この記事の結論
「会社に尽くせ」だけでは危ない。
でも、「嫌ならすぐ転職しろ」だけでも危ない。
なぜなら、転職市場にもインセンティブがあるからだ。
会社は、できれば人に辞めてほしくない。
転職サービスは、基本的に人が転職することでビジネスが回る。
どちらも完全な悪ではない。
でも、どちらも自分の人生を丸ごと背負ってくれるわけではない。
だから必要なのは、会社にも転職サービスにも流されず、自分で比較して選ぶ力である。
会社に残ることだけが正解ではない
まず、会社に残り続けることだけが正解ではない。
合わない会社はある。
報われない職場もある。
成長しない仕事もある。
健康を削る働き方もある。
人間関係や責任範囲が壊れている職場もある。
そういう場所で「若いうちは苦労しろ」「会社に貢献しろ」と言われて頑張り続けると、普通に削られる。
だから、辞める、逃げる、変えるという選択肢は必要である。
でも、転職すれば必ず解決するわけでもない
一方で、「転職すれば解決」と単純に考えるのも危ない。
転職先にもリスクはある。
- 求人票と実態が違う
- 固定残業が重い
- 教育体制がない
- 便利屋ポジションになる
- 仕事内容が曖昧
- 評価制度が不透明
- 入りやすいが、次につながりにくい
- 人手不足だから採用されやすいだけ
- 別の職場ガチャを引くだけ
転職は有効な手段だ。
でも、万能ではない。
転職もまた、選び方を間違えると消耗する。
転職サービスにもインセンティブがある
転職エージェントや求人メディアは、役に立つことがある。
求人を探せる。
書類を見てもらえる。
面接対策ができる。
自分では見つけにくい求人に出会える。
これは大きなメリットだ。
ただし、転職サービスにもビジネス上のインセンティブがある。
厚生労働省は、職業紹介事業者に対して、紹介手数料の実績を人材サービス総合サイトに掲載することなど、2025年4月からの新ルール対応を求めている。
つまり、職業紹介には手数料やビジネス構造がある。
求職者にとって無料に見えても、完全な中立アドバイザーではない。
転職エージェントが悪いという話ではない。
ただ、「この人は誰のインセンティブで動いているのか」を見た方がいい。
派遣やSESが悪いわけではない。でも流されるのは危ない
派遣やSESがすべて悪いわけではない。
人によっては合うこともある。
経験を積めることもある。
働き方の柔軟性がある場合もある。
ただし、「入りやすいから」「紹介されたから」「すぐ決まりそうだから」だけで選ぶと危ない。
大事なのは、その仕事が自分の将来につながるかである。
- 何のスキルが身につくか
- どの職種に進めるか
- 評価される経験になるか
- 次の転職で説明できるか
- 自分の適性に合うか
- 労働条件は妥当か
- 出口があるか
ここを見ないと、会社を移っただけで、同じように削られる可能性がある。
会社にも転職サービスにも寄らない第三の視点
本当に必要なのは、第三の視点だと思う。
会社の視点だけでも危ない。
転職サービスの視点だけでも危ない。
必要なのは、自分の視点である。
そのためには、次のような問いを持つ必要がある。
- 今の職場で改善できる問題か
- 自分の問題と環境の問題を分けられているか
- この仕事で市場価値は上がるか
- この苦労は将来の自由度を増やすか
- 体調やメンタルは削られていないか
- 転職先の条件は本当に良いか
- 求人票の違和感はないか
- その会社で何年働くイメージがあるか
- 次に何へつながるか
- 自分はその仕事を続けたいか
キャリアコンサルティングの本来の意味
厚生労働省は、キャリアコンサルティングを「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」と説明している。
つまり、本来のキャリア支援は、「とにかく転職させること」ではない。
職業の選択、職業生活設計、能力開発を支援することだ。
残るか、変えるか、学び直すか、逃げるか。
それを本人の状況に合わせて整理することが必要である。
「頑張る場所を選べ」の中身
「頑張る場所を選べ」と言うだけなら簡単だ。
でも、本当に必要なのは、その中身である。
- 残るべき場所か
- 学べる場所か
- 壊れる場所か
- 逃げるべき場所か
- 次につながる場所か
- ただ人手不足で入れられている場所か
- 自分の強みが活きる場所か
- 自分の弱みを削られる場所か
これを見ないと、転職しても同じ問題を繰り返す。
まとめ
「会社に尽くせ」だけでは危ない。
でも、「嫌ならすぐ転職しろ」だけでも危ない。
会社には会社のインセンティブがある。
転職サービスには転職サービスのインセンティブがある。
だから、どちらの言葉もそのまま受け取るのではなく、自分の軸で判断する必要がある。
本当に必要なのは、
残る・変える・逃げる・学び直すを比較して選ぶ力
である。
会社に流されない。
転職ビジネスにも流されない。
自分の健康、時間、市場価値、将来の選択肢を見て、どこで頑張るかを選ぶ。
それが、現代の労働者に必要なキャリア防衛力だと思う。
