会社側が有給取得を嫌がる理由の一つは、たぶんこれです。
「休まれると、その日の生産性が落ちる」
確かに、短期で見れば、誰かが休めばその日の作業人数は減ります。
しかし、それをそのまま「有給取得は生産性を下げる」と見るのは浅いです。
生産性は、単なる出勤日数ではありません。
- 体調が悪いまま出勤していないか
- 疲労で判断ミスが増えていないか
- 休めないことで集中力が落ちていないか
- 休めない職場だと思われて離職していないか
- 属人化で一人が休むと業務が止まる設計になっていないか
- 採用・教育コストが増えていないか
ここまで見る必要があります。
近年は、出勤しているが心身の不調で仕事の機能が落ちている状態、つまりプレゼンティーイズムが注目されています。日本企業グループの従業員を対象にしたコホート研究では、年次休暇の取得日数が増えると、仕事機能障害の改善につながる可能性が示されています。休暇取得は、従業員の健康だけでなく、職場全体の生産性にも関わる要素です。
また、厚生労働省の労働経済白書でも、働き方の見直しに取り組んだ企業事例として、年次有給休暇取得率が過去7年間で最高となり、平均所定外労働時間の削減や離職率低下に加え、社員一人当たりの生産性も着実に向上した事例が紹介されています。
つまり、少なくとも次のように言えます。
有給を取らせない方が生産性が上がる、という単純な根拠は弱い。 むしろ、休める職場にした方が、疲労・離職・プレゼンティーイズムを減らし、長期的な生産性を守れる可能性が高い。
大事なのは、休ませないことではありません。
休まれても回る業務設計にすることです。
「有給を取られると困る」という会社は、従業員の休み方に問題があるのではなく、会社の業務設計に問題がある可能性があります。
休暇取得を減らすのではなく、属人化を減らす。
休む人を責めるのではなく、引き継ぎを標準化する。
出勤日数を増やすのではなく、一人あたりの健康な稼働時間の質を上げる。
これが会社側の本筋です。
