███様――指さされた方を見るな

異変を探す
読書機能の使い方

聴く:本文を読み上げます。速読:語句を順に表示し、速さを調整できます。語学練習:別の言語版と対訳を読み比べます。保存:このブラウザーにブックマークし、プレイヤーの保存済み一覧から開けます。ブロック崩しで読む:記事の文字そのものを的にして、ブロック崩しで遊べます。

この記事をシェア

古い神社には名前を消された存在がいる。指をさされた方向を見れば、死ぬ。

男が一人で暮らすアパートの近くに、小さな神社があった。鳥居は傾き、賽銭箱には土が積もり、神様の名前だけが黒く塗りつぶされている。

███様。

男はその名を誰から聞いたのか覚えていない。それでも掟は知っていた。夜、神社の近くで誰かが「何か」をすると、遠くから███様が近づいてくる。そのとき指をさされた方向に、何かが現れる。そこを見た人間は死ぬ。

なぜ知っているのか、考えたこともなかった。

その夜、男は部屋に来た女を襲おうとした。女は激しく抵抗し、玄関から逃げ出した。男は追った。

女は裸足で走りながら携帯を操作していた。Instagramで男をブロックしようとしている。男も追跡しながら、なぜか相手をブロックしようとした。今さら何の意味があるのか。親指だけが動き続けた。

神社の前で女が止まった。しゃがみこみ、地面に手を置く。祈っているのか、何かの儀式なのか、男には分からなかった。

すると、道の先が短くなった。

遠くの電柱が、音もなく一つ近づく。次の電柱も近づく。誰かが歩いて来るのではない。遠くそのものが、こちらへ寄ってきている。

女は立ち上がり、暗がりを指さした。

男は反射的に顔を向けそうになり、首を止めた。見たら死ぬ。街灯の根元を見つめる。視界の端で、電柱より細く、家より高いものが立った気配がした。

女へ手を伸ばす。女が避ける。その指が、さっきより長い。

手首が反対に曲がっている。顔はまだ女の顔だった。ただ、女の息づかいだけが男の真後ろから聞こえた。

女はいつから、ああなっていたのか。

顔を上げかけた瞬間、頭上で布が裂けるような音がした。

男が最初に女へ襲いかかったときと同じ角度から、もっと大きな何かが二人へ覆いかぶさった。

逃げる女も、追う男も、影に包まれた。男は最後まで上を見なかった。足が地面を離れ、持ち上げているものに手の形がないことだけが分かった。

携帯が道路に落ちた。まだ画面には表示されている。

「このアカウントをブロックしますか?」

上の暗闇から、一本の指が伸びてきた。

今度は、下を指していた。

もう一歩くわしく: 祈りはラベル化に似ているのか

PRこのテーマの本を探す

この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。 広告について Amazonのアソシエイトとして、mendoi-appsは適格販売により収入を得ています。

この記事が役に立ったら、応援できます。 応援する

もう1個、なんか面白いのない?

読み終わったついでに。近い話と、ぜんぜん違うけど面白い話を少しずつ。

  1. 『ランニングマン』結婚式の「ミルクシェイク」はなぜ却下?新郎が振付師だった意外なつながり
  2. 『Strictly』客席の強面俳優2人とポール・チャックルはなぜ面白い?
  3. 『パルワールド Side by Side』は続編?2026年冬の1.1更新と「パルワールド2」説
  4. 『惡の華』春日はなぜ「向こう側」を求めた?破滅の先で自分を受け入れるまで

今日これ読んで

この記事を読んだ人の次の疑問に、それぞれ答える記事です。

すべての記事から探す「旅行」の記事をもっと見る

他の記事を探す

次に探すなら

すべての記事

めんどいちゃん

このサイトの運営者

めんどいちゃん

仕事や日常の「めんどい」を構造化して、次に動きやすくする記事を書いています。