30歳前後で気づく、上に行くほど壊れていく会社の罠

新卒の頃は見えなかった会社の構造が、経験を積むほど見えてくる。管理職が防衛化し、若手が自分を責め、頑張るほど不機嫌な人間になっていく職場から、性格が腐る前に距離を取るための記事。

広告
広告

これは「嫌な上司がいる」という話ではない

最初は、ただ一人の上司が変なのだと思っていた。

指示が曖昧。
目的が見えない。
確認すると不機嫌になる。
こちらが仮説を置くと潰される。
でも代替案は進まない。
未解決のまま放置される。
後から「勝手にやった」と言われる。

そういう人がいると、最初は「この人が変なのかな」と思う。

しかし、別の部署の話を聞いても、現場のリーダーの話を聞いても、似たような構造が出てくる。

不機嫌なリーダー。
下から嫌われている管理者。
上には逆らえず、下には強く出る中間管理職。
上位者の後出しで焼かれ、防衛的になっている人。
自分で判断を引き受けず、下に曖昧なまま流す人。

ここまで横展開されているなら、もう個人の性格だけではない。

これは、会社の文化であり、マネジメントの構造だ。

管理職が管理職の仕事をしていない

本来、管理職の仕事は、部下に仕事を投げることではない。

本来やるべきことは、たとえば次のようなものだ。

  • 目的を決める
  • 優先順位を決める
  • 責任範囲を切る
  • 不要な仕事を止める
  • 部下を守る
  • 判断を引き受ける
  • 人が壊れない業務量にする

しかし、これがほとんど機能していない職場がある。

目的を決めない。
優先順位を決めない。
責任範囲を切らない。
不要な仕事を止めない。
部下を守らない。
判断を引き受けない。
人が壊れない業務量にしない。

その結果、下に全部落ちてくる。

目的を推測しろ。
優先順位を空気で読め。
責任範囲も自分で考えろ。
不要かもしれない仕事もやれ。
判断は実質こちらでしろ。
でも失敗したら「勝手にやった」扱いになる。

これは仕事が難しいのではない。

管理職の仕事が下に流れてきているだけだ。

「やれ」と言われ、仮説を出すと「目的を考えろ」と言われる

厄介なのは、上司が最初から目的を言わないことだ。

「これをやれ」と言われる。
しかし、何のためにやるのか分からない。
誰に見せるのか分からない。
何を判断したいのか分からない。
どこまで分かれば十分なのか分からない。

だから、こちらは仮説を置く。

「目的はこういうことですか」
「この問題を切り分けるなら、公式のチェック項目を潰せばよいのではないですか」
「この前提なら、まずこの順番で確認するのがよさそうです」

すると返ってくる。

「目的を考えろ」
「それをやって何になるの」
「勝手にやるな」

しかし、目的を考えていないわけではない。

むしろ、目的が空欄の依頼に対して、こちらが仮説で補完している。

本来、依頼する側が持つべき目的がある。

  • 何のためにやるのか
  • 誰に使うのか
  • 何を判断したいのか
  • 何が分かれば十分なのか

その目的を渡さずに、作業者側へ「目的を考えろ」と言うのは、ただの脳内当てゲームになる。

中間管理職も壊れている

ただ、その上司も最初から壊れていたわけではないのかもしれない。

たとえば、メンバーからAをやりたいと言われる。
上司が社長や上位者に確認する。
「Aでいい」と言われる。
だからAで進める。

しかし後から、上位者が言う。

「実はBでもよくない?」

これを何度も食らうと、中間管理職は一度確認した判断を信用できなくなる。

下が進めると、後でひっくり返るかもしれない。
自分が責められるかもしれない。
だから下の案を潰す。
細かく見る。
任せない。
「勝手にやるな」と言う。

つまり、中間管理職も上から焼かれている。

ただし、焼かれていることと、下に火を落としてよいことは別だ。

上に逆らえないからといって、下に曖昧指示・後出し・不機嫌・支配を流してよいわけではない。

中間管理職は被害者でもあり、同時に下にとっては加害的な存在にもなり得る。

相談役・古参・上位者に逆らえない文化

さらに深いところには、上位者に逆らえない文化がある。

相談役や古参の影響が強い。
上に目をつけられると危ない。
正面から反抗すると、辞めるまで追い込まれる。
みんな影では言うが、表では言わない。

このような文化では、管理職は上に対して正常な調整ができない。

おかしいと思っても言えない。
目的が不明でも問い返せない。
管理側の問題だと分かっていても指摘できない。
相談役や上位者が原因だと分かっていても口に出せない。

その結果、問題は下に落ちる。

上には言えない。
でも下には言える。
だから、下に火が落ちる。

こうなると、管理者研修をしても変わらない。

防衛している管理職に対して、さらに「もっと部下を見ろ」「もっと面談しろ」「もっと管理しろ」と言っても、本人の体感では仕事が増えただけになる。

必要なのは、管理職にタスクを増やすことではない。

管理職が防衛しなくて済む構造を作ることだ。

家族経営・人治文化の悪い出方

家族経営がすべて悪いわけではない。

トップ判断が早い。
面倒見がよい。
長期目線で見られる。
現場をよく知っている。

そういう良い面もある。

しかし、悪い形で出ると、制度より人の機嫌が強くなる。

  • 相談役がどう思うか
  • 社長が後から何と言うか
  • 親族ラインに嫌われないか
  • 古参に目をつけられないか
  • 誰の機嫌を損ねないか

正式な役職やルールよりも、影響力のある人の空気が重くなる。

そうなると、会社は制度で動く組織ではなく、村になる。

制度より人治。
ルールより空気。
職位より影響力。
改善より防衛。
判断より忖度。

この中で管理職になるということは、自由になることではない。

上流の歪みを吸う量が増えるということだ。

上に行くほど自由がなくなるなら、それは裁量ではない

一般的には、裁量が増えると仕事の幸福度は上がると言われる。

自分で選べる。
自分で設計できる。
自分の強みを発揮できる。
成果に責任を持てる。

そういう裁量なら、確かに幸福につながる。

しかし、会社によっては「上に行くこと」が裁量にならない。

上に行くほど、上位者の後出しを受ける。
上に逆らえない。
下には説明責任が出る。
でも制度は変えられない。
権限は弱い。
責任だけ増える。
下からは嫌われる。
自分も防衛的になる。

これは裁量ではない。

責任だけ増える裁量偽装だ。

頑張る。
仕事が集まる。
曖昧な責任を吸う。
上の後出しに焼かれる。
下には説明責任が出る。
でも権限は弱い。
防衛・不機嫌・放任・マイクロ管理になる。

これは昇進ではなく、中間焼却炉への配属である。

新卒は30歳前後まで気づきにくい

新卒はすぐには辞めないことが多い。

それを会社は「定着している」と見るかもしれない。

しかし、本当に定着しているとは限らない。

新卒の頃は比較対象が少ない。

会社とはこういうもの。
上司とはこういうもの。
理不尽とはこういうもの。
若いうちは我慢するもの。
3年は続けるもの。

そう思ってしまう。

最初から全社構造を言語化するのは難しい。

「なんかこの人怖い」
「なんか指示が分かりにくい」
「なんか会議がだるい」
「なんか上の人が不機嫌」
「自分が悪いのかもしれない」

そのくらいにしか見えない。

しかし、25歳から30歳前後になると、比較対象が増える。

他社の同世代の給料。
リモートやフレックスの存在。
外で通用する職務経歴書。
上に行った人の未来。
自分がそのまま残った場合の姿。

そこで気づく。

この会社で上に行くと、自由になるのではない。
上流の歪みを吸う量が増えるだけではないか。

若手が辞めない会社なのではない。

若手が違和感を言語化できる年齢まで寝かされているだけかもしれない。

若手を入れる前に、受け入れる器が必要

このような環境に、何も知らない若手を入れるのは危うい。

若手や新卒は、仕事観の初期設定が入る時期だ。

そこで、目的不明・責任不明・不機嫌・後出し・上位者への忖度を浴びると、次のどれかになりやすい。

  • 黙る
  • 疑問を言わない
  • 上の機嫌を見る
  • 仕事の目的より怒られないことを優先する
  • 自分も不機嫌な先輩になる
  • 早期離職する

若手を採用する前に、本来は受け入れる器を作る必要がある。

  • 誰が育てるのか
  • 何を覚えさせるのか
  • どこまで任せるのか
  • 困ったら誰が判断するのか
  • 上司が守れるのか
  • 不機嫌な人の下に置かないか

これがないまま若手を入れるのは、採用ではなく耐久テストに近い。

まだ自分のせいにしすぎていないことは大事

こういう環境にいると、自分のせいにしやすい。

自分が弱いのか。
自分が未熟なのか。
自分の受け取り方が悪いのか。
もっと頑張れば変わるのか。
もっとうまくやれば救えるのか。

以前は、そう思いやすかった。

しかし、今は少し違う。

会社がおかしい。
管理が崩れている。
上流が後出ししている。
中間管理職も焼かれている。
でも、自分が全部背負う筋合いはない。

そう見えている。

これはとても大事だ。

性格が腐っていない。
まだ不機嫌な管理者側に適応していない。
まだ若手を入れたらかわいそうだと思える。
まだ「ああなりたくない」と思える。
まだ自分のせいにしすぎていない。

本当に壊れると、他人を責めるだけになる。

下が悪い。
若いやつが悪い。
言うことを聞かない人が悪い。
自分も苦しいのだから、お前も苦しめ。

そこまで行っていないなら、まだ戻れる。

性格がいいまま、純粋なまま、構造を見て距離を取れるうちに動いた方がいい。

すぐ逃げられないなら、ホワイトATMとして使う

もちろん、すぐには逃げられない。

転職先が決まっていない。
生活費がある。
賞与がある。
有給がある。
職務経歴書に使える素材もある。

だから、即退職だけが正解ではない。

この段階では、会社を救うのではなく、会社をホワイトATMとして使う。

  • 給料を受け取る
  • ボーナスを受け取る
  • 有給を使う
  • 定時で帰る
  • 最低限の責任範囲だけ処理する
  • 変な火の粉はログ化して避ける
  • 職務経歴書に使える素材だけ回収する
  • 転職市場に逃げ道を作る

逆に、もうやらなくてよいこともある。

  • 会社文化を変えようとする
  • 上位者構造を正そうとする
  • 防衛的な上司を教育しようとする
  • 管理職を救おうとする
  • 採用・離職・マネジメント不全を本気で改善しようとする
  • 正論で突破しようとする

ここは救う場所ではない。

回収して抜ける場所だ。

この会社で上を目指さない

見えてしまった以上、もう戻れない。

上に行くほど自由になる会社なら、頑張る意味がある。
上に行くほど裁量が増える会社なら、昇進も選択肢になる。
上に行くほど人を守れる会社なら、管理職になる価値もある。

しかし、上に行くほど後出しを吸い、上に逆らえず、下には火を落とし、防衛的になり、不機嫌になるなら、そのルートには乗らない方がいい。

これは逃げではない。

同じ魔物化ルートに入らないための予防である。

自分が弱いから逃げるのではない。

長くいると、自分も変な形に適応しそうだから抜ける。

それはかなりまともな危機回避だ。

まとめ

この職場で起きていることは、単なる個人の問題ではない。

管理職が管理職の仕事をしていない。
上位者の後出しで中間管理職が防衛している。
相談役・古参・上位者に逆らえない文化がある。
家族経営・人治文化の悪い面が出ている。
若手は比較対象がないから、30歳前後まで違和感を言語化しにくい。
上に行くほど裁量ではなく、歪みを吸う量が増える。

この構造で頑張るほど、不機嫌な管理者になる可能性がある。

だから、ああなりたくないと思うことは正常だ。

まだ自分のせいにしすぎていない。
まだ性格が腐っていない。
まだ構造として見えている。
まだ有給を使える。
まだ定時で帰れる。
まだ転職市場に逃げ道を作れる。

今やるべきことは、会社を救うことではない。

純粋な自分を守ったまま、静かに回収して離脱することだ。


関連記事案

  1. 管理職が防衛すると、部下はなぜ静かに辞めるのか
  2. 家族経営の悪い出方:制度より人の機嫌が強い会社
  3. 裁量ではなく責任だけ増える会社で、昇進を目指してはいけない理由
  4. 新卒が30歳前後まで辞めない会社の危険サイン
  5. 自分のせいにしすぎないための職場構造メモ

公開時の注意点

  • 固有名詞、人物名、役職名、地域名は出さない。
  • 「猿」「相談役」など、個人を特定・攻撃する表現は公開版では使わない。
  • 家族経営全般を否定せず、「悪い形で出ると」と条件付きで書く。
  • 会社批判ではなく、マネジメント構造・キャリア判断の記事として出す。
  • 転職活動中に公開する場合は、さらに一般論化し、具体エピソードを薄める。
広告
めんどいちゃん

この記事を書いた人

めんどいちゃん

仕事や日常の「めんどい」を構造化して、次に動きやすくする記事を書いています。

このサイトについて
広告

新着記事

  1. 1「普通」って何だろう?──普通も結構こだわりなんよ
  2. 2鼻の穴は移動するのか?「穴とは何か」を考えると、日常語が急にバグる
  3. 3休日の活動履歴、0件――と思ったら違った
  4. 4平日昼の銀座やイオンモールにいる人は何者なのか
  5. 5声圧で小石を岩にする人たち:会議室予約マウントがくだらない理由

あわせて読みたい

広告