説明: 2026年10月に広まった「Smalltown Boy」の絶叫猫ダンス。曲は1984年、動きの元ネタは2026年8月の人間の動画、AI猫版は10月。別々の由来と実際の広がりを整理する。
「Smalltown Boy猫ダンス」は、2匹の猫が頭を抱えてカメラに向かって絶叫し、交代で踊り、最後は一緒にレンズへ突進するAI動画のミームだ。使われる曲は英国のBronski Beatによる1984年の「Smalltown Boy」。2026年10月に猫版が広まったが、あの振り付けを先に踊っていたのは人間だった。
21秒の間に何が起きる?
赤い木の柵の前で、1匹目の猫が後ろ足で立ち、前足を頭に当てて大げさに叫ぶ。もう1匹は後方で平然と踊る。次のカットで役割を交換し、最後は2匹が並んで踊ってカメラへ迫る。歌の高い声と猫の必死な顔がぴったり合う。絶叫した本人が数秒後にはダンスを楽しんでいるので、何がそんなに大事件だったのか、見る側だけが置いていかれる。
曲・人間・AI猫は、それぞれ別の時代
最も古い土台は1984年の英国の楽曲「Smalltown Boy」。歌っているのはJimmy Somervilleで、英国公式チャートでは最高3位だった。原曲は、同性愛を理由に傷つき、故郷を離れる若者を描いた切実な作品だ。猫の動画はこの物語の再現ではなく、高い歌声を絶叫の演出に使っている。
次に2026年8月4日、Instagramの@elvira.mua.musicと@mr_unvrsによる「Don't cry. Dance!」の2人ダンスが投稿された。広角カメラに顔を近づけて叫び、後ろの相方と交代し、2人で踊る構成は猫版と一致する。2026年10月2日、@bellvtrix.aiがこの構成をAIで猫に置き換えた動画を投稿した。つまり、楽曲の元ネタと振り付けの元ネタ、AI化した投稿者は同一ではない。
どこまで広まった?
10月19日に公開されていた第三者の記録では、@bellvtrix.aiのTikTok猫動画は約1,070万再生。10月8日に@zefosikが投稿した別の猫たちの室内版は約370万再生、約29.7万いいねだった。@baloosillyによる別の猫版も約24.8万再生が記録されている。これは個別投稿の時点付き数値で、全世界の再生総数ではない。元のInstagram投稿とTikTok投稿は参照できるが、今回それらの再生画面を直接計測したわけではない。
楽曲とダンスのつながりは英国とInstagramの元動画で追える。一方、猫版の視聴者がどの国に何人いたかは、これらの記録からは分からない。「世界中で全員が踊っている」とまで言い切る必要はない。
2024年の流行とは何が違う?
「Smalltown Boy」は2024年にも、親に1980年代風の踊りを披露してもらう動画で再注目された。2026年版は、叫ぶ→交代→2人で踊るという固定の展開を、AIで別の猫や犬に演じさせる遊び。曲が同じでも、参加方法が違う。
見分けるなら、頭を抱えたアップの絶叫と、赤い柵の前での役割交代に注目。自分のペットを使う派生では、2匹の写真を素材にしたAI動画もある。猫が実際に二足歩行している映像ではない。ペット写真は自分のものを使い、投稿時はAI制作と分かる表示にすると誤解が少ない。
結論:猫は曲を変えずに、役だけ奪った
悲しみを抱えた名曲が、42年後に「叫んでいる猫」と「その後ろで妙に落ち着いて踊る猫」の掛け合いになった。音楽の意味まで猫化されたわけではない。人間が作った21秒の振り付けをAI猫が全力で演じた結果、世界でいちばん切実そうな顔のダンス発表会ができたのだ。
参考資料(8件)
- 英国Official Charts「Smalltown Boy」:1984年のチャート記録
- Instagram:@elvira.mua.musicの2人ダンス、2026年8月4日投稿として記録
- TikTok:@bellvtrix.aiのAI猫動画、2026年10月2日投稿として記録
- TikTok:@zefosikの派生、2026年10月8日
- TikTok:@baloosillyの派生、2026年10月8日
- Jump on the Trend:投稿別再生数の記録、2026年10月19日
- RapVideo AI:人間の振り付けとAI猫版の時系列、2026年10月14日
- Stereogum:2024年の別のダンス流行、2024年5月25日
確認時点:2026年10月20日。TikTokとInstagramの直接再生は制限されたため、投稿日と再生数は上記の時点付き外部記録に基づく。
