0. ゲーム開始前に、名前だけで過労が完成した
「韓国語でピゴンって疲れたなの?」。大喜利ゲーム「PIGPON(ピグポン)」の名前を調べたら、韓国語の 피곤=疲労、スウェーデン語の pigg=元気・活発、さらに英国英語の pong=悪臭 に遭遇した。[1][3][6]
スウェーデンが採用面接、韓国が退勤処理、英国が換気担当。まだゲームを始めていないのに労働環境が終わっている。
ただし、PIGPONという綴り自体にこれらの意味があるわけではない。近い言葉を拾った言葉遊びである。この線引きを間違えると、ただのデマになる。
1. 「ピゴン」は本当に疲れ。でも「ピグポン」とは違う
韓国の国立国語院の辞書で 피곤(疲困) は「疲労・疲れ」という名詞。피곤하다 は「疲れている」、会話の 피곤해 は「疲れた・疲れている」に近い。[1][2]
一方、日本語の「ピグポン」は韓国語で音を写せば 피그폰 などが候補。피곤 とは音節も表記も違う。「韓国人はPIGPONを見たら全員『疲れた』と読む」は誤りだ。あだ名・聞き間違いとしてなら面白い。
ゲームのレビューが開始前から「疲労」なのは、それはそれで才能がある。
2. スウェーデンの「pigg」は反対に元気
スウェーデン語の pigg は「元気な・生き生きした・目が覚めている」。trött=疲れた と対になる意味として辞書に載る。[3]
ただし piggはgが2つ、PIGPONのPIGはgが1つ。同じ語ではないし、ゲームの語源がスウェーデン語と決まったわけでもない。ここで「スウェーデン発のゲーム!」と売り出せば、言葉遊びが突然、原産地偽装になる。
スウェーデン:元気! 韓国:疲労! 入場と退場の気分を2か国で分担するな。
3. アメーバピグの「ピグ」はどっち?
2009年9月19日付のITmediaインタビューで、日本の「アメーバピグ」のプロデューサーは、ピグの言葉をスウェーデン語の「楽しい」「小さい」と結びつけて説明している。[4] 当時の関係者による説明が記録にあるのは事実。
ただし、今日の一般的なスウェーデン語辞書での pigg の中心は「元気・活発」。「小さい」が普通の辞書的意味だとまでは確認できない。[3] アメーバピグとPIGPONに公式な関係があるという話でもない。名前が似た瞬間に勝手にコラボ発表するな。
4. 英国の追加戦力「悪臭」がひどい
英語の pig=豚 は実在語。[5] しかも英国英語のくだけた表現 pong=悪臭 も実在語。[6] だから pig + pong と好き勝手に分ければ「臭い豚」のジョークが作れる。
でも PIGPONにはpong最後のgがない。「PIGPON=臭い豚」は翻訳ではない。違う言葉を勝手に組み立てた大喜利だ。英語の pigpen=豚小屋 も、綴りが似るだけの別語。
元気・疲労・悪臭。ゲーム名の調査に労災と換気扇が参戦した。
5. 12言語でどこまで似ている?
対象12言語は 日本語/英語/韓国語/中国語簡体字/中国語繁体字/スペイン語/ブラジルポルトガル語/インドネシア語/タイ語/ベトナム語/フランス語/ドイツ語。
- 日本語: ピグポンは「ピンポン」を思わせるリズム。
- 英語: pigと英国英語pongは別々に実在。PIGPONの意味ではない。
- 韓国語: 피곤は疲労。ピグポンとは一致しない。
- 簡体字・繁体字中国語: 乒乓は卓球。PIGPONとは音のゆるい連想。
- スペイン語: pimpón=卓球。王立アカデミーの歴史辞典には pingpon の表記例もある。[7][8]
- ブラジルポルトガル語: pingue-pongue=卓球。
- インドネシア語: pingpong=卓球。
- タイ語: ปิงปอง=卓球。
- ベトナム語: PIGPON全体に完全一致する一般語は確認できなかった。
- フランス語: ping-pong=卓球。pigeon=鳩は弱い綴りの連想にとどまる。
- ドイツ語: Pingpong=卓球。
12言語の話者全員に調査したわけではない。辞書で確認できる単語と見た目・音の連想は別枠。卓球っぽく聞こえても、このゲームが卓球とは限らない。
6. 「スウェーデン発」を名乗るな。言葉遊びは自由
制作地と似た言葉の所在地は別物。「スウェーデン語のpiggを連想させる」「韓国語피곤にも少し似ている」なら、言葉遊びだと明示して紹介できる。
逆に「PIGPONは韓国語で疲れたという意味」「世界のどこでも変な意味にならない」「商標問題もない」は言えない。言葉の照合とブランドの使用可否は別の調査だ。
7. 結局、キャッチコピーがブラック企業の社訓
「疲労するまで遊べや。」 英語なら Play until you're exhausted.
ゲームの広告のはずなのに、上司が残業を命じる声が聞こえる。
- 「入社時はスウェーデン語。退勤時は韓国語。」
- 「ゲームが始まる前から疲労が実装済み。」
- 「英国支社から換気の改善要求が届きました。」
- 「社訓:元気なうちに入れ。疲れたら実績だ。」
もちろん長時間遊べという本気の指示ではなくパロディ。疲れたら休もう。ゲームにブラック企業を輸入する必要はない。
8. よくある疑問と最後のオチ
Q. 韓国語でピグポンは「疲れた」? いいえ。피곤は実在するが、PIGPONとは別。[1][2]
Q. スウェーデン語なら「元気」? piggならそう。ただし綴りは違う。[3]
Q. アメーバピグもスウェーデン語? 2009年に関係者がそう説明した記録はあるが、辞書的な意味と分ける必要がある。[3][4]
Q. 英語では臭い豚? いいえ。pigとpongのジョークを勝手に合体させただけ。[5][6]
結論:スウェーデンで元気に出勤し、韓国で疲労して退勤し、英国が窓を開けた。まだ遊んでないのにPIGPONの世界大会が一回終わった。
参考資料(1件)
[1] Korean National Institute dictionary — 피곤: https://krdict.korean.go.kr/eng/dicSearch/SearchView?ParaWordNo=83798 [2] Korean National Institute dictionary — 피곤하다: https://krdict.korean.go.kr/eng/dicSearch/SearchView?ParaWordNo=60291 [3] Swedish Academy — pigg: https://svenska.se/?homografNr=1&id=inr587434&q=pigg [4] ITmedia interview, 2009-09-19, Ameba Pigg: https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0909/19/news001.html [5] Cambridge — pig: https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/pig [6] Cambridge — pong (UK): https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/pong [7] RAE — pimpón: https://dle.rae.es/pimp%C3%B3n [8] RAE historical dictionary — pingpong/variants: https://temporalraeweb.rae.es/dhle/pingpong

