結論――見えていたことは確定だが、理由は説明されていない
原作No.190で、ポックルはクモ型キメラアントのパイクへ「七色弓箭」の橙の矢を放つ。
橙の矢は、ポックルが使える矢の中で最速とされる。
しかしパイクは、顔の直前で矢を捕まえる。
さらに、下級兵には見えていないらしいことへ疑問を持ち、ポックルの身体を覆う生命エネルギーが武器の出所だと推測する。
したがって、少なくとも次の二点は作中描写として強い。
- パイクにはポックルの念矢が見えていた
- 同じ場にいる下級兵には見えていなかった
問題は、パイクがこの時点では、まだ体系的な念修行を受けていないことである。
ラモットがゴンとキルアの攻撃を受けて念へ覚醒し、ピトーがポックルから念の知識を抜き取るのは、その後の出来事である。
つまり、パイクの描写は、
念を正式に使える者だけが、あらゆるオーラを必ず知覚できる
という単純な線引きから外れている。
「念が見える」と「念を使える」は別
日本テレビ公式の用語解説では、念は生命エネルギーであるオーラを操作する能力とされる。
通常、人間が念を自在に使うには、精孔を開き、纏・絶・練・発を習得する必要がある。
しかし、生命エネルギーそのものは、念能力者だけが新しく生み出すものではない。
普通の人間もオーラを持っている。
違いは、それを意識的に認識し、留め、増幅し、技として運用できるかである。
パイクは、
- オーラを身体に留める「纏」
- オーラ量を増す「練」
- 独自能力を作る「発」
を使えていたわけではない。
それでも、ポックルの矢を視覚またはそれに近い感覚で追跡できた。
これは、知覚能力と運用能力が別段階にあると考えると整理しやすい。
キメラアントの上位個体は、生得的な感覚器が違う可能性がある
パイクは人間ではない。
クモを中心に、複数生物の特徴を受け継いだキメラアントである。
通常の人間にはない感覚器、反応速度、動体視力、生命エネルギーへの感受性を持っていても不思議ではない。
さらに重要なのは、下級兵には見えていないのに、兵隊長級のパイクには見えていることである。
この差は、単なる種族差だけではなく、階級と素材品質の差を示している可能性がある。
キメラアントは、同じ巣で生まれたから全員が同じ性能ではない。
- 何を素材として生まれたか
- どの動物の形質が強く出たか
- 人間由来の知性や記憶がどこまで残ったか
- 女王がどの段階で産んだ個体か
によって、能力差が大きい。
パイクは頭が良いとは言い難い。
しかし、動体視力、腕力、反射速度、糸による捕縛能力は高い。
知能が低いことと、生物兵器として高性能であることは両立する。
「見た」のではなく「感じた」可能性も残る
作中では、パイク自身が矢を認識しているため、便宜上は「見えた」と表現してよい。
ただし、現実の視覚と同じように目で光を捉えたのかは不明である。
クモ型の感覚、空気の振動、殺気、オーラ圧、軌道上の気配を統合し、結果として矢の位置を把握した可能性もある。
念能力者同士でも、オーラは視覚だけでなく気配や圧力として感じられる。
そのため、
パイクは念能力者だった
と逆算する必要はない。
正確には、
パイクは念を運用できる前から、ポックルのオーラ攻撃を知覚できるほど感覚性能が高かった
である。
パイクは強いが、戦闘が上手いわけではない
パイクはポックルの最速矢を止める。
しかし、その後は四本の腕を矢でふさがれ、接近を許し、ポックルの打撃を受ける。
ザザンが介入しなければ、さらに追撃を受けていた可能性がある。
後のシズク戦でも、広範囲の糸は危険だが、発射前の予備動作を読まれ、攻略される。
パイクの強さは、
- 基礎身体能力
- 感覚性能
- 多腕
- 捕縛能力
- 耐久力
にある。
弱点は、
- 判断が遅い
- 相手の狙いを読めない
- 手持ちの能力を合理的に組み合わせられない
- ザザンへの執着で思考が偏る
ことである。
だから、見た目も言動も妙にねっとりしているのに、素材性能だけは高い。
そこが余計に不快で、同時にキメラアントの怖さでもある。
結論
パイクが念習得前にポックルの矢を見られた理由は、原作で明言されていない。
ただし、描写からは次の整理が最も自然である。
- パイクは正式な念能力者ではなかった
- それでもオーラ攻撃を知覚できた
- 下級兵にはできず、兵隊長級にはできた
- キメラアントの上位個体には、生得的なオーラ感知能力またはそれに近い感覚がある
- オーラを知覚することと、四大行や発を使うことは別である
念を覚える前から、念攻撃へ反応できる。
この時点で、人間側の初見殺しが一つ消えている。
