17時にゲームの新カード環境が始まる。それまで暇だ。面倒な自転車処分は外注した。シミュレーターは新データ待ち。そこで「おでんでも食べるか」と、うどん屋へ向かった。
途中、キックボードで走る、見た目が小学5年生くらいの子が通過した。夏、夕方、キックボード、ゲーム更新待ち。脳内タイトルは即座に『キックボードをする小学生が見られるのは夏休みだけですか?』になった。完全に日常アニメである。ただし主人公の目的はカフェでも恋でもない。おでんである。
1. うどん屋に来て「おでんだけ食べたいです」
到着したのは愛知県豊川市の「さぬき路」。公開情報では、うどんとおでんを扱い、セルフ方式を前面に出している。2026年8月27日時点で地図系データは4.2/5・285件、Yahoo!マップは3.93/5・37件。つまり今回の話は「ダメな店」ではない。むしろ味と評判は強い。でも初見客にはローカルOSの説明が必要だったという話だ。[R1][R2][R3]
「おでんだけ食べたいです」――許された。うどん屋でうどんを頼まない。第一関門突破。
2. 全部セルフなのに、おっちゃんが全部教える
セルフなら自分でやる。しかし初見では「どれを取る?」「どこへ進む?」「いつ払う?」が一瞬では分からない。さらにスマホ決済が回線の都合でもたついた。
するとおっちゃん介入。「あーして、こーして」と説明してくれる。そこからなぜかキャリア回線やスマホの話まで始まる。
全部セルフの店で、セルフの説明を受けながら通信インフラ談義をする。
有人店より会話している。もはや店員ではない。常駐チュートリアルNPCである。
3. 大根が強すぎる。おでんは味しみゲー
最初の評価は「まあまあうまい」。しかし大根を食べた瞬間、「あー大根うめえわ」に更新された。
結局、おでんはかなり「味しみゲー」だ。中心まで出汁が入っているか、柔らかいか、熱さはどうかで戦闘力が変わる。
今回の個人的Tierは、S:大根、A〜S:はんぺん、B:玉子、B:こんにゃく。紀文食品の調査でも大根はおでんの人気具材の上位常連。はんぺんも食感実験で柔らかく歯切れがよい具材として示されている。[R6][R7]
4. 汁がうますぎて水筒に入れたくなる。なお夏
出汁がうまい。そこで脳内に生えたのが、『おでんの汁は水筒ですか?』。
しかし季節は夏。外も熱い。水筒の中も熱い。本人も熱い。外35℃、水筒80℃、本人「うまい」。 正気ではない。作品タイトルは『ご注文は火傷ですか?』になる。
5. 先会計は追加注文を弱くする
先に会計すると、食べている途中で「もう一個ほしい」と思っても、再び注文・会計へ戻る必要がある。300円の商品に体感500円分の面倒くささが乗る。
そこで今回は、帰りに別の店で餃子を持ち帰る方針に変更。ただしその店は電話予約。今は別の店内にいる。店内から別の店へ電話しにくい。タスク管理は続く。
6. 最後の罠:返却口が見えない
食べ終わった。全部セルフなら食器も返却するだろう。しかし、返却口の表示が見当たらない。
「ここだけセルフじゃないのか?」
分からないのでおっちゃんに聞く。「これ、どこに返せばいいですか?」「ここに置いて」
見る。ありました。 ただし、書いてない。
ここで物語が完成した。入店から退店まで、セルフの操作方法を人間が案内している。全部セルフなのに、おっちゃんが最初から最後まで必要。
7. 他の客も「セルフとかあるんや」
近くにいた同世代くらいのカップルからも、「セルフとかあるんや」という反応が聞こえた。自分だけが迷ったなら個人差で終わるが、別の初見客も仕組みを発見しているなら、そこには初回学習コストがある。
ただし店の評判自体は高い。つまり、常連には速い。初見にはチュートリアルがいる。二周目からは高速周回できる店だ。
8. これ、めんどいから自動化する思想と同じだった
セルフサービスは、店員がしていた作業を客へ移す。自動化は、人間がしていた作業をシステムへ移す。どちらも「移す」だけでは完成しない。
「次に何をするか分からない」「例外が起きた」「決済が止まった」「返却先が分からない」となれば、人間サポートが戻ってくる。自動化でも、毎回「このファイルを開いて」「失敗したら再実行して」「ここだけ手で判断して」「終わったらそこへ移して」と人間が指示しているなら、それは人間チュートリアルNPC付き半自動化だ。
セルフ店のおっちゃんを見て、「あ、これ自動化でずっと潰そうとしてるやつだ」となる。研究でも、セルフサービス技術の満足度には使いやすさ、制御感、信頼性などが関わり、別の研究では技術が自由や制御を増やす一方で混乱や新しい作業も生む「技術パラドックス」が論じられている。[R4][R5]
9. 良いセルフ化・良い自動化の条件
- 次に何をするか見れば分かる。
- 例外時だけ人が出る。
- 追加処理や再実行が簡単。
- 終了条件が明確。
- 初見客でテストする。
作った本人だけが使える仕組みは、まだ完成していない。
10. 結論:大根は強い。おっちゃんも強い。UIはもっと強くできる
17時のゲーム更新を待つ。自転車処分は外注。夏休みアニメみたいなキックボード小学生を見る。うどん屋へ行く。おでんだけ食べる。大根が強い。はんぺんもうまい。決済でおっちゃんが来る。通信回線の話になる。別店の餃子を予約したいが店内なので電話しにくい。食べ終わる。返却口が分からない。おっちゃんに聞く。そこにあった。書いてなかった。
人間の作業を別の場所へ移しただけでは、仕組み化ではない。説明・例外処理・終了条件まで設計して、初めて「めんどくない」になる。
セルフうどん屋でおでんを食べながら、自動化設計の本質に到達した。
ただし理論より大事なこともある。大根はうまかった。
オデンデンデデン。
