会社の中には、仕事をしているようで、実際には仕事を進めていない人がいる。
会議には出る。
資料は作る。
上の話は聞く。
「そうですよね」と合わせる。
何度も資料を出し直す。
横の人には愚痴る。
下には圧をかける。
でも、目的は決めない。
優先順位も決めない。
情報も下ろさない。
ボールも管理しない。
詰まりも取らない。
標準化もしない。
それでいて、忙しそうにしている。
こういう人を見ると、「この人は仕事をしているのか、それとも会社の中で自分の立ち位置を守っているだけなのか」と思う。
本来のマネージャー仕事をしていない。
でも、マネージャーっぽい顔はしている。
上には資料、横には会議、下には圧。
そして業務は属人化して抱える。
それに振り回される側からすると、かなりくだらない。
この記事では、低解像度なマネジメント、属人化、ボトルネック化、人によって変わる態度、そして「会社に墓を建てる人」と「標準書を置いて抜ける人」の違いについて整理する。
1. 低解像度な人に振り回されるしんどさ
一番しんどいのは、ただ仕事が多いことではない。
低解像度な人に振り回されることだ。
本来なら、仕事はこう進む。
依頼がある。
作業する。
完了したら連絡する。
必要なら次工程へ渡す。
未確定部分があれば、そこだけ分けて確認する。
ボールの所在を明確にする。
これだけでいい。
しかし、低解像度な人が入ると、一気に詰まる。
「準備はして」
「でも連絡はまだ送らないで」
「理由はよく分からない」
「再開タイミングも決めない」
「誰が持つかも決めない」
「そのまま忘れる」
「後日、問い合わせが来る」
「なぜか現場が未対応っぽく見える」
これが起きる。
本来は、準備完了と完了連絡と追加判断は分けられる。
「準備は完了しています」
「使用開始日は確認中です」
「案内タイミングは担当者確認中です」
こうすれば、止める必要はない。
しかし、分離できない人は、一部に不安があると全部止める。
止めたあとに管理しない。
止めた理由も忘れる。
そして、詰まったときだけ誰かに圧をかける。
これが、仕事を止める。
2. 「止める」なら、止めた人が管理する必要がある
業務で「まだ送らないで」と言うこと自体は、場合によってはあり得る。
ただし、その場合は必ずセットで決めるべきことがある。
- なぜ止めるのか
- いつ再開するのか
- 誰が再開判断するのか
- 誰が先方へ連絡するのか
- 問い合わせが来たら誰が答えるのか
これを決めない「止め」は、ただの工程封鎖である。
しかも、止めた側が管理しないと、作業した側が未対応のように見える。
作業は終わっている。
連絡もする予定だった。
しかし「送らないで」と言われたから送らなかった。
その後、止めた側が忘れた。
問い合わせが来た。
このとき、作業側が尻拭いしてしまうと、止めた判断が消える。
「作業者が送っていなかった」
「新人が忘れていた」
「担当者が見落としていた」
こういう雑な扱いになる。
だから、止められた案件は、止めた人へ戻すのが正しい。
前回、完了連絡はまだ送らないよう指示があったため、こちらでは保留していました。以降の案内可否・連絡タイミングについては、止めた経緯を把握されている方で確認をお願いします。
これでいい。
冷たいのではない。
ボールの所在を正しく戻しているだけである。
3. 本来のマネージャー仕事とは何か
マネージャーの仕事は、単に偉そうにすることではない。
本来やるべきことは、かなりはっきりしている。
- 目的を決める
- 優先順位を決める
- 情報を下ろす
- ボールを管理する
- 詰まりを取る
- 標準化する
- メンバーが動ける状態を作る
- 上と下の翻訳をする
これができて初めて、マネージャーと言える。
ところが、これをやらない人がいる。
目的を決めない。
優先順位を決めない。
情報を下ろさない。
書類を回さない。
確認しない。
判断しない。
止めた理由を残さない。
標準化しない。
メンバーが動ける状態を作らない。
その代わりに、上の人の話を聞いて、資料を作る。
会議に出る。
発言する。
後で愚痴る。
下には圧をかける。
これはマネジメントではない。
上向きには資料屋。
横向きには会議参加者。
下向きには圧力係。
裏では愚痴係。
業務は属人化して握る係。
それで忙しそうにしているだけである。
4. 上向き資料屋、下向き圧力係
こういう人は、上には弱い。
役員や部長の話を聞く。
「そうですよね」と言う。
資料に落とす。
論理がずれて出し直しを食らう。
また資料を作る。
また会議に出る。
それで時間が溶ける。
一方で、下には強く出る。
「早くやって」
「2時間以内に」
「なんでできてないの」
「まずやって」
「忙しいから話を聞く時間がない」
しかし、自分は確認しない。
自分は情報を下ろさない。
自分は書類を回さない。
自分はボトルネックになる。
これはかなり不快である。
なぜなら、下の人間が止まっている原因が、実は上司側にあるからだ。
情報がないから進まない。
判断がないから進まない。
確認されないから進まない。
書類が回ってこないから進まない。
それなのに、「なんで進んでないの」と言われる。
道路を塞いでいる人が、渋滞している車に怒っているようなものだ。
5. 人によって態度が変わる不快感
さらに腹立つのは、人によって態度が違うことである。
ある人が構造的に指摘すると、
「長い」
「聞いてない」
「まずやって」
「忙しい」
「話を聞く時間がない」
となる。
しかし、別の人がふわっと言うと、
「あ、いいよ」
「それで進めよう」
「味方を増やそう」
となる。
同じ内容でも、誰が言ったかで扱いが変わる。
ここに論理はない。
見ているのは、内容ではなく、
- 誰が言ったか
- その場の空気
- 反発されにくいか
- 味方が増えそうか
- やっている感が出るか
である。
だから、深因対策にはならない。
本当に人が辞める原因を見るなら、業務量、上司、評価、配置、摩耗、不安、制度、関係性などを見なければいけない。
しかし、雰囲気で進む組織では、イベントや整理や会議が増えるだけになる。
それは対策ではなく、仕事をしているふりである。
6. 属人化を握る人は、標準化を本気で進めない
標準書を作ると、業務は人から離れる。
誰が見ても分かる。
新人でも追える。
後任でも回せる。
引き継ぎが楽になる。
ミスが減る。
確認回数が減る。
属人性が薄くなる。
組織にとっては良いことである。
しかし、属人化で立場を保っている人にとっては、怖いことでもある。
「自分しか分からない」
「自分に聞かないと進まない」
「自分が握っているから回っている」
こういう状態を価値だと思っている人は、標準化に本気で協力しない。
人には「やれ」と言う。
でも自分では1ページも作らない。
自分の頭の中に抱える。
他の人ができる状態になると、自分の立ち位置が薄くなるからである。
これはかなりくだらない。
本当の価値は、「自分しかできない」ことではない。
本当の価値は、「自分が整理したから、他の人もできる」ことである。
標準化とは、自分の存在感を消すことではない。
自分の判断や経験を、組織の資産に変えることである。
7. 標準書を9割作った時点で、かなり勝っている
標準書を9割作ったなら、かなり勝っている。
それは単なる文書作成ではない。
- 属人化の解除
- 引き継ぎ負債の圧縮
- 後任への地図
- 新人への安全網
- 「自分がいないと困る」カードの無効化
- 辞める・異動する時の防御ログ
- 会社に残る再利用可能資産
を作ったということである。
仕事を抱え込む人は、自分の立ち位置を守るために業務を握る。
しかし、標準書を作る人は、業務を外へ出す。
見える形にする。
他の人が使えるようにする。
自分がいなくても回る状態にする。
この差は大きい。
前者は、会社に自分の墓を建てる人である。
後者は、会社に標準書を置いて抜ける人である。
8. 会社に墓を建てる人
会社と自分を同一化している人がいる。
会社の中で握っていること。
会社の中で評価されること。
会社の中で偉そうにできること。
会社の中で自分に聞かないと進まないこと。
それが人生の主戦場になっている。
そういう人は、最後は会社の中に墓を建てればいいのだと思う。
それは本人の自由である。
仕事が人生の中心でもいい。
会社に人生を預けてもいい。
会社の中で立場を守り続けてもいい。
ただし、他人まで巻き込まないでほしい。
自分の属人化維持のために、他人の時間を奪う。
自分の不安処理のために、他人へ圧をかける。
自分が情報を止めているのに、進まない責任を下へ投げる。
自分が標準化しないのに、他人にはやれと言う。
これは迷惑である。
会社に墓を建てたいなら、自分だけで建てればいい。
他人に墓守をさせるな、という話である。
9. 標準書を置いて抜ける人
一方で、会社に墓を建てない人もいる。
標準書を作る。
手順を残す。
業務を整理する。
後任が見られる状態にする。
引き継ぎ負債を減らす。
ボーナスを回収する。
黒字の雑談だけ拾う。
転職活動を進める。
ゲームで回復する。
抜ける。
これでいい。
会社に人生を捧げる必要はない。
会社の中で永遠に評価され続ける必要もない。
属人化で立場を守る必要もない。
自分の仕事は、再利用可能な形にして置いていく。
その上で、自分は次へ行く。
これはかなり健全である。
会社に墓ではなく、会社にMarkdownと標準書を置いて帰る。
それで十分だ。
10. 低解像度な人を改善しようとしない
ここまで見えると、もう相手を改善しようとする必要は薄い。
低解像度な人は、論理で動いていないことがある。
不安で動く。
空気で動く。
誰が言ったかで動く。
自分の立場で動く。
責任を避けるために動く。
下に圧をかけることで管理している気になる。
そういう人に論理をぶつけ続けると、こちらが削られる。
だから、対応はシンプルでいい。
- 完了したらログを残す
- 情報が来ていなければ「情報待ち」とする
- 確認が止まっていれば「確認待ち」とする
- 指示で止められたら「指示により保留」とする
- 止めた人にボールを戻す
- 目的・期限・判断者・担当を確認する
- 尻拭いしない
- 標準書を完成品に寄せる
- 巻き込まれずに抜ける
これでいい。
相手を変えるより、自分が吸わない仕組みにする。
11. ボーナス確定後は、勝ち逃げフェーズ
ボーナスが確定すると、かなり精神的に変わる。
それまでは、
「ここで揉めたら響くかもしれない」
「まだ回収前だから耐えたほうがいい」
「今は動きにくい」
という人質感がある。
しかし、ボーナスが確定し、配布日が近づくと、その人質は外れる。
あとは勝ち逃げフェーズである。
現職では最低限やる。
ログを残す。
吸わない。
黒字業務だけ拾う。
標準書を整える。
転職活動を進める。
ゲームで回復する。
それでいい。
喧嘩する必要はない。
理解してもらう必要もない。
会社の低解像度な人たちに、自分の人生を合わせる必要もない。
回収できるものは回収した。
残すものは残した。
あとは抜けるだけである。
12. まとめ:会社に墓ではなく、標準書を置いて帰る
仕事をしていると、低解像度なマネジメントに振り回されることがある。
目的を決めない。
優先順位を決めない。
情報を下ろさない。
ボールを管理しない。
詰まりを取らない。
標準化しない。
メンバーが動ける状態を作らない。
上と下の翻訳をしない。
それなのに、下には圧をかける。
上には資料を出す。
横には雰囲気で合わせる。
裏では愚痴る。
業務は属人化して抱える。
これは、マネジメントではない。
仕事をしているふりであり、立ち位置を守っているだけに見える。
そういう人は、会社に墓を建てればいい。
ただし、こちらは付き合わなくていい。
こちらは標準書を作る。
業務を見える化する。
引き継ぎ負債を減らす。
ボーナスを回収する。
残り期間を削られずに過ごす。
転職活動を進める。
抜ける。
会社に墓を建てる人と、標準書を置いて抜ける人。
どちらが健全かは、かなりはっきりしている。
会社に人生を埋める必要はない。
仕事は人生の一部であって、墓地ではない。
残すものは残す。
吸わないものは吸わない。
次へ行く。
それでいい。
