日本語|1TB SSDが2万円超えで「安い」だと?──2026年のSSD価格は本当に壊れているのか、5年推移とM2 Macの買い時
1. 1TBを探しただけなのに、財布が先にエラーを吐いた
M2 MacにUSBでつなぐ1TBの外付けSSDが欲しい。
条件だけ見れば簡単である。USB-C、1TB、できれば読み込み1,000MB/s前後。ところが2026年夏の価格比較を見ていくと、USB 10Gbps級の1TB外付けSSDが**2万円台前半で「安い側」**に入ってくる。
そこで出てくる感想は一つしかない。
たけえええええええええ。
数年前には1TBのNVMe SSDが6,000円前後で特売されていた記憶があるのに、今は2万円台で「お買い得」。価格の単位が同じだけで、世界線が違う。
この記事の主質問は単純だ。
2026年の1TB SSDは本当に高すぎるのか。直近5年でどう動き、M2 Macユーザーは今買うべきか、待つべきか。
結論から言うと、高い。気のせいではない。ただし、2023年の激安内蔵NVMeと2026年の完成品外付けSSDをそのまま比較すると盛りすぎる。規格差を分けて見ても、2025年末から2026年にかけてSSD市場全体が上向いたことは確認できる。
2. 5年の実売スナップショットを見ると、2023年が異常に安かった
同じ型番を5年間追った完全な指数ではなく、秋葉原の店頭調査などから「その時代に1TB級がどの辺まで下がっていたか」を並べるとこうなる。
| 時期 | 1TB級SSDの代表的な実売スナップショット | 空気 |
|---|---|---|
| 2021年7月 | NVMe 960〜1,024GB 最安10,799円、平均13,044円 | 1万円前後へ |
| 2021年12月 | NVMe 最安8,900円、平均9,468円 | 1万円割れが普通に見える |
| 2022年9月 | NVMe 最安8,980円 | 9千円前後 |
| 2023年3月 | NVMe 1TB 特価5,980円 | 価格崩壊祭り |
| 2024年5〜8月 | 高速1TB 9,780円、廉価品6,980〜9,680円の例 | まだ安い |
| 2025年8月 | NVMe 1TB 9,680円、SATA 960GB 6,500円 | まだ1万円前後 |
| 2025年12月 | 一部SATA 1TBが12,870〜12,980円へ上昇 | 風向きが変わる |
| 2026年夏 | 日本のUSB 10Gbps外付け1TBが2万円台前半、世界の1TB内蔵SSD街頭価格も高値 | 財布に非常事態宣言 |
2021年の秋葉原調査ではNVMe 1TB級の平均が1.3万円ほどだったが、年末には平均9,468円まで低下。 2022年9月も最安8,980円だった。
そして2023年3月、NVMe 1TBが5,980円。調査時点の過去最安として報じられた。
ここが記憶を破壊する。
一度「1TB=6千円」を見てしまうと、その後1万円でも高く見える。2万円なら当然、脳内価格.comが警報を鳴らす。
2024年も7,000MB/s級の1TBが9,780円という特価があり、別の調査ではIntel 670p 1TBが6,980円、Crucial P3 Plus 1TBが9,680円などの例があった。
2025年8月にもNVMe 1TB 9,680円、SATA 960GB 6,500円が確認されている。 ところが年末になると、SanDisk SSD Plus 1TBが12,870円、Kingston A400 960GBが12,980円など、値上がりが目立ち始めた。
つまり「昔は安かった気がする」は、かなり正しい。
3. ただし「2023年5,980円」と「2026年2万円台」を一本の線で結ぶのは雑
ここは一度だけ整理しておく。
2023年の5,980円は内蔵M.2/NVMeの特価品。今回探しているのはUSB-CでそのままMacにつなげる完成品の外付けSSDだ。
外付けにはSSD本体だけでなく、USB変換コントローラー、筐体、ケーブルまたは直挿し端子、放熱設計、保証などが含まれる。速度帯も違う。
だから、
2023年:5,980円 → 2026年:21,800円 → SSDが3.6倍!
と断言するのは違う。
それでも2026年の値上がり感が錯覚ではない理由がある。TrendForceの2026年8月の街頭価格データでは、1TBの内蔵SSDでも、廉価モデルからSamsung 990 PROまで約133〜240ドルの平均価格例が並んでいる。
さらにPCメーカー向けの1TB価値重視SSDの契約価格も、2026年第2四半期に平均270.10ドルと高水準だった。
商品カテゴリを分けても、高い。
4. 2026年に何が起きたのか──AIがSSDまで食っている
犯人を一人にすると雑だが、最大の構造要因はAIサーバーとデータセンター向け需要である。
TrendForceは2026年第3四半期について、NANDフラッシュの契約価格が前四半期比で10〜15%上昇すると予測している。需要の主役はAI推論と大規模データセンターで、NANDメーカーは高収益な企業向けSSDへ供給を寄せている。
9月1日の最新発表では、企業向けSSD上位5社の2026年第2四半期売上高は合計約375.9億ドルに達し、前四半期比103.6%増とされた。出荷増だけでなく契約価格の上昇も売上を押し上げた。
要するに、
AI「ストレージください」 データセンター「もっとください」 メーカー「高く売れる方に寄せます」 一般人「1TBください」 売り場「2万円です」 一般人「下がれ」
である。
AIブームがGPUだけでなく、DRAM、NAND、SSDまで横断してくる。未来を作るために、こっちのMacの外付けSSDが高くなる。未来、送料着払い。
5. じゃあまだ上がるのか──「高いまま止まり始めた」兆候もある
悪いニュースだけではない。
TrendForceは、2026年第3四半期もNAND契約価格は上がると見ている一方、消費者向けPCやスマートフォン側が価格に耐えられなくなり、上昇ペースは鈍ると説明している。
7月の市場報告でも、高価格と弱い消費者需要によって買い手が抵抗し、価格上昇が鈍化して「高値圏での停滞」に近づいているとされた。
さらに7月のNANDウエハー契約価格では、主流のTLC・QLCが高値と低需要の間でほぼ横ばいになり、取引量も非常に低かった。
つまり現状は、
暴落開始ではない。 でも、無限上昇フェーズから「高すぎて誰も買わん」フェーズへ入りつつある。
価格が下がるときは、まず上昇が止まり、在庫がたまり、メーカーや小売が値下げして捌く。その入口らしい材料は少し出ている。
ただし、2026年第3四半期の契約価格予測はまだプラスなので、「来月には半額!」と待つのは根拠がない。
6. M2 Macなら、何を買えば無駄が少ないか
AppleのM2 MacBook Airは、Thunderbolt / USB 4ポートでThunderbolt 3とUSB 4の最大40Gb/s、USB 3.1 Gen 2の最大10Gb/sを公式にサポートしている。
外付けSSDを普通のデータ置き場、写真、動画、Git、バックアップ用途にするなら、USB 10Gbps・実効1,000MB/s前後の1TBはかなり分かりやすい選択だ。
もっと速い製品へ金を出すなら、「20Gbps」「40Gbps」という数字だけで買わず、実際にMac側とその製品がどの接続方式で動くかを確認した方がいい。
今回の目的なら、最上位の速度よりも、
- USB-Cで直結できる
- 1TB
- 10Gbps級
- 1,000MB/s前後
- 発熱と保証が普通
- 価格が下がっている
の方が重要である。
SSD相場が高いときに、使わない速度へさらに課金する必要はない。
7. 今買うか、待つか
今すぐ必要
買う。
データが入らない、内蔵SSDが常時ギリギリ、作業が止まるなら、価格予想ゲームをしている場合ではない。2026年の相場では、USB 10Gbps・1TB・約1,000MB/s級で2万円前後まで下がればかなりマシという扱いになる。
急いでいない
待つ。
2026年はNAND契約価格が高値で、一般消費者が価格に耐えられず需要が弱っている。こういう局面では、通常価格の大崩れより先に、セールや在庫処分で瞬間的な安値が出る可能性がある。
個人的な待ちラインを付けるなら、
- 2万円以下:今の相場では買いやすい
- 1.8万円以下:かなり強い
- 1.5万円以下:ようやく「下がったな」と言いたい
- 1万円前後:2023年の亡霊が成仏する
くらい。
これは市場予測ではなく、過去の実売と現在の高値を見た上での購入ルールだ。
8. 「価格バグ品」を探すなら、商品名より条件を固定する
セールを探すときは「SSD 1TB 安い」だけだと、SATA、低速USB、よく分からないブランド、高速Thunderboltまで全部混ざる。
M2 Mac用なら検索条件をこう固定した方がいい。
1TB / USB-C / USB 10Gbps / 読込900〜1,050MB/s / 国内で保証が確認できる
その上で価格だけ比較する。
これなら「安いけど速度が半分」「20Gbpsの数字に払ったのに自分の環境で活かせない」「極端に安いが販売元が怪しい」といった別ゲームを避けやすい。
NVMe本体+USBケースの自作構成も逃げ道にはなるが、2026年は中身のNVMe自体が高い。ケース代まで足すと完成品との差が小さいこともあるので、合計額で見るべきだ。
9. 結論──2026年のSSDは高い。だから今は「待てる人が強い」
5年を振り返ると、2021年に1万円前後、2022年に9千円前後、2023年にはNVMe 1TBが5,980円まで下がった。2024〜2025年夏も1万円前後の選択肢が普通にあった。
そこから2025年末に上昇が目立ち、2026年はAI・データセンター需要を背景にNANDとSSDの価格が高止まりしている。
なので「1TBが2万円超え?たけえ」は正常な感覚である。
ただし、今すぐ大崩れする証拠もない。2026年第3四半期はまだNAND契約価格の上昇予測が残る。一方で、高すぎる価格に消費者が耐えられず、TLC・QLCの取引が止まり気味という「天井っぽい」材料も出ている。
必要なら買う。急がないなら待つ。
そして最後に、市場へ言うことは一つ。
下がれ。
