる「ブルシットジョブ」そのものというより、日々の中に入り込むブルシットタスクだと思う。

つまり、ひとつひとつは仕事っぽい。

  • 管理表を更新する
  • 管理表の更新漏れを確認する
  • 会議で管理表を見る
  • 会議のために資料を作る
  • 1on1の記録を残す
  • 話し合いの議事録を作る
  • 施策の進捗を確認する
  • 進捗確認のための打ち合わせを入れる

でも、それが本当に価値を生んでいるのかは怪しい。

もし、それをやめても顧客価値も品質も納期も安全も人の成長も変わらないなら、それはかなり危ない。

さらに、それによって現場の負荷が増えているなら、もはや有害ですらある。

ブルシットタスクは、基盤の強い会社ほど生き残りやすい。

会社に体力があるから、多少無駄なことをしてもすぐには壊れない。
顧客がいるから、運用が多少アホでも売上は残る。
現場が頑張るから、管理職の詰まりも吸収される。
人が辞めても、残った人が埋める。

だから、無駄が温存される。

外から見ると安定企業。
中から見ると、基盤の強さでアホな運用を耐えているだけ。

このズレがある。


本当にやるべきことは「追加」ではなく「削減」と「真因処理」

本当に改善するなら、まず追加ではなく削減を見るべきだ。

  • 会議を増やす前に、会議なしで判断できるルールを作る
  • 管理表を増やす前に、既存の管理表を統合・廃止する
  • 1on1を増やす前に、日常業務で詰まりを拾える状態にする
  • 話し合いを増やす前に、誰が何を決めるかを明確にする
  • イベントを増やす前に、普段の仕事で安心して相談できる状態を作る
  • 施策を足す前に、負荷がどこに偏っているかを見る
  • やっている感を出す前に、何が減ったかを見る

改善とは、仕事を増やすことではない。

改善とは、必要な成果をより少ない負荷で出せるようにすることだ。

だから、最終的な問いはこれでいい。

それをやった結果、何が減ったのか。 何が早くなったのか。 誰が楽になったのか。 何が再発しにくくなったのか。 次回から管理しなくても回るようになったのか。

ここに答えられないなら、その施策はかなり怪しい。


社内で言える無難な言い方

本音では、こう思う。

管理表を作っただけで改善ヅラするな。
打ち合わせを増やしただけで解決ヅラするな。
1on1を免罪符にするな。
管理のための管理を増やすな。
真因を消して、仕事を減らせ。

ただし、これをそのまま社内で言うと燃える。

だから、社内で言うならこのくらいに薄めるのが現実的だ。

管理表を作ること自体よりも、それによって未回収件数・確認工数・滞留時間・手戻りがどう減ったのかまで見たいですね。

または、

忙しさを減らすには、追加施策だけでなく、既存の管理・会議・確認作業を減らす観点も必要そうですね。

または、

施策を増やす前に、どこで業務が止まっているのか、誰に負荷が寄っているのかを確認した方がよさそうです。

このくらいなら、まだ角が立ちにくい。

でも、自分用の本音としては、もっとシンプルでいい。

仕事を減らさない改善は、改善ではない。 真因を消さない施策は、作業追加でしかない。 管理表は成果ではない。


まとめ

会社は、問題が起きるとすぐに何かを足したがる。

会議を足す。
管理表を足す。
1on1を足す。
話し合いを足す。
イベントを足す。
確認を足す。

でも、それで本当に仕事が減ったのか。

そこを見ないまま「改善」と言うのは危ない。

管理表を作ることは悪くない。
打ち合わせをすることも悪くない。
1on1をすることも悪くない。

ただし、それらは手段であって成果ではない。

成果は、仕事が減ること。
判断が早くなること。
負荷が下がること。
再発しにくくなること。
人が無駄に削られなくなること。

管理のための管理を増やして、また忙しいと言うなら、それは自分たちで忙しさを作っているだけだ。

改善とは、何かを足すことではない。

真因を見て、不要な作業を減らし、管理しなくても回る状態に近づけること。

Excel管理表を作っただけで、改善したことにしてはいけない。


公開時の注意

  • 実在の部署名、役職名、個人名、具体的な社内発表内容は出さない。
  • 「死ね」「アホ」などの生ログ表現は本文では一般化しているため、このまま公開可能。
  • 会社批判ではなく、業務改善一般論として公開する。
  • 「ブルシットジョブ」という語は強いので、公開先の読者層によっては「無意味タスク」「管理のための管理」に置き換えてもよい。

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