5秒で結論
勝ったとき「当然」、負けたときだけ強く腹が立つなら、勝率が高くても感情収支は赤字になり得る。カードゲームは最善手を打ってもドローという制御不能な分散が残る。アクションゲームは操作・読み・立ち回りで取り返せる場面が多い。さらに配信者ルームでは、自分の行動に対する人間のリアクションが数秒遅れで返ってくる。
同じ対人ゲームでも、報酬の設計が違う。
ダイヤなのに毎日引退しても矛盾しない
『Shadowverse: Worlds Beyond』公式ヘルプでは、BP/MPは負けても減少しない一方、グループは直近の勝敗状況に応じて昇降する。Grand Master昇格時の初期CRも直前グループで変わり、Diamondは高いグループのひとつだ。
だから「1敗でBPが減らない」と「Diamondにいるのは最近の戦績がそれなりに良い」は両立する。
しかし、どちらも「楽しい」を保証しない。
10戦6勝4敗。
6勝:「まあ勝つでしょ」
4敗:「それ引く!?」「俺のカードどこ!?」「何やってんだお前ェ!!」
戦績:+2。
感情:破産。
ゲーム「トータルでは勝っています」
脳「知らん。直近の1敗について説明しろ」
ニアミスは腹が立つのに、もう一回押させる
Candy Crushを使った実験では、勝利、通常の敗北、ニアミスを比較したところ、ニアミスは覚醒度が高く、最もフラストレーションが強く、通常敗北より「続けたい」という衝動も強かった。
カードゲームの「あと1点だった」「次ターンなら勝っていた」「その1枚だけが相手の回答だった」は同じ実験ではないが、「目標にかなり近づいたのに達成できない」という構造は似ている。
惜敗 → キレる → 引退会見 → デッキ2枚変える → 再戦。
毎日引退会見ちゃん、翌日も出勤。
ゲームは自動的に健康に悪いわけではない
ゲーム中の生理反応研究は一枚岩ではない。ジャンル、競争性、状況を「挑戦」と見るか「脅威」と見るかなどで反応は変わる。ある研究ではfighting gameでpuzzleより心血管反応が強かった一方、fighting gameではpositive affectも高かった。
別のメタ分析でも、デジタルゲームは「ゲームだから」一律にストレス源になるのではなく、ゲーム特性や研究設計によって生理反応が大きく変わるとされる。
だから「シャドバ=毒、スマブラ=野菜」とは科学的には言えない。
ただ、特定のゲームで毎回強く怒り、プレイ時間が伸び、睡眠まで削るなら、その遊び方が健康的な休息とは言いにくい。
配信者ルームは、負けても報酬が残る
配信者のルームに入り、別画面で配信を流す。すると自分が数秒前にやった行動が、数秒後に実況として返ってくる。
自分:撃墜。
数秒後の配信者:「うわあああああ!」
自分:☺️
勝敗とは別に、社会的フィードバックが発生する。
4人対戦から最後の2人まで残り、1ストック対3ストックをひっくり返したなら、報酬は「勝利+1」だけではない。不利 → 適応 → 癖読み → 逆転 → 人間のリアクション。一本のミニスポーツドキュメンタリーになる。
Self-Determination Theoryを使ったマルチプレイヤー実験では、実在する共遊者、コミュニケーション、チームプレイがcompetenceやrelatednessを支え、それらの充足がenjoymentやwell-beingと関連した。
配信者ルームは同じ実験条件ではないが、「人間がそこにいて反応する」という追加報酬があるのは明らかだ。
「基礎力で事故を踏み潰せる」の気持ちよさ
アクションゲームにもラグ、相性、ステージ、乱数はある。でも、間合い、着地狩り、復帰、撃墜択、癖読みなど、試合中に実力を出す場所が何度もある。
一度事故っても「まだ生きてる → 次の読み合いで取り返す」ができる。
カードゲームでは、ときに「最善手 → 相手が唯一の回答をトップ → 終了」が起こる。体感コントロールの差は大きい。
結論
ゲームの幸福度を見るなら、勝率だけでなく負けても残る報酬を数えた方がいい。
- 上達を感じる
- 自分の操作で逆転できる
- 面白い場面が残る
- 人間のリアクションが返る
- 負けても「今日おもろかった」と言える
これが多いほど、「勝ち+0、負け-10」地獄から離れられる。
そして毎日引退して翌日起動するなら、それは引退ではない。
デイリーミッションである。
