『Clair Obscur: Expedition 33』序盤の世界観、もう人類詰んでない?

※この記事はゲーム冒頭〜序盤の内容に触れる。中盤以降の重大な真相やエンディングのネタバレは扱わない。

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ゴマージュ、モノリス、第33遠征隊を「初見のツッコミ」から整理する

※この記事はゲーム冒頭〜序盤の内容に触れる。中盤以降の重大な真相やエンディングのネタバレは扱わない。

『Clair Obscur: Expedition 33』をストーリー動画で見始めると、かなり早い段階でこうなる。

「でかい女が岩に数字を書いてる」 「33歳になったら消えるの?」 「肩に33って書いてあるギュスターヴはなんで消えない?」 「みんな受け入れすぎでは?」 「いや、町ごと全員で倒しに行けよ」 「遠征隊、手ぶらすぎない?」 「大陸、最初からラスダンでは?」 「なんか老人いるし、しかも強いし」 「大部隊で来たのに、すごい勢いで人数減ってる」 「戦闘UI、ペルソナ5っぽい」 「設定、進撃の巨人っぽくない?」

そして調べると、最後の二つは本当に開発者が影響を認めている。

つまりこのゲーム、初見のツッコミがだいたい正しい方向に刺さる。

0. 30秒で分かる序盤のルール

まず最低限だけ整理しよう。

ルミエールという都市では、年に一度「ペイントレス」が巨大なモノリスに数字を描く。その数字と同じ年齢の人々は煙のように消える。しかも数字は年々小さくなっていく。[1][2]

今年、描かれる数字は「33」。

そして第33遠征隊は、ペイントレスを倒してこの死の循環を止めるために大陸へ向かう。過去の遠征隊は一隊も帰っていないが、後続のための痕跡や道筋を残してきた。[2]

ここだけでも十分ひどい。

コメント欄にすると、

住民「今年は33です」

住民「来年は32です」

住民「まあ毎年のことなので……」

読者「いや“来年”の在庫が減ってるぞ」

である。

1. ゴマージュは「突然の災害」ではなく、毎年予定されている死

この設定で一番怖いのは、死そのものよりも「日常化」だ。

公式説明では、ペイントレスは年に一度目覚め、数字を描く。冒頭では「明日、33が描かれる」ことまで分かっている。[1]

つまり住民にとってゴマージュは、

「いつ来るか分からない隕石」

ではなく、

「今年もこの時期が来ました」

に近い。

だから家族や恋人が最後の時間を過ごし、対象年齢の人が自分の番を理解し、社会全体が儀式として見送る。

「なんで泣き叫んで逃げないの?」と思うが、逃げれば避けられるタイプの現象ではない。何年も前から自分の残り時間が読める社会なら、悲しみと受容が同居する文化になるのは不自然ではない。

公式のシエル紹介も、彼女を「世界の厳しさを受け入れ、死に動じない人物」として描いている。[3]

平気なのではない。

平気なふりが文化になった、と見る方が近い。

2. 肩の「33」は年齢ではない。ここ初見殺し

ギュスターヴの肩に「33」。

その直後に33歳の人々が消える。

そりゃ思う。

「お前も33歳ちゃうんかい」

でも、この33は第33遠征隊の番号であって、年齢札ではない。

公式はギュスターヴについて「残された最後の一年を遠征に捧げる」と説明している。[3]

つまり「33が描かれた今すぐ消える人」ではなく、「次の年齢カウントが迫っている側」。

制服に33が大きく入っているのは、部隊のアイデンティティを一目で見せるデザインでもある。後述するが、開発者は『進撃の巨人』の制服が作品を一目で認識させる点を好み、本作でも制服による識別性を重視したと話している。[4]

だから初見では、

肩「33」

モノリス「33」

視聴者「お前死ぬん?」

ギュスターヴ「部隊番号です」

になる。

紛らわしい。だがデザインとしては強い。

3. 「このままだと子ども作れないし詰む」――序盤設定だけなら、その通り

数字が毎年下がるなら、序盤の情報だけで考えても人口学的には完全にカウントダウンだ。

33、32、31……と下がれば、

  • 親世代が子育ての途中で消える
  • 熟練した技術者や教師が若いうちに失われる
  • 社会が長期教育へ投資しにくくなる
  • さらに数字が下がれば、成人する前に消える世代が出る

となる。

ゲーム側もギュスターヴの動機を「ルミエールの子どもたちに未来を取り戻すこと」と明言している。[3]

だから第33遠征隊の目的は「今年の33歳をかわいそうだから救う」だけではない。

放っておけば、社会そのものに終端が来る。

まさに、

夏休み終了5日前

宿題:人類存続

進捗:過去の遠征隊、全員帰還せず

みたいな状態である。

4. 「だったら町ごと全員で行けば?」は合理的。でもオールインは一発で人類終了

ここで自然に出る疑問。

「中途半端に毎年遠征隊を送るくらいなら、ルミエール総出で行けばよくない?」

序盤では「なぜ市民総出にしないのか」という軍事政策を細かく講義してくれるわけではない。

ただし公式設定では、過去の遠征隊は一隊も帰還していない。[2]

ここから考えると、全人口オールインはかなり危険だ。

100人送って失敗する。 次の年に情報を引き継いでまた送る。

これはまだ次がある。

一方で、

「今年こそ全住民で行くぞ!」

→ 全滅

→ ルミエールも消滅

では、そこで終わりだ。

だから「毎年、選抜した遠征隊を送り、前の隊の痕跡を積み上げる」は、絶望的ではあるがリスク分散としては理解できる。

ただし数字がどんどん下がるので、いつかは「温存してる場合か?」になる。

ここが面白い。

戦略としては保守的に分散したい。 時計は毎年一つずつ減っていく。

「失敗しても来年」が、だんだん使えなくなる。

5. 大陸に出た瞬間、最初からラスダン

ルミエールでは、ゴマージュは最悪だが街としての生活は成立している。

ところが大陸へ出た瞬間、

  • 異形の敵
  • 過去遠征隊の残骸
  • ルミエールの常識から外れた存在
  • 序盤とは思えない景観
  • 味方が猛烈な勢いで減る

となる。

普通のRPGなら、

草原 → 森 → 洞窟 → 魔王城

と段階を踏みそうなのに、

『Expedition 33』は、

出港 → 上陸 → ラスダンみたいな空気

である。

公式も、世界各地に「過去の遠征隊が残した壊れた構造物、道、痕跡」を配置し、環境そのものから過去を読ませる設計だと説明している。[5]

だから「ルミエールって、実はかなり守られた場所だったのでは?」という初見の感覚も自然だ。

ここで重要なのは、「誰かが意図的に守っていた」とまでは序盤情報だけで断定しないこと。

言えるのは、

外へ出るまで、住民は外の地獄を日常として体験していなかった

ということだ。

6. 「大部隊で来たのに主人公だけ残る」RPGあるあるが、設定と噛み合っている

ゲームあるある。

「精鋭部隊100名、出撃!」

数十分後。

「プレイアブルキャラ3名です」

なぜか。

100人分の仲間を最後まで連れ回すと、物語も戦闘も画面も管理不能になるからである。

開発者「大遠征隊です!」

開発者「100人分のAI、セリフ、装備、経路、戦闘参加……」

開発者「……減らそう」

身も蓋もない。

ただ、『Expedition 33』はこのゲーム都合を設定側がうまく受け止めている。

過去の遠征隊が誰も帰っていない。 大陸がそもそも危険。 今回の遠征も「impossible odds」と公式が表現するほど分が悪い。[6]

だから味方が序盤から猛烈に脱落しても、

「ゲームだから人数整理しました」

だけでなく、

「そりゃ過去隊も帰れないわ」

という世界観の説明になる。

7. ギュスターヴ、周りが死んでるのに普通に敵を倒す――リヴァイ枠なのか?

周囲の遠征隊員が次々やられているのに、プレイヤー操作のギュスターヴだけ普通に敵をボコボコにする。

見ている側は、

「こいつだけリヴァイ兵長なの?」

となる。

設定上、ギュスターヴはただの会社員ではない。ルミエールの防衛と農業システムに人生を捧げてきたエンジニアで、正式な遠征隊員でもある。[3]

さらにゲームシステムとして、プレイヤーは敵の攻撃をリアルタイムで回避・パリィ・カウンターできる。[1][5]

つまり、

本人も有能 + プレイヤーがパリィできる

画面上では一人だけ人類最強に見える

となる。

敵撃破後に何かを回収しているように見える演出も、ピクトスやルミナを含む本作の成長・リソース系の仕組みにつながっている。[5][7]

序盤では世界の物理法則まで全部説明されないので、「敵から何か有用なものを持ち帰って強くなるRPGの成長ループ」くらいに見ておけば十分だ。

8. 戦闘がペルソナ5っぽい? はい、影響は実際にある

コマンド選択。 動くカメラ。 気持ちいいUI。 ターン制なのに静止して見えない。

「これペルソナ5っぽくない?」

その感覚はかなり正しい。

クリエイティブディレクターのGuillaume Brocheは、Personaを含む日本RPGの影響を隠していないと話している。一方で、特にFF8〜10期のファイナルファンタジーへの愛情も大きいと説明している。[8]

Unreal Engineの開発者インタビューでは、Persona、Final Fantasy、Lost Odysseyに加え、Sekiroのようなアクションゲームも戦闘システムの参考になったと明言されている。[9]

だから雑に成分表示すると、

見せ方:Persona 5 RPGの骨格:クラシックFF系 敵ターン:Sekiro系の反応勝負

という感じ。

本作の公式名称「リアクティブターン制」がまさにその混合物だ。[1]

9. 「設定、進撃の巨人か?」――これも当たり

これも開発者が認めている。

Guillaume Brocheは『進撃の巨人』が本作ストーリーへの影響の一つだったと話している。特に、集団で戦う英雄たちと、一目で所属が分かる制服が好きだったという。[4]

別の日本向けインタビューでも、『進撃の巨人』のファンで影響を受けていることを認めつつ、ストーリー面ではフランス小説『La Horde du Contrevent』の影響が大きいと説明している。[8]

だから序盤の、

安全圏の都市 → 外の世界はよく分からない → 制服の遠征隊 → 決死で外へ出る → 外が想像以上に地獄

という感触に『進撃』を連想するのは偶然ではない。

ただしコピーではない。

ベル・エポック、アールデコ、JRPG、フランス文学、アニメ、アクションゲームが全部混ざっている。[9]

「好きなもの全部入れたら、なぜかちゃんと一つの世界になった」

タイプの作品だ。

10. ストーリー動画だけだと設定が抜ける理由

ここが動画視聴勢には重要。

『Expedition 33』の設定はムービーだけに置かれていない。

公式は、

  • 過去遠征隊の痕跡を環境に置く
  • 秘密やサイドエリアを探索させる
  • キャンプで仲間と会話し、過去や動機を知る
  • 過去の遠征隊が残した足跡を追う

という作りを明言している。[2][5][10]

だからムービー集だけ見ると、

「33歳が消える」 「倒しに行く」 「敵がいる」 「人が死ぬ」

という幹は追える。

でも、

「この死体は誰?」 「なんでここに集まってる?」 「過去の隊は何を見た?」 「なぜこの人はこの考え方?」 「この場所が変なのはなぜ?」

みたいな枝が抜ける。

つまりストーリー動画を見るなら、

ムービー + 気になった場所だけ設定補完

がかなり相性いい。

全部の探索を自分でやらなくても、疑問が出た瞬間だけ調べればいい。

11. 手ぶら遠征、巨大ペイントレス、超速お絵描き――どこまで設定として読む?

ここは「画面に映ったもの」と「世界設定として確定しているもの」を分けたい。

遠征隊、手ぶらすぎない?

見た目はかなり軽装。

「人類最後の希望です!」 「食料は?」 「水は?」 「テントは?」 「🎒 0」

となる。

ただしゲームではキャンプ、武器強化、回復資源などが存在する。[10]

よって「本当に兵站ゼロ」という設定ではなく、画面上で荷物を全部背負わせないゲーム的省略と見るのが安全だ。

ペイントレス、でかいし速すぎない?

巨大なモノリスの数字を一瞬で変える。

それを見て、

「こいつ物理的にも超高速なのでは?」

と思うのは分かる。

でも序盤時点では、「数字を描く能力」と「近接戦闘の移動速度」を同じものとして扱う根拠はない。

魔法的な描画能力を、100メートル走のタイムに換算しない。

モノリスって石?

名前の「monolith」は一般語として巨大な一枚岩や単一の巨大構造を指す。

ただし作中のモノリスについて、序盤から材質や物理構造を勝手に確定する必要はない。

「クソデカい謎の構造物」

で十分である。

12. 結論――幹のストーリーを見るなら、「この世界なんで?」を一個ずつ拾うのが一番おもしろい

『Clair Obscur: Expedition 33』の序盤は、プレイヤーへ設定資料を先に配らない。

代わりに、

「33で消える」 「みんな受け入れてる」 「遠征隊は帰ってこない」 「外は地獄」 「なのに主人公たちは進む」

という違和感を先に置く。

だから初見の、

「いや全員で行けよ」 「子ども作れなくなって詰むやん」 「肩の33なんなん」 「最初からラスダンやん」 「こいつだけリヴァイ?」 「P5っぽい」 「進撃っぽい」

というツッコミは、ただの茶化しではない。

世界観の重要な接合部をちゃんと見つけている。

全部を最初から理解する必要はない。

むしろ、

「なんで?」

を一個ずつ残しながら見る。

それがこのゲームのかなり正しい楽しみ方だ。

Sources / 参考資料

https://www.sega.jp/game/detail/expedition33/

https://www.expedition33.com/post/lore-trailer

https://www.expedition33.com/post/your-first-look-at-gameplay-from-clair-obscur-expedition-33

https://www.expedition33.com/overview/characters

https://www.unrealengine.com/developer-interviews/inside-the-development-journey-of-clair-obscur-expedition-33

https://dengekionline.com/article/202502/34945

https://automaton-media.com/en/interviews/clair-obscur-expedition-33-director-eliminating-limitations-is-a-big-mistake-we-talk-to-sandfall-interactive-about-staying-small-japanese-influences/

https://www.pcgamer.com/games/rpg/clair-obscur-expedition-33-creative-director-speaks-candidly-about-the-new-rpgs-respect-for-final-fantasy-and-persona-we-are-definitely-not-hiding-that-there-are-influences/

https://www.expedition33.com/post/release-date-announce

https://clairobscur.wiki.gg/wiki/Lumina_Converter

参考資料(10件)

  1. SEGA公式『Clair Obscur: Expedition 33』製品ページ — ゴマージュの基本設定、リアクティブターン制
  2. Sandfall Interactive公式 Lore Trailer — 過去遠征隊は帰還せず、後続へ道筋を残したこと、フラクチャーから67年
  3. 公式キャラクターページ — ギュスターヴ、マエル、ルネ、シエル等の背景
  4. AUTOMATON WEST開発者インタビュー — 『進撃の巨人』、集団で戦う英雄、制服デザインへの影響
  5. Sandfall Interactive公式 First Look at Gameplay — 環境ストーリーテリング、過去遠征隊の痕跡、Pictos/Lumina、戦闘システム
  6. PC Gamer開発者インタビュー — PersonaとクラシックFinal Fantasyの影響
  7. Clair Obscur Wiki (wiki.gg) Lumina Converter — ゲーム内記述に基づくルミナ・コンバーター補足
  8. 電撃オンライン開発者インタビュー — 『進撃の巨人』と『La Horde du Contrevent』からの影響、ギュスターヴ像
  9. Unreal Engine開発者インタビュー — ベル・エポック、Persona、Final Fantasy、Lost Odyssey、Sekiro、フランス文学からの影響
  10. Sandfall Interactive公式 Release Date Trailer記事 — ワールドマップ、キャンプ、仲間との会話

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