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会社ではよく「生産性を上げよう」と言われる。業務改善をしよう。無駄をなくそう。ツールを入れよう。外注しよう。DXで効率化しよう。言葉だけ見れば、どれも正しい。
だが、現場が冷めた目で見ている場合がある。なぜなら、生産性向上と言いながら、実際には楽になっていないことが多いからだ。
残業は減っていない。業務量も減っていない。むしろ新しい入力作業や確認作業が増えている。外注費やサブスク費も増えている。会議も増えている。にもかかわらず、会社は「改善している」と言う。
この状態で現場が疑問を持つのは自然だ。「これは何が改善されたのか」「誰の仕事が減ったのか」「減った分は別の人に移っただけではないのか」。
生産性向上は、単に何かを導入したことではない。投入に対してどれだけの成果が出たかを見る考え方であり、同じ成果をより少ない労働時間やコストで出す、または同じ労働量でより多くの成果を出すことが本来の改善だ。
ところが、現場では改善活動そのものが仕事を増やすことがある。新しいツールを入れたが入力項目が増えた。外注したが指示書作成とチェックで手間が増えた。管理職の残業は減ったが、メンバーの残業が増えた。見える化したが、見える化資料を作る仕事が増えた。
これは改善ではなく、負荷の移動である可能性がある。
生産性向上を名乗るなら、「誰が楽になったのか」を明確にする必要がある。会社が楽になったのか。管理職が楽になったのか。現場が楽になったのか。顧客が楽になったのか。あるいは、誰も楽になっていないのか。
本当の改善は、総負荷を見る。労働時間、手戻り、外部費用、会議時間、入力作業、確認作業、心理的負担、属人化リスク。これらを合わせて見なければ、生産性向上は簡単に「負荷の付け替え」になる。
改善とは、何かをやることではない。やらなくていいことを減らし、必要な成果をより少ない負荷で出せる状態を作ることだ。
