自分が「面白くなさそう」と感じても、その商品が売れないとは限りません。
ゲームは面白さと継続、便利アプリは手間の削減、Webツールは検索される問題、テンプレートはすぐ使える完成物が買われます。商品ごとに売れる理由が違うため、自分の好みだけで需要を判断すると外れます。
個人開発で確認すべきなのは、市場が大きいかだけではありません。
誰が使うのか。
その人へ一人で届くのか。
実際に使い続けるのか。
お金が残るのか。
保守で自分の時間を食い潰さないか。
ここまで確認して、初めて「個人開発として需要がある」と判断できます。
この記事を検索する人
- 個人開発で次に何を作るか決められない人
- アイデアは多いが、売れるか分からない人
- アプリを公開したが、ほとんど使われなかった人
- ゲームと便利アプリを同じ基準で評価している人
- 日本向けと英語圏向けを分けて検証したい人
検索直前に起きていること
- 自分には退屈に見える商品が売れていて、判断基準が分からなくなった
- 作りたいものと、売れそうなものが一致しない
- 競合調査をしても「競合がいる」以上のことが分からない
- 作る前にどこまで調査すればよいか知りたい
- アンケート以外の強い需要証拠が欲しい
この記事が答える一つの問い
個人開発では、何をどの順番で調べれば、作る前に需要と採算を判断できるのか。
AIは記事の主題ではなく、調査、集計、試作を速める補助手段として扱います。
1. 「自分には刺さらない」と「市場に需要がない」は別
開発者は、アイデアを次のような基準で見やすくなります。
- 新しいか
- 技術的に難しいか
- 自分が使いたいか
- 作っていて楽しいか
- 発想が賢く見えるか
- 画面が格好いいか
しかし、利用者は別の基準で選びます。
- 今すぐ面倒を減らせる
- 退屈な時間を潰せる
- 好きなものを集められる
- 短時間で完成物を作れる
- 同じ失敗を防げる
- 不安な状態を抜けられる
- 他人と遊べる
- 無料の方法より少し楽になる
たとえば、画像を一括で小さくするツールに、技術的な驚きはほとんどありません。
それでも、毎週50枚の画像を処理する人には価値があります。ゲームも同じです。自分には単調に見える育成や収集が、別の利用者には毎日起動する理由になります。
したがって、自分の感度は次のように使います。
自分の感度は、候補を見つけるために使う。
作るかどうかは、他人の行動で決める。
2. 個人開発では「需要」だけでは足りない
企業なら、大きな市場へ営業、広告、ブランド、既存顧客を使って入れます。
個人開発者には、その手段がないことが多いです。そのため、需要があっても次のどこかで止まります。
発見されない
商品を必要とする人はいるが、自分の商品ページまで来ない。使われない
インストールや登録はされたが、価値が分かる前に離脱する。払われない
便利だが、無料の代替で十分と思われる。残らない
売上より、広告費、API費、サーバー費、問い合わせ時間の方が大きい。
個人開発としての価値は、次の掛け算で考えます。
個人開発としての価値
= 需要
× 到達可能性
× 利用継続
× 収益性
× 維持可能性
どれかがほぼゼロなら、他が強くても事業になりません。
巨大市場に入ることよりも、一人で届く小さな市場を、低い固定費で取ることの方が重要です。
3. 最初に商品を分類する
ゲーム、便利アプリ、記事、SNSを同じ基準で調べてはいけません。
まず、その商品が何を売るのかを決めます。
| 種類 | 利用者が買うもの | 作る前の強い証拠 | 公開後の重要指標 |
|---|---|---|---|
| ゲーム | 面白さ、成長、収集、競争、交流 | 動画反応、体験版、ウィッシュリスト | プレイ時間、完了率、D1・D7継続 |
| 便利アプリ | 時間短縮、操作削減、失敗防止 | 検索語、競合レビュー、既存の代替行動 | 主機能完了、再利用、課金 |
| Webツール | 検索した瞬間の問題解決 | Google検索、関連語、上位サイトの弱点 | 検索流入、処理完了、再訪 |
| 記事・メディア | 答え、比較、体験、読み物 | 検索意図、SNS反応、既存記事の不足 | 読了、内部リンク移動、再訪 |
| テンプレート | すぐ使える完成物 | 同じ作業の反復、配布物への登録 | 購入、利用、追加購入 |
| 制作アプリ | 作った画像、動画、文章、音声 | 作例への反応、保存、共有 | 完成率、書き出し、共有、課金 |
| 習慣・生活改善 | 継続による変化 | 課題の反復、既存の記録行動 | D7・D30、記録回数、更新 |
| 拡張機能 | 特定画面での操作削減 | コミュニティの不満、反復作業 | 有効化、週次利用、権限離脱 |
| SNS・マッチング | 他人がいること | 初期参加者の事前確保 | 投稿、返信、成立率、健全性 |
分類できないアイデアは、価値が混ざりすぎています。
たとえば「AIで学習も相談もSNSもできるアプリ」は、何を検証すればよいか分かりません。最初は「試験問題を1問撮ると、間違えた理由だけ説明する」のように、利用場面を一つに絞ります。
4. 需要証拠には強さの順番がある
需要調査では、意見と行動を同じ重さで扱いません。
レベル1:言葉だけ
- 面白そう
- 欲しい
- 使ってみたい
- あれば便利
- 応援する
候補を残す材料にはなりますが、開発決定の証拠には弱いです。
レベル2:他人がすでに困っている
- 同じ質問が繰り返し検索されている
- 競合アプリにレビューが付いている
- 無料のExcel、メモ、手作業で代用している
- SNSや掲示板で方法を聞いている
- 競合の低評価レビューに同じ不満が並ぶ
ここで初めて、問題が自分の頭の中だけではないと分かります。
レベル3:少し手間を払った
- 広告や投稿をクリックした
- LPを読んだ
- メールを登録した
- 事前登録した
- ウィッシュリストへ入れた
- 無料サンプルを受け取った
- テスターへ応募した
「欲しい」と言うだけでなく、行動が発生しています。
レベル4:時間を使った
- 体験版を遊んだ
- 主機能を完了した
- テンプレートを実際に使った
- 翌日も戻った
- 1週間後も利用した
- 他人へ共有した
商品に価値がなければ、利用者は戻りません。
レベル5:お金を払った
- 買い切りを購入した
- 有料予約した
- サブスクを開始した
- 更新した
- 追加商品を買った
- 値上げ後も残った
最も強い証拠です。
需要調査の目的は「褒めてもらうこと」ではありません。証拠を一段ずつ強くすることです。
5. ガチガチに調べる手順
Step 0:先に合格条件を決める
調査を始める前に、何をもって作るかを決めます。
例:
調査期間:7日
候補:3案
開発上限:初版14日
月額固定費上限:3,000円
問い合わせ上限:週1時間
合格条件:
- 検索またはコミュニティで同じ課題を20件以上確認
- 競合の同種不満を30件以上確認
- LP訪問100人以上
- 登録またはテスター応募5%以上
- 価格表示後の登録2%以上
数字は商品の種類と流入量で変えます。
重要なのは、結果を見てから基準を下げないことです。作りたい気持ちが強いと、「3人が反応したから需要がある」と都合よく解釈しやすくなります。
Step 1:利用場面を一文で書く
悪い例:
写真を便利にするアプリ
良い例:
フリマ出品前に、スマホ写真20枚を同じ比率へ一括で切り抜く。
悪い例:
気軽に遊べるゲーム
良い例:
1回10分で終わり、負けるたびに新しい組み合わせを試せる一人用カードゲーム。
次の5項目を埋めます。
誰が:
いつ:
何をしようとして:
今は何を使っていて:
何が嫌なのか:
ここが書けなければ、検索語、競合、広告文、MVPを決められません。
Step 2:日本語と英語を別々に検索する
日本語を英訳しただけでは、米国の需要調査になりません。
同じ課題でも、検索される言葉、競合、料金、使われる端末、説明の順番が違う可能性があります。
日本向けに調べるもの
- Googleの検索候補
- Google Trendsの日本設定
- 日本語のApp Store・Google Play検索
- Yahoo!知恵袋、教えて!goo、価格.com、専門掲示板
- X、YouTube、ブログ
- 日本語レビュー
- 日本円の価格帯
- 日本語での具体的な困り方
米国・英語圏向けに調べるもの
- Google TrendsのUnited States設定
- 英語のApp Store・Google Play検索
- Reddit、YouTube、Discord、専門フォーラム
- Chrome Web Store、Steam、Product Huntなど対象に合う販路
- 英語レビュー
- 米ドルの価格帯
- 英語利用者が使う問題名
たとえば、日本語で「写真 容量 小さくする」と検索されても、英語では compress photos、reduce photo file size、batch resize images が別の需要として存在します。
単語を直訳するのではなく、利用者が問題をどう呼んでいるかを調べます。
Google Keyword Plannerは関連キーワード、検索見込み、広告費の参考値を確認できます。[1] ただし、数字だけで採用せず、検索結果と実際の競合も見ます。
Step 3:競合表を作る
上位5件から10件を表にします。
| 項目 | 競合A | 競合B | 競合C |
|---|---|---|---|
| 対象者 | |||
| 一番強い訴求 | |||
| 無料範囲 | |||
| 価格 | |||
| 課金方式 | |||
| 主な流入 | |||
| レビュー数 | |||
| 最近の更新 | |||
| 高評価理由 | |||
| 低評価理由 | |||
| 標準機能との差 | |||
| 自分が埋められる穴 |
競合がいること自体は悪くありません。利用者がすでに商品を探し、場合によっては支払っている証拠です。
危険なのは、次の状態です。
- 強い無料サービスで完全に解決している
- OS標準機能が急速に改善している
- 差を作るには大規模なデータや運営が必要
- 低価格なのに問い合わせが多い
- 広告以外の流入がほぼない
- 上位商品に不満はあるが、誰も乗り換えていない
Step 4:レビューを「不満」ではなく「乗り換える理由」で読む
低評価レビューを見つけただけで、需要があるとは限りません。
次の4種類に分けます。
直せば乗り換えそうな不満
- 操作が多い
- 一括処理できない
- オフラインで動かない
- 日本語が分かりにくい
- 欲しい形式へ書き出せない
- 買い切りがない
- データ移行ができない
直しても売上になりにくい不満
- 完全無料にしてほしい
- 広告を全部消してほしい
- すべての機能を無料にしてほしい
- 一度しか使わないがサブスクは嫌
- 高価な外部APIを無料で使いたい
個人では重すぎる不満
- 24時間サポートしてほしい
- 全端末の同期を保証してほしい
- 大量の権利物を用意してほしい
- 不正ユーザーを常時監視してほしい
- 法的判断を自動で保証してほしい
本当の問題ではない不満
- 本人が説明を読んでいない
- 端末固有の問題
- 商品の対象外用途
- 一時的な障害
- 競合への攻撃目的と思われる投稿
数を集めた後で、自分が直せて、利用者が乗り換え、料金を取れる不満だけを残します。
Step 5:代替手段を調べる
競合はアプリだけではありません。
利用者は次の方法で済ませているかもしれません。
- OS標準機能
- Excel、Googleスプレッドシート
- ChatGPTなどの汎用AI
- メモ帳
- 手作業
- 無料Webサイト
- 家族や同僚へ頼む
- 何もしない
- 問題を我慢する
便利ツールの場合、最大の競合は「面倒だが今の方法で済ませる」です。
次を確認します。
今の方法に何分かかるか:
月に何回発生するか:
失敗した場合の損失:
新しいツールへ移る手間:
データ移行の必要:
無料で我慢できる程度か:
問題が大きくても、年に一度しか起きないならサブスクには向きません。反対に、1回2分の面倒でも毎日発生すれば、継続利用される可能性があります。
Step 6:作る前に商品ページだけ試す
アプリがなくても、訴求は試せます。
作るもの:
- 商品名
- 一文説明
- 利用前と利用後
- 画面モック3枚
- 無料範囲
- 価格案
- 登録、予約、テスター応募ボタン
複数の言い方を比べます。
便利アプリの例:
- 画像を高性能に処理
- 写真20枚を、同じ大きさへ一括変換
- アップロードなし。スマホ内だけで写真を縮小
ゲームの例:
- 新感覚ローグライク
- 10分で終わる。一手ごとに敵の予定が見えるカードゲーム
- 負けたカードが、次の挑戦で武器になる
「高性能」「新感覚」では、何が起きるか分かりません。利用者が自分の場面を想像できる文を試します。
AppleのProduct Page Optimizationでは、アイコン、スクリーンショット、プレビューの代替案を最大3つ比較できます。[2] Google Playにも、国や流入元などに合わせたカスタムストア掲載情報があります。[3] つまり、商品そのものだけでなく、誰に何を見せるかも検証対象です。
Step 7:ゲームは「悩み」ではなく、遊んだ行動で判定する
ゲームでは、検索数や困り事の強さだけで採用しません。
作る前:
- 10秒から30秒のプレイ動画
- 画面モック
- 一文説明
- 小さなプロトタイプ
- ストアページ
- ウィッシュリスト
試作後:
- 起動率
- チュートリアル完了率
- 最初の1ゲーム完了率
- 平均プレイ時間
- 2回目のプレイ率
- D1継続
- D7継続
- 難所ごとの離脱
- 感想ではなく、再起動した人数
Steam Playtestは、レビューやSteamキーの管理を本編と分けながらプレイテストデータを集めるための仕組みです。[4] Steamのウィッシュリストは、発売や値引き時の通知にも使われます。[5]
ただし、ウィッシュリストだけで成功とは判断しません。
見た → 欲しいと思った
欲しいと思った → 体験版を遊んだ
遊んだ → 最後まで続けた
続けた → 翌日も戻った
戻った → 購入した
この変換を一段ずつ見ます。
Step 8:便利アプリは「一回で消える問題」を見分ける
便利アプリは、問題が明確なのでインストールされやすい一方、解決した直後に消されやすいです。
次のどれに当たるか確認します。
一回利用型
- 引っ越し時の計算
- 一度だけのファイル変換
- 特定イベント用の画像作成
- 端末移行
向く収益:
- 買い切り
- 1回課金
- 広告
- 関連商品への送客
反復利用型
- 毎週の画像処理
- 日々の記録
- 定期的な請求管理
- 継続的な学習
- 仕事で使う変換
向く収益:
- 買い切り上位版
- サブスク
- チーム版
- 継続広告
データ蓄積型
- 家計
- 健康
- 日記
- コレクション
- 学習履歴
継続理由は作りやすい一方、データ保護、バックアップ、移行、問い合わせが重くなります。
サブスクを付ければ成功するわけではありません。RevenueCatの2026年レポートは、11万5,000以上のサブスクリプションアプリを集計し、同じ市場でも成長や転換に大きな差があることを示しています。[6] 自分の商品は、自分のカテゴリ、価格、国、ストアに近い数字で比較します。
Step 9:記事とWebツールは「検索者の次の行動」を見る
記事のPVだけでは、事業として強いか分かりません。
記事の場合:
検索結果で表示
→ クリック
→ 冒頭で答えを得る
→ 必要な箇所まで読む
→ 関連記事へ移る
→ ツールやアプリを使う
→ 再訪する
Webツールの場合:
検索
→ ツール到達
→ 入力
→ 処理完了
→ 結果保存
→ 次回も直接訪問
→ 広告、課金、関連ツールへ移る
「検索される記事」と「ツールへ送客する記事」は役割が違います。
個人開発サイトでは、次のように分けると管理しやすくなります。
- 入口記事:検索される疑問に答える
- 比較記事:複数の解決方法を比べる
- 使い方記事:自分のツールの利用を助ける
- 実行ページ:アプリ、Webツール、テンプレート
- 回遊記事:近い悩みへ内部リンクする
記事数を増やすことを目的にしません。同じ検索者、同じ結論、同じチェックリストの記事は統合します。
Step 10:価格を隠した登録だけで合格にしない
無料なら登録する人は多くても、価格を出すと止まることがあります。
最低でも次の3案を比べます。
A:完全無料・広告あり
B:買い切り
C:月額または年額
価格を表示した状態で、次を測ります。
- 登録率
- 購入ボタン到達
- 購入開始
- 購入完了
- 返金
- 更新
- 解約理由
「欲しい」と「この価格で買う」は別です。
AI API、画像生成、音声処理など変動費がある場合は、利用回数が増えるほど赤字になることがあります。
1人当たり粗利益
= 1人当たり売上
- ストア・決済手数料
- API費
- ストレージ費
- サポート時間の原価
6. 日本向けと米国向けは、別の仮説として試す
日本語版と英語版を作るだけでは不十分です。
日米で次の項目を別々に記録します。
| 項目 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| 問題を表す検索語 | ||
| 最も使われる競合 | ||
| 無料の代替 | ||
| 一番反応する説明 | ||
| 価格表示 | 円 | ドル |
| 買い切り・月額・年額の反応 | ||
| 主な流入元 | ||
| 端末・ストア | ||
| 不安要素 | ||
| 継続理由 |
日本人は必ず買い切りを好む、米国人は必ずサブスクを受け入れる、といった決めつけはしません。
各国で次を独立して試します。
- 検索語
- スクリーンショット
- 最初の一文
- 価格
- 無料範囲
- プライバシー説明
- CTA
- 継続率
- 返金、解約
Google Playのカスタムストア掲載情報は、国、特定キーワード、事前登録者などのユーザー区分に合わせた表示を作れます。[3] Appleのテストも、対応言語ごとに素材を検証できます。[2]
つまり、「英語へ翻訳して海外公開」ではなく、次の順番にします。
日本の問題仮説
→ 日本語の訴求
→ 日本の利用データ
米国の問題仮説
→ 英語の訴求
→ 米国の利用データ
両者の結果が違っても正常です。
7. なぜ「つまらなそうな商品」が売れるのか
自分には面白く見えないのに売れている商品は、次のどれかを持っています。
すでに検索されている
利用者が困った瞬間に、自分から商品を探します。
開発者が需要を教育する必要がありません。
小さい手間が何度も起きる
1回2分でも、毎日なら月1時間です。
面白さがなくても、反復が価値を作ります。
対象者には結果が分かりやすい
- 写真が小さくなった
- PDFになった
- アラームが鳴った
- 記録が残った
- キャラクターが育った
- テンプレートが完成した
利用前と利用後が明確です。
販路をすでに持っている
売れている理由が商品ではなく、SEO、SNS、YouTube、既存アプリ、メルマガかもしれません。
表からは見えない流通資産があります。
複数商品の合計で成立している
1本で大成功しているとは限りません。
小さな売上を出すツールが複数あり、合計で事業になっている場合があります。
開発者の人件費が表に出ていない
月1万円の売上でも、ほぼ放置なら残す意味があります。
逆に月10万円でも、毎日対応が必要なら割に合わないことがあります。
したがって、売上だけを見て真似しません。
利益
= 売上
- 現金費用
- 維持時間
- 集客時間
- 将来の修正負債
8. 個人開発向きかを100点で採点する
共通採点
| 項目 | 配点 | 確認すること |
|---|---|---|
| 到達可能性 | 20 | SEO、ストア検索、SNS、コミュニティなど、一人で届くか |
| 実在する需要 | 15 | 検索、質問、競合利用、代替行動が確認できるか |
| 行動証拠 | 15 | クリック、登録、体験、再訪などが出ているか |
| 収益導線 | 15 | 買い切り、広告、サブスク、送客のどれで回収するか |
| 継続・再購入 | 10 | 反復利用、更新、追加購入が起きるか |
| 開発負担 | 10 | 価値の核を短期間で公開できるか |
| 維持負担 | 10 | 問い合わせ、API、法務、障害対応が軽いか |
| 自分との相性 | 5 | 半年後も最低限の保守ができるか |
| 合計 | 100 |
判定
80点以上:小さく販売・公開テストへ
65〜79点:弱い項目を一つ検証してから判断
50〜64点:実装せず、訴求または対象者を変更
49点以下:保留または終了
点数に関係なく止める条件
- 法律、医療、金融の判断を保証する必要がある
- 人が集まらないと価値がゼロになるが、初期集客手段がない
- 無料の標準機能と差がない
- API原価を価格で回収できない
- 常時監視や即時サポートが必要
- 一つのプラットフォーム変更で全機能が止まる
- 個人情報や重要データを扱うのに、保護体制を持てない
- 初版の価値を出すまで数か月かかり、途中検証ができない
9. 商品別の追加合格条件
ゲーム
- 10秒動画だけで遊び方が分かる
- 体験版の最初の1ゲーム完了率を測れる
- 2回目を遊ぶ理由がある
- 一人で作れるコンテンツ量か
- 発売後の更新を止めても商品として残るか
便利アプリ・Webツール
- 問題を検索する言葉がある
- 標準機能より明確に速い
- 入力から結果まで短い
- 一回利用か反復利用か分かっている
- 保存するデータを最小化できる
記事・メディア
- 一記事一問になっている
- 冒頭200字以内に答えがある
- 検索上位と違う情報がある
- 関連記事またはツールへの次の導線がある
- 同じ結論の記事を増やしていない
テンプレート
- 購入直後に使える
- 説明なしでも入力箇所が分かる
- 無料サンプルで価値を見せられる
- 更新を頻繁に要求されない
- アプリを作るより早く解決できる
拡張機能
- 対象サイトで操作が週1回以上発生する
- 必要権限を説明できる
- 対象サイトの変更に追従できる
- ストア規約違反の危険が低い
- 対象サイトが機能を標準搭載しても別価値が残る
10. 7日間の需要調査スプリント
1日目:利用場面を3案作る
各案について、次を書く。
対象者:
発生する場面:
現在の代替:
一番嫌なこと:
約束する結果:
収益方法:
流入元:
2日目:日米の検索と競合を調べる
- 日本語キーワード10個
- 英語キーワード10個
- 日本の競合5件
- 米国・英語圏の競合5件
- 各競合の価格、レビュー、不満
- 無料代替
3日目:レビューを50件読む
最低でも次へ分類します。
乗り換え理由になる:
無料要求だけ:
個人では対応不能:
操作説明の問題:
新しい機能候補:
4日目:商品ページを3案作る
変えるもの:
- 一文説明
- 最初の画像
- 価格
- 無料範囲
一度に全部変えると原因が分からないため、比較する軸は一つか二つにします。
5日目:少額で反応を集める
- 既存サイト
- SNS
- コミュニティ
- 小額広告
- テスター募集
- ウィッシュリスト
- 無料サンプル
投稿禁止や宣伝禁止の場所へ無理に貼りません。
6日目:数字を比較する
表示:
クリック:
LP到達:
登録:
価格表示後の登録:
テスター応募:
離脱場所:
国:
端末:
流入元:
7日目:作る、変える、捨てる
感想ではなく、最初に決めた合格条件で判定します。
- 合格:核だけ実装
- 惜しい:訴求または対象者を1回だけ変更
- 不合格:終了
- 保留:将来の別商品と組み合わせる
「せっかく調べたから作る」は禁止です。
調査で捨てられたなら、開発時間を守れたということです。
11. 公開後は売上ではなく、詰まっている場所を見る
アプリ
ストア表示
→ 商品ページ閲覧
→ インストール
→ 初回起動
→ 主機能完了
→ 翌日再訪
→ 課金画面
→ 購入
→ 更新
Webツール
検索表示
→ クリック
→ 入力開始
→ 処理完了
→ 結果保存
→ 再訪
→ 広告・課金・関連ページ
ゲーム
動画視聴
→ ストア移動
→ ウィッシュリスト
→ 体験版
→ 最初のプレイ完了
→ 2回目
→ D1
→ 購入
たとえば、ダウンロードが少ないときでも原因は別々です。
- 表示されていない
- 説明が刺さらない
- 価格が怖い
- 初回操作が分からない
- 一度使えば終わる
- 使う場面を思い出せない
売上だけを見ると、どこを直すべきか分かりません。
12. 需要調査シート
以下をアイデアごとに埋めます。
# 個人開発需要調査シート
## 1. 商品の種類
- [ ] ゲーム
- [ ] 便利アプリ
- [ ] Webツール
- [ ] 記事・メディア
- [ ] テンプレート
- [ ] 制作アプリ
- [ ] 習慣・生活改善
- [ ] 拡張機能
- [ ] SNS・マッチング
- [ ] その他
## 2. 利用場面
誰が:
いつ:
何をしようとして:
現在の代替:
現在の方法で嫌なこと:
約束する結果:
## 3. 日本の需要
日本語検索語:
検索結果上位:
競合:
価格:
よくある不満:
無料代替:
主な流入元:
## 4. 米国・英語圏の需要
英語検索語:
検索結果上位:
競合:
価格:
よくある不満:
無料代替:
主な流入元:
## 5. 行動証拠
- [ ] 同じ質問を20件以上確認
- [ ] 競合レビューを50件以上確認
- [ ] LPを公開
- [ ] 価格を表示
- [ ] 登録が発生
- [ ] テスター応募が発生
- [ ] 体験利用が発生
- [ ] 翌日再訪が発生
- [ ] 支払いが発生
## 6. 収益
課金方式:
予定価格:
1人当たり変動費:
月額固定費:
必要購入者数:
返金・解約リスク:
## 7. 開発と運用
初版までの日数:
必要な外部API:
保存する個人データ:
問い合わせ想定:
プラットフォーム依存:
終了時のデータ処理:
## 8. 採点
到達可能性 /20:
実在する需要 /15:
行動証拠 /15:
収益導線 /15:
継続・再購入 /10:
開発負担 /10:
維持負担 /10:
自分との相性 /5:
合計 /100:
## 9. 判定
- [ ] 作る
- [ ] 訴求を変えて再試験
- [ ] 対象者を絞る
- [ ] テンプレートや記事として先に出す
- [ ] 終了
判定理由:
次に確認する数字:
13. 結論
自分が面白いと思うかは、個人開発の候補を出すには役立ちます。
しかし、採用判断には足りません。
ゲームは、遊んだ時間と再起動で判断する。
便利アプリは、検索される問題と反復利用で判断する。
Webツールは、処理完了と再訪で判断する。
記事は、検索者の疑問と次の導線で判断する。
テンプレートは、購入直後に使えるかで判断する。
日本向けと米国向けも、翻訳だけで一つにしません。検索語、競合、価格、訴求、利用データを別々に取ります。
個人開発で強いのは、最も面白い大作とは限りません。
自分一人でも利用者へ届く。
短期間で価値の核を出せる。
使った人が戻る。
お金が残る。
保守で自由時間を失わない。
この条件を満たす、小さくて具体的な商品です。
自分の感度で候補を作り、他人の行動で採否を決める。それが、個人開発の需要調査です。
