基礎代謝は先天性ガチャ?筋肉でどこまで変えられるのか

基礎代謝が高い人と低い人は何が違う? 筋肉、内臓、遺伝の研究を数字で比べ、プロテインで痩せやすい体を作れるのか考える。

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説明: 基礎代謝が高い人と低い人は何が違う? 筋肉、内臓、遺伝の研究を数字で比べ、プロテインで痩せやすい体を作れるのか考える。

「基礎代謝が高いのは筋肉が多いから?」

そう思って調べると、まず筋肉が登場する。ところが話を進めると、肝臓、脳、腎臓、遺伝まで出てくる。

いや、そのへん自分でカスタマイズできないじゃん。

このツッコミは正しい。基礎代謝には自分で変えやすい部分と、変えにくい部分がある。ただし「高い=遺伝ガチャ勝利」と判定するのも早い。

まず基礎代謝の勝負を決めるのは誰か

基礎代謝は、安静にして生命を維持するために使うエネルギー。通常の運動や歩行で使う分は別だ。家庭用体組成計の表示は、直接測定した値ではなく推定値であることが多い。

2005年の成人150人の研究では、人による基礎代謝の違いについて、脂肪以外の組織量で63%、脂肪量で6%、年齢で2%が統計的に説明された。約26%は、このモデルで説明されなかった[1]。

重要なのは「脂肪以外=筋肉だけ」ではないこと。内臓、骨、血液なども含む。この63%は個人のカロリー内訳でも、筋肉を増やした際の上昇率でもない。

筋肉、まさかの省エネ社員

安静時に組織1kgが1日で消費するエネルギーの目安は、骨格筋が約13kcal、脂肪が約4.5kcal、肝臓が約200kcal、脳が約240kcal、心臓や腎臓が約440kcal[2]。

肝臓の数字がおかしい。こっちは筋トレしているのに、あちらは座っているだけで圧倒的な働きぶり。

もちろん筋肉は全身に大量にあるので、基礎代謝にしっかり貢献する。ただ、仮に筋肉が5kg増え、そのほかが変わらないという単純なモデルなら、安静時の増加は約65kcal/日だ。実際の変化は組織の入れ替わりなどで異なる。「5kg鍛えたから毎日数百kcalが無料で燃える」は期待しすぎ。

では遺伝ガチャは存在するのか

遺伝の影響も研究されている。1989年の家族・双生児研究では、年齢・性別・脂肪以外の組織量を調整したあとに残る安静時代謝の個人差の約40%に遺伝的影響が推定された[3]。

ここ、数字の罠。「基礎代謝の40%がDNAで固定」ではない。調整後に残った個人差についての、対象集団内での推定だ。体格の違いそのものにも遺伝と環境は関係するし、研究規模や条件によって数字は変わり得る。

つまり、初期ステータスの差はある。でも体組成計の数字を見ただけでは、その人の遺伝ガチャの結果は分からない。

自分で操作できるステータスはどれ?

筋肉量は、運動と十分な食事によって少しずつ変えられる。49研究・1,863人をまとめた分析では、筋トレを行う人のたんぱく質補給は、筋肉量や筋力の伸びを平均的に少し上乗せしていた[4]。

ただしプロテインは筋肉を勝手に増やす魔法の粉ではない。食事で必要なたんぱく質を取れていれば、粉を追加する必要はない。筋トレ、十分な食事、休息が基本だ。

そして「痩せやすくなる」が目標なら、見るべきは基礎代謝だけではなく1日の総消費エネルギー。歩く、運動する、日常的によく動くといった部分は調整しやすい。食べる量とのバランスも体重の変化を左右する。

筋肉は見た目だけでなく、筋力や運動能力を高め、活動を続けやすくする価値がある。基礎代謝の微増だけで評価するのは、筋肉に対して失礼かもしれない。

結論:ガチャはある。でも攻略対象は別

基礎代謝は「筋肉+内臓+体格+生理的な状態+遺伝的な差」の結果。筋肉は数少ない調整可能な要素だが、基礎代謝を劇的に増やすレバーではない。

「操作できるの、筋肉くらいじゃん」→その通り。ただし痩せやすさを攻略するなら、筋肉だけでなく活動量も操作できる。

肝臓に筋トレメニューは渡せない。自分が歩くほうが早い。

参考資料(4件)

  1. Johnstone AM et al. (2005). Factors influencing variation in basal metabolic rate. American Journal of Clinical Nutrition. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16280423/
  2. Wang Z et al. (2010). Specific metabolic rates of major organs and tissues across adulthood. American Journal of Clinical Nutrition. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20962155/
  3. Bouchard C et al. (1989). Genetic effect in resting and exercise metabolic rates. Metabolism. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2657322/
  4. Morton RW et al. (2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. British Journal of Sports Medicine. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28698222/

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