「仕事ができる人ほど、仕事を押し付けられる」
Xのタイムラインに流れてきたら、「あー、分かる!」となる話だ。コメント欄では経験談が飛び交い、いいねも集まる。
ところで翌日、この言葉をわざわざ検索するだろうか。
共感はする。でも、それで終わる人もいる。
タイムラインでは大盛況。検索窓では誰も呼んでいない。
この違いは、記事が読まれる理由を考えるとき、意外と大きい。
「分かる!」は調べ物じゃない
仕事論、人間関係、発達障害をめぐる日常の話。
こうした話題は、Xで見かけるとつい考えてしまう。
「確かにそうだよな」
「いや、そこは違うだろ」
「自分の場合はこうだった」
でも、頭の中で意見がまとまったら、そこで終了することも多い。
そもそも、知らない事実を探しているわけではない。自分の経験と照らし合わせて考えているのだ。
興味はある。でも、調べる用事がない。
ここを間違えると、「何万いいねも付いた話を100本書いたのに、検索から人が来ない」という不思議な光景が生まれる。
いや、100本も書く前に気づきたい。
「何これ?」には検索する理由がある
一方、意味不明なネットミームを見つけたとする。
「なんで突然この画像が流行ってるの?」
「元ネタは何?」
「このキャラクター、次はどうなるの?」
これは頭の中でぐるぐる考えても、答えが出ないことがある。
知らない由来、作品の展開、実際に起きた出来事。答えが自分の外にあるから、調べに行く。
もちろん仕事の悩みでも、「断り方の具体例が知りたい」「制度上どうなる?」となれば検索する理由が生まれる。
つまり、仕事論が弱くてネットミームが強い、と単純には決められない。
同じテーマでも、「考えたい」のか「知らない情報を手に入れたい」のかで行動が違う。
本を読みたくなる悩みもある
では、本当に仕事で困っている人は、みんな検索するのだろうか。
ここにも別の道がある。
たとえば「上司との付き合い方を根本から変えたい」という悩み。
短い記事を何本も読むより、経験豊富な人の本を一冊読んで、考え方をまとめて理解したい人もいるだろう。
動画で学ぶ人もいれば、誰かに相談したり、人工知能に自分の事情を話したりする人もいる。
本を選ぶ人がどのくらい多いかは、別に確かめる必要がある。
ただ、ここで分かるのは、検索されるほど困っていることと、短い検索記事を読みたいことは同じではないという点だ。
バズった話を並べても、人が来るとは限らない
記事が検索から読まれるには、少なくとも三つの壁がある。
- その話題に興味がある。
- 自分から調べようと思う。
- 出てきた選択肢の中から、その記事を選ぶ。
Xのいいねが示しているのは、主に最初の部分だ。
いいねの数だけ検索する人がいるわけではないし、検索されたからといって、どの記事でも読まれるわけではない。
逆に、派手にバズっていない小さな疑問でも、答えを探している人にぴったり合う記事なら、長く読まれる可能性がある。
これはまだ題材によって確かめたい仮説だ。実際には、何という言葉で検索され、何回表示され、何回選ばれたかを見る必要がある。
バズは拍手。検索は用事。本は腰を据えて向き合う時間。
どれも「興味」から始まるけれど、同じ行動ではない。
拍手が鳴りやまないからといって、その場所に店を建てても、客が買い物に来るとは限らないのだ。
