結論――3対1ではなく、実質的にはカイトが二人を守りながら戦う1対1になる
人数だけ見れば、
カイト
+
ゴン
+
キルア
対
生まれたばかりのピトー
である。
それなら、三人で残れば勝てたのではないかと思いたくなる。
しかし実際の戦力構造は違う。
当時のゴンとキルアは、ピトー相手に有効打を作れる戦力ではない。
カイトから見れば二人は味方であると同時に、守る必要のある対象でもある。
そのため実戦では、
カイト
対
ピトー
ただしカイトはゴンとキルアを守る
になる。
人数が増えたことでカイトの負担が増えている。
ゴンとキルアは、ピトー遭遇後の追加修行すらまだ受けていない
ピトー初遭遇時のゴンとキルアは、グリードアイランドをクリアした直後である。
才能と基礎は高い。
しかしその後、ビスケの追加指導を受けても、ナックルとシュートに敗れる。
初遭遇時点では、その追加修行前である。
ゴンには、
- ジャジャン拳の溜め
- 感情による判断の偏り
- 格上への有効打を作るまでの時間
という問題がある。
キルアには、
- 神速が未完成
- イルミの針が残っている
- 明確な格上を前にすると撤退を優先する心理制御
がある。
二人とも、後半の宮殿突入時より明確に未完成である。
ピトーの初動に対応できるのはカイトだけ
ピトーは、遠距離から三人の位置を捉え、一気に接近する。
カイトは危険を察知し、二人へ逃げるよう命じる。
その直後に片腕を失う。
ここを単純な不意打ちで処理すると、カイトの実力を過小評価しやすい。
カイトは危険を認識している。
ただし、
- 相手の速度と跳躍力が未知
- ゴンとキルアを逃がす必要がある
- 自分が殿として残る
- 能力発動の準備も必要
という状況で先手を取られた。
完全な油断ではない。
未知の怪物へ対し、二人を生存させる判断を優先した結果、戦闘開始時点で身体的な代償を払った。
ゴンのグーは当たれば強いが、当てる手段がない
ゴンのジャジャン拳は、当時でも高い瞬間火力を持つ。
問題は威力ではなく、発動までの構造である。
ゴンが構え、宣言し、オーラを集中する間、相手は止まってくれない。
ピトーの速度を考えると、
- ゴンが溜め始める
- ピトーが狙う
- カイトが守る
- カイトの行動が制限される
という流れになる。
カイトがピトーを完全に拘束できる武器を引き、ゴンへ十分な時間を与えられれば勝ち筋はできる。
しかし、公開されているクレイジースロットの武器だけでは、その拘束性能は確認できない。
キルアは撤退判断には最適だが、正面戦力にはなりにくい
キルアがゴンを気絶させて撤退した判断は正しい。
あそこでゴンが感情のまま残れば、カイトはゴンを守らなければならない。
キルア自身も格上への恐怖に強く縛られている。
だからキルアが残った場合、
- ゴンを止める
- ピトーを警戒する
- 自分の針による撤退衝動と戦う
- カイトの邪魔をしないよう動く
必要がある。
戦闘参加者が一人増えるというより、
危機管理担当が一人残る
に近い。
キルアの最大の貢献は、ピトーを倒すことではなく、ゴンを連れて戦場から消えることである。
カイトのクレイジースロットをジンが作ったとは確定していない
カイトの念能力「気狂いピエロ」は、1から9までの数字に対応する武器をランダムに具現化する。
カイト自身は武器を選べない。
出した武器は、使用するまで消せない。
この不便さが制約となり、それぞれの武器性能を高めていると考えられる。
後にジンは、
カイトが本気で死にたくない時にしか出ない番号がある
と語る。
このため、
ジンが能力を設計し、カイトに選ばせた
と受け取られることがある。
しかし作中で確定しているのは、
- ジンがカイトの念の師匠である
- ジンがクレイジースロットの特殊番号を知っている
というところまでである。
ジンが能力を完全に設計したのか。
制約づくりを助言したのか。
カイトが自分で作り、ジンが詳細を把握していただけなのか。
そこは明示されていない。
カイトが弱く見えるのは、強者相手の勝利描写がないから
カイトの実績として画面に出るのは、
- 銃で蟻を倒す
- 大鎌で集団を一掃する
- ピトーに片腕を奪われる
- 戦闘の大部分が省略されたまま死亡する
という流れである。
兵隊蟻相手には圧倒的に強い。
しかし人間側の上位念能力者を倒した実績は描かれない。
そのため、
カイトは上級者として扱われているが、どこまで強いのかを比較できる材料が少ない。
ピトーに負けたこと自体は、弱さの証明にならない。
ピトーは、熟練プロハンターの多くが単独で遭遇すれば死亡する相手である。
ただし読者が見た勝利は雑魚狩り中心なので、体感的に弱く見える。
片腕のカイトがピトーを楽しませたことは、互角の証明ではない
ピトーはカイトとの戦闘後、もう一度戦いたいと考える。
そのためカイトの死体を修復し、操る能力を作る。
これはカイトが一方的に何もできなかったわけではないことを示す。
片腕でも、
- 高い戦闘技術
- クレイジースロットの武器
- 死を前にした判断
- ピトーにとって未知の戦い方
を見せたのだろう。
しかし、
ピトーが再戦したがった=カイトが勝利寸前だった
ではない。
ピトーは生まれた直後で、強者との戦闘経験がほとんどない。
初めて十分に遊べる相手だった可能性が高い。
戦闘後のピトーに致命的損傷は描かれず、結果はカイトの死亡である。
三人で勝つには、未公開の特殊番号が戦闘特効である必要がある
三人側の勝ち筋を最大限好意的に組むなら、次の条件が必要になる。
- ピトーの接近を事前に把握する
- カイトが両腕を保ったまま能力を出す
- クレイジースロットで拘束、即死、強制離脱などの特殊武器を引く
- カイトがピトーを一定時間止める
- ゴンが最大出力のグーを急所へ当てる
- キルアが撹乱と撤退経路を担当する
これなら理論上の勝ち筋はある。
しかし、条件の中心が、
未公開能力がピトーに刺さること
に依存している。
通常の殴り合いではピトー優勢である。
カイトが一人で残り、キルアがゴンを連れて逃げるのが最善だった
結果としてカイトは死亡した。
それでも戦術判断としては正しい。
三人で残れば、
- ゴンが暴走する
- キルアがゴンを止める
- カイトが二人を守る
- ピトーが最も弱い対象を狙う
- カイトの攻撃機会が減る
可能性が高い。
カイト一人なら、少なくとも自分の判断だけで戦える。
キルアがゴンを連れ出したことで、カイトは二人を生存させた。
あの場面は、
三人なら勝てた戦いを二人が逃げた
のではない。
一人しか戦力にならない戦場から、二人の生存者を出すためにカイトが残った
場面である。
