1〜2か月遊ぶはずのゲームが2日で終わった——パルワールドで感じた認知的負荷

『グランブルーファンタジー リリンク』を遊び切り、『パルワールド』は20分で離脱した。原因は飽き性ではなく、自由度と選択肢の多さが生む認知的負荷だった。

読書機能の使い方

聴く:本文を読み上げます。速読:語句を順に表示し、速さを調整できます。語学練習:別の言語版と対訳を読み比べます。保存:このブラウザーにブックマークし、プレイヤーの保存済み一覧から開けます。

この記事をシェア
広告
広告

「この2本があれば、1〜2か月くらいは簡単に過ぎるだろう」

そう思っていた。

1本目は『グランブルーファンタジー リリンク』。
2本目は『パルワールド』。

ところが、リリンクは高難度コンテンツや育成まで一気に進み、区切りがついた。続いて始めたパルワールドは、約20分で止まった。

1〜2か月遊ぶつもりだったゲームが、体感では2日ほどで終わってしまった。

ただ、パルワールドがつまらなかったわけではない。
むしろ問題は、やれることが多すぎたことだった。

パルワールドは「何をしてもいい」が重かった

パルワールドを始めると、次々に選択肢が現れる。

  • パルを捕まえる
  • 木や石を集める
  • 装備を作る
  • 拠点を整える
  • 食料を確保する
  • テクノロジーを解放する
  • 新しい場所を探索する
  • ボスへ向かう
  • パルを育てる
  • 作業要員を配置する

一つひとつは難しくない。

しかし、常に複数の課題が並んでいるため、「次に何をするか」を自分で決め続けなければならない。

ゲーム内で敵に負けたわけではない。
操作が難しかったわけでもない。

選択肢の多さで、頭が先にパンクした。

楽をするために経験値倍率を上げたら、さらに重くなった

今回は、レベル上げに時間を使いたくなかったため、経験値を多く獲得できる設定で始めた。

普通に考えれば、これはゲームを楽にする設定である。

しかし、実際には逆のことが起きた。

レベルが急速に上がることで、

  • 新しい建築物
  • 新しい道具
  • 新しい武器
  • 新しい拠点設備
  • 新しい生産要素

が短時間で次々に解放された。

本来なら、少しずつ覚えるはずだった要素が一気に押し寄せてきた。

敵との戦闘難度は下がっても、
意思決定の難度は上がってしまった。

レベル上げを省略した結果、成長の途中に存在していた「一つずつ覚える時間」まで省略してしまったのである。

一度遊んでいるのに、忘れている状態も苦しかった

パルワールドは完全な初見ではなかった。

以前、体験版に近い感覚で一度遊んでいる。だから序盤には見覚えがある。

ただし、細かい操作や進行手順は忘れていた。

この状態は、意外と遊びにくい。

  • 完全初見ではないので新鮮味が弱い
  • しかし内容は忘れているので知識は使えない
  • 同じ序盤をもう一度進める意欲は低い
  • 前回の続きを始められるほど記憶は残っていない

つまり、既視感だけがあり、理解は追いついていない。

初見として楽しむことも、経験者として効率よく進めることもできない、中途半端な位置にいた。

「前にもやった場所を、もう一度覚え直す」という作業感が、自由度の高さによる負荷に上乗せされた。

リリンクは高難度でも、次にやることが明確だった

直前まで遊んでいた『グランブルーファンタジー リリンク』は、難しい場面が多かった。

高難度ボスでは攻撃が激しく、即死級のギミックもある。装備やジーンの育成も必要になる。

それでも、パルワールドほど頭が散らからなかった。

理由は、目的が明確だったからだ。

  • このクエストをクリアする
  • このボスを倒す
  • この素材を集める
  • この武器を強化する
  • このキャラクターを育てる
  • CPU編成を調整してタイムを縮める

やることは多くても、現在の目標は一つに絞りやすい。

特に終盤は、

強い敵を倒すために、必要な装備をそろえる

という一直線の構造になる。

だから戦闘自体が難しくても、「今どこへ行けばいいのか」で迷いにくい。

パルワールドは戦闘の難しさよりも、
次の目的を自分で設計する負荷のほうが大きかった。

「難しいゲーム」と「疲れるゲーム」は違う

ゲームの負荷は、単純な難易度だけでは測れない。

難しいゲームでも、目的が明確なら集中できる。

逆に、戦闘が簡単でも、

  • 管理項目が多い
  • 選択肢が多い
  • 優先順位が不明
  • 次の目的を自分で決める必要がある
  • 複数のシステムを同時に覚える

という状態では、強い疲労を感じることがある。

前者は「攻略する負荷」であり、後者は「整理する負荷」である。

自分の場合、敵の攻撃を避けたり、装備を詰めたり、明確な課題に対して試行錯誤することは比較的続けやすい。

しかし、目的そのものを決めるところから始まるゲームでは、ワーキングメモリを大量に使う。

ゲームをしているのに、仕事で要件整理をしているような状態になる。

自由度は、必ずしも快適さではない

自由度の高いゲームは、一般的には長時間遊べるゲームとして評価されやすい。

決められた道を進むだけではなく、自分の好きなことができる。遊び方に正解がなく、何百時間でも続けられる。

しかし、自由度には別の側面がある。

自由とは、決定を自分で引き受けることでもある。

  • 何を目標にするか
  • 何を後回しにするか
  • どこまで効率を求めるか
  • どのシステムを使うか
  • どこで一区切りにするか

これらを自分で決める必要がある。

判断すること自体を楽しめる時期なら、自由度は大きな魅力になる。

一方、仕事や生活ですでに多くの判断をしている時期には、ゲームの中でまで大量の選択をしたくない。

「何をしてもいい」は、状態によっては、

何をすればいいか、自分で決め続けてください

という要求に見える。

2本が2日で終わった虚無感

リリンクとパルワールドがあれば、しばらくゲームには困らないと思っていた。

リリンクは長く遊べるはずだった。実際、コンテンツ量は多かった。

しかし、育成と攻略を一気に進め、フルアシストやCPU編成まで完成すると、自分が操作しなくても高難度クエストを突破できるところまで来た。

便利で快適だった一方、ゲーム内に残っていた課題も急速に消えていった。

そして次のパルワールドは、遊び込む前に認知的負荷で止まった。

結果として、

これで1〜2か月は暇を潰せる

という見込みが、わずか2日ほどで崩れた。

ゲームを2本クリアしたという達成感より、予定していた娯楽が突然なくなったような感覚のほうが強かった。

飽きたのではなく、判定が速かった

ただし、別の見方もできる。

今回起きたのは、「飽き性だから長く遊べなかった」というより、ゲームとの相性を短時間で判定した結果かもしれない。

リリンクでは、

  • 明確な目標
  • 戦闘中心
  • 育成結果が分かりやすい
  • 装備更新の成果が出る
  • CPU育成という独自の遊び方が成立する

という、自分に合う要素がそろっていた。

だから一気に遊べた。

パルワールドでは、

  • 複数システムの同時進行
  • 自由探索
  • クラフト
  • 拠点管理
  • 資源管理
  • 自分で目的を作る必要

という、自分が疲れやすい要素が序盤から見えた。

だから早く止まった。

これはゲームを雑に消費したというより、
自分が楽しめる構造を理解する速度が上がったとも言える。

自分に合うのは「自由なゲーム」より「目的が見えるゲーム」

今回の体験から、自分が長く遊びやすいゲームの条件がかなり明確になった。

合いやすい要素

  • 次の目的が画面上で明確
  • 1回のプレイ単位が分かりやすい
  • ボスやステージ単位で区切れる
  • 育成先が絞られている
  • 面倒な操作をCPUや自動化へ渡せる
  • 成長や改善が数字で見える
  • 自分で世界全体を管理しなくてよい

疲れやすい要素

  • クラフト要素が多い
  • 拠点管理が必要
  • 素材の種類が多い
  • マップ上の目的地を自分で決める
  • 複数の進行ルートが同時に開く
  • 序盤から大量の機能が解放される
  • 「好きに遊んでください」と委ねられる

自由度の低いゲームが好きというより、
目的設計をゲーム側に担当してほしいのだと思う。

攻略方法は自分で考えたい。
しかし、何を攻略するかまで毎回自分で決めたくはない。

ゲームは休息なので、管理職になりたくない

現実では、仕事や生活の中で優先順位を決める場面が多い。

目的を整理し、必要な作業を分解し、順番を決め、抜けを確認する。

そうした能力は役に立つが、常に使い続ければ疲れる。

ゲームを始めた時まで、

  • 拠点の生産性を上げる
  • 人員ならぬパルを配置する
  • 資材不足を確認する
  • 新設備への投資順を決める
  • 探索と生産のバランスを取る

ということを要求されると、休んでいる感覚が薄い。

パルワールドでは、冒険者というより、短時間で拠点運営責任者になった気分だった。

ゲームの中でまで管理職をやりたいわけではない。

おわりに

パルワールドを20分で止めた理由は、ゲームの完成度が低かったからではない。

自分の状態と、ゲームが要求する認知資源が合っていなかったからだ。

経験値倍率を上げて楽をしようとした結果、解放要素が一気に増え、かえって選択肢に圧倒された。

さらに、一度遊んだ記憶が中途半端に残っており、序盤を覚え直す負荷も加わった。

一方、リリンクは高難度であっても、目的が明確だったため集中しやすかった。

今回分かったのは、ゲームを長く遊べるかどうかは、コンテンツ量だけでは決まらないということだ。

どれだけ広い世界があっても、その世界で何をするかを決めるだけで疲れてしまえば続かない。

逆に、限られたステージやボスしかいなくても、目標が明確で、改善の余地が見えれば何時間でも遊べる。

ゲーム選びで見るべきなのは「何時間遊べるか」だけではない。

そのゲームは、自分に何回判断を要求してくるのか。

自分にとっては、それが面白さと同じくらい重要だった。


関連記事・内部リンク候補

  • 高難度ゲームなのに疲れにくい理由——目的が明確なら難しさは負担にならない
  • フルアシストはゲームを壊すのか——操作しない育成ゲームとしてのリリンク
  • 自由度が高いほど遊べない——選択肢の多さとゲーム疲れ
  • ゲームを積む本当の理由——時間不足ではなく起動後の判断コスト
  • ワーキングメモリが少なくても楽しめるゲーム設計

PRこのテーマの本を探す

この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。 広告について

この記事が役に立ったら、応援できます。 応援する

広告

もう1個、なんか面白いのない?

読み終わったついでに。近い話と、ぜんぜん違うけど面白い話を少しずつ。

  1. 近い話なぜゲームの作業感はつまらないのか?モンハンワイルズと“ゲームが仕事になる瞬間”
  2. 先生向け授業冒頭5分の「接続翻訳」台本
  3. ぜんぜん違うけど竹島水族館はなぜ強いのか?大型水族館と戦わない“深海・漁師ネットワーク・手書きPOP・ゆるいショー”の勝ち筋
  4. キルアはなぜラモットを一瞬で殺せたのか「ころすよ」が気持ちいい理由
  5. 日本語記事 10一人で作るアプリが増えると、更新や確認が大変になる
  6. HUNTER×HUNTERの強さ議論が、なぜ1,400万約定の市場検証へつながったのか

今日これ読んで

この記事を読んだ人の次の疑問に、それぞれ答える記事です。

すべての記事から探す「ゲーム」の記事をもっと見る

他の記事を探す

すべての記事

めんどいちゃん

このサイトの運営者

めんどいちゃん

仕事や日常の「めんどい」を構造化して、次に動きやすくする記事を書いています。