離職防止というと、多くの会社はこう考えがちです。
- 1on1を増やす
- コミュニケーション研修をする
- キャリア面談をする
- エンゲージメントサーベイを取る
- 社員に主体性を求める
もちろん、それらも無意味ではありません。
しかし、現場で人が辞めたくなる瞬間は、もっと具体的です。
たとえば、有給休暇を申請したときに、上司からこう言われる。
「なんで取るの?」
「忙しいの分かってる?」
「俺も忙しいんだけど」
「成果を出してから権利を主張しろ」
「みんな我慢してる」
「その日は困るんだけど」
この瞬間、従業員はただ休みにくくなるだけではありません。
「この会社では、自分の体調や生活を守ることが悪いことにされる」
「権利を使うだけで嫌味を言われる」
「休むには上司の感情審査を通らないといけない」
「ここに長くいたら、自分の生活が削られる」
そう感じます。
これは、離職防止上かなり大きな問題です。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、女性の転職入職者が前職を辞めた理由として、「その他の個人的理由」を除くと「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.8%で最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.7%でした。男性でも「給料等収入が少なかった」「職場の人間関係が好ましくなかった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が上位にあります。
つまり、有給・休日・労働時間・人間関係は、離職理由のど真ん中です。
にもかかわらず、離職防止研修が「従業員側のコミュニケーション不足」だけに寄っているなら、かなりズレています。
必要なのは、従業員に「うまく伝えましょう」と言うことだけではありません。
管理職が、休暇申請に対して余計な圧をかけないこと。
会社が、有給を取りやすい運用にしておくこと。
休まれても回る業務設計にすること。
時季変更が必要なら、感情ではなく具体的な業務上の支障と代替日で話すこと。
これらが必要です。
有給を取らせる職場は、優しい職場というだけではありません。
辞めなくても済む職場です。
