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時間削減の成果をすべて追加業務で埋める組織では、改善意欲が失われる。改善の果実を現場へ返す重要性。 - tags:
業務改善, 定時退社, パーキンソンの法則, 残業削減, 防衛行動
業務改善をすると、よく聞かれる質問があります。
「削減した時間で、何か別の仕事をしましたか?」
この質問自体は悪くありません。 生まれた余力をどう使うかを考えることは大事です。
でも、この質問が毎回「空いた時間に別の仕事を詰める」という意味で使われるなら、かなり危険です。
なぜなら、改善しても楽にならない職場では、人は改善しなくなるからです。
改善の果実を奪うと、誰も改善しなくなる
流れはこうです。
- 改善する
- 時間が減る
- 空いた時間に別の仕事を入れられる
- また忙しくなる
- 改善した人だけ損をする
- 次から人は防衛する
- 若手は定時で帰る
- 上は「当事者意識がない」と言う
これはかなりよくある構造です。
でも、現場から見ると当然です。
改善しても自分が楽にならない。 むしろ追加で仕事が増える。 評価も処遇も大きく変わらない。 それなら、改善するほど損です。
パーキンソンの法則と、仕事の膨張
パーキンソンの法則では、仕事は与えられた時間を満たすまで膨張すると説明されます。
職場でも似たことが起きます。
人が残っていると、仕事が増える。 余白があると、仕事が詰められる。 改善して時間が空くと、次の仕事が入る。
その結果、いつまで経っても楽になりません。
時間削減の価値は、別仕事を詰めることだけではない
時間削減の価値は、単に別仕事を入れることではありません。
- ミスを減らす
- 疲労を減らす
- 教育時間を作る
- 突発対応の余白を作る
- 定時退社を可能にする
- 改善を続けるための余力を作る
- 属人化を減らす
- 品質を安定させる
これも立派な成果です。
むしろ、現場が常に100%を超えているなら、削減した時間をすべて追加業務で埋めるべきではありません。 まずは余白を戻すべきです。
定時で帰るのはサボりなのか
定時で帰る人は、時に「サボり」と見られることがあります。
でも、明確に自分の担当分を終わらせているなら、それはサボりではありません。
- 自分の仕事は終わらせる
- 未定義の仕事を自分から拾わない
- 追加があるなら、上位者が優先順位と責任範囲を決める
- 指示がなければ定時で帰る
これは責任感がないのではなく、責任範囲を明確にしているだけです。
上司が決めるべきことを決めないまま、部下が善意で拾い続けると、便利屋化します。
改善しても報われないなら、人は自分の時間を守る
今の労働環境では、残業しても人生が変わるほど報われるとは限りません。 税・社会保険料、物価、将来不安、黒字リストラ、高齢就業。 会社に時間をすべて預けるリスクは小さくありません。
だから、定時で帰って、投資、学習、副業、転職準備、回復、自分の人生設計に時間を戻す。 これはかなり合理的です。
「会社のために当事者意識を持て」と言うなら、労働者も自分の人生に当事者意識を持ちます。
改善しても楽にならない職場では、人は防衛します。 それは怠けではなく、期待値の低い消耗から自分を守る行動です。
