Qwen2.5-Coder 14Bを入れて、どこまで使えるか確かめる
2025年初頭には、o3-miniが「小さいのに数学・科学・プログラムを書くことがかなり得意なもの」として登場した。
それから約1年半。現在のCodexは、単にプログラムの質問へ答えるだけではない。プログラムと関連ファイルのまとまりを読み、複数のファイルを直し、コマンドを実行して動作を試す。失敗すれば原因を調べ、長い作業も最後まで進める。
ここまで進化すると、当然こう思う。
このレベルを、自分のパソコンへ入れて無料で動かせないのか。
結論から言えば、Codexが自分のパソコンでファイルを読んだり直したりする環境は作れる。しかし、GPT-5.5やGPT-5.6の頭脳を、そのまま家庭用パソコンへ入れることはできない。
それでも、16GB級のパソコンで「Codexのように自分のパソコンだけで作業する道具」を作ることは可能だ。
今回の候補は、次の構成である。
コマンドで使うCodex
+ Ollama
+ Qwen2.5-Coder 14B Instruct
+ RTX 3080
+ パソコン全体の作業用の容量 16GB
この記事では、文章に答えて作業する道具の進化の速さ、外部の大きな計算機を使う場合と自分のパソコンだけで動かす場合の差、Qwen2.5-Coder 14Bが動く条件、性能を確かめる方法まで整理する。
第1部 わずか1年半で、「答えてくれる道具」から「作業もしてくれる道具」になった
o3-miniはいつ出たのか
OpenAIのo3-miniは、2025年1月31日に公開された。
当時の位置づけは、数学・科学・プログラムを書くことを得意とし、速く、比較的安く使える、考えて答えを出すものだった。OpenAIは、考えるために使う計算量を中程度にすると、数学・プログラムを書く問題・科学でo1と同程度の性能を示すと説明していた。
今から見ると、o3-miniは「非常に賢い単発作業員」に近い。
明確な問題を渡せば、プログラムを書き、不具合を探し、数学問題を解く。しかし、画面を見ながら長時間作業したり、複数のツールをまたいで何十工程も完遂したりする現在のCodexとは、製品としての性質が違う。
半年後には、o3-mini級を自分のパソコンで動かせるようになった
gpt-oss-20bは、2025年8月5日に公開された。
OpenAIは、gpt-oss-20bが一般的な評価でo3-miniに匹敵または上回り、16GBのメモリを持つ端末でも動作可能だと説明している。
これはかなり大きい。
2025年1月には外部の計算機で動くものの中でも有力だった水準が、半年ほどで家庭用のパソコンへ届いた。学習で決まった内部の数値が公開され、自分で動かせるようになったのである。
ただし、「16GBで動く」と「16GBのWindowsパソコンで、Codexに作業を任せながら快適に使い続けられる」は別である。
答えを作る仕組みを読み込めても、Windows、ブラウザ、プログラムを作るソフト、前に読んだ文章の計算結果を覚えておく場所、道具の実行、一度に扱う長い文章が、同じ作業用の容量を使う。答えを出せることと、実際の仕事で快適に使えることは分けて考える必要がある。
GPT-5.5で、答えを作るものに任せられる仕事が変わった
GPT-5.5は2026年4月23日に公開された。
OpenAIはGPT-5.5を、複雑なプログラム作成、パソコンの操作、知識を使う仕事、調査の一連の作業に対応する、当時の最先端のものとして位置づけた。
重要なのは、同じ問題で比べる試験の点数だけではない。
GPT-5.5とCodexの組み合わせでは、
- 大きなプログラムのまとまりが、どう組み合わさっているか把握する
- 原因がはっきりしない不具合について、こうかもしれないと考える
- ツールで前提を検証する
- 変更の影響範囲を追う
- 複数ファイルへ整合的に変更を反映する
- 画面を見てクリック、入力、移動する
といった仕事が強化された。
つまり、質問に答えて作業する道具の進化は「回答が少し賢くなった」ではない。
質問に答えるもの
から
コンピューター上で仕事を進める道具
への変化だった。
2026年7月時点では、GPT-5.6 SolがCodexで使う最も高性能なもので、GPT-5.5はその一つ前の世代の最先端のものという位置づけになっている。
17か月ほどで、o3-miniが「以前は非常に高性能だった小さいもの」に見えるほど進んだことになる。
第2部 自分のパソコンで答えを作るものは、あまり進化していないのか
自分のパソコン用も進化しているが、外部の計算機で動くものはさらに速く進化している
家庭用のパソコンで答えを作る仕組みも、確実に進化している。
しかし、外部の大きな計算機で動く最も高性能なものは次の要素を同時に伸ばせる。
- 非常に大きな、答えを作る仕組み
- 答えを考えるための大量の計算
- 一度に読み、覚えておける長い文章
- 画像や画面に何が写っているか読み取ること
- 道具を使うこと
- ウェブを見るソフトを操作すること
- 道具に長時間作業を続けさせること
- 複数の道具に仕事を分担させること
- 大きな作業用の容量
- 大きな計算機にある、高速な画像などの計算用の部品
自分のパソコンだけで動かす場合は、同時に「家庭用の画像などの計算用の部品にある、作業用の容量へ収める」という制約を受ける。
性能が上がっても、答えを作る仕組みが大きくなれば家庭用パソコンでは動かせない。小さくすれば動くが、答えの正確さや速度が落ちる。一度に扱う文章を長くすれば、その計算結果を覚えておくための容量も増える。
したがって、自分のパソコンで答えを作る仕組みの進化は止まっていないが、外部の大きな計算機で動く最も高性能なものとの差が急速に縮んでいるわけでもない。
「自分のパソコンで動く」には二つの意味がある
「自分のパソコンで動く」と言うとき、二つの意味を混ぜてしまいやすい。
一つ目は、コマンドで使うCodexが自分のパソコン上でファイルを読み、編集し、コマンドを実行すること。
二つ目は、答えを作る仕組み自体も自分のパソコンの計算用の部品や作業用の容量で動かし、外部のサービスへ送らないこと。
コマンドで使うCodexで、答えを外部の計算機に作ってもらう場合は、
ファイルを読む手足は自分のパソコン
答えを考える頭脳は外部の大きな計算機
である。
OllamaとQwenを使う構成は、
手足も頭脳も自分のパソコン
になる。
コマンドで使うCodexには、OllamaまたはLM Studioを使い、自分のパソコンで答えを作る--ossモードが公式に用意されている。
したがって、Codexがファイルを読み書きする環境を、自分のパソコンで答えを作る仕組みへつなぐこと自体は正式に可能である。
ただし、同じCodexのコマンド版でも、判断力、修正精度、長時間の安定性はどの仕組みに答えを作ってもらうかで変わる。
第3部 16GB環境でQwen2.5-Coder 14Bは動くのか
まず「16GB」が何を指すかを分ける
自分のパソコンだけで答えを作る場合は、少なくとも次の二つを分ける必要がある。
- パソコン全体の作業用の容量
- 画像などの計算用の部品にある作業用の容量
今回想定しているパソコンは、中心の計算用の部品がRyzen 9 5900X、画像などの計算用の部品がRTX 3080で、パソコン全体の作業用の容量は16GBである。
RTX 3080には10GB版と12GB版があるため、まずnvidia-smiで画像などの計算用の部品に、作業用の容量がどれくらいあるかを確認しなければならない。
この差は大きい。
Qwen2.5-Coder 14B InstructのOllama版は、内部の数値の細かさを落として小さくした版によって、次の容量になる。
| 小さくした版の名前 | 保存に必要な容量 | Ollamaに表示される、一度に扱う文章の量 |
|---|---|---|
| Q3_K_M | 約7.3GB | 32K |
| Q4_K_S | 約8.6GB | 32K |
| Q4_K_M | 約9.0GB | 32K |
| Q5_K_M | 約11GB | 32K |
| Q8_0 | 約16GB | 32K |
Q4_K_Mが品質と容量の標準候補で、Q4_K_Sは少し軽い。
ここで文章の「区切り」は、機械が文章を扱うために小さく分けた単位で、文字数と同じではない。Kはおよそ千個単位の表記である。速度の「区切り/秒」は、一秒あたりにいくつの区切りを作るか、または読むかを表す。
ただし、答えを作る仕組みのファイルが9GBだからといって、画像などの計算用の部品に10GBの作業用の容量があれば余裕で入るわけではない。
答えを作っている間は、その仕組み本体以外にも、次のための作業用の容量が必要になる。
- 前に読んだ文章の計算結果を覚えておく場所
- 計算中のデータを一時的に置く場所
- 画像などの計算用の部品を動かすソフト
- Windowsの画面描画
- ほかのアプリが画像などの計算用の部品を使うこと
- 一度に渡す長い文章
したがって、RTX 3080 10GB版では、Q4_K_Mを画像などの計算用の部品だけへ読み込みながら、一度に長い文章を扱うのは厳しい可能性が高い。
12GB版なら、一度に扱う文章の量を8K程度にして始めれば、Q4_K_Mが現実的な候補になる。
Qwen2.5-Coder 14Bそのものに何ができるか
Qwen2.5-Coder 14B Instructは、学習で決まった内部の数値が約147億個ある、プログラムの作成を得意とするもので、Apache 2.0という利用条件で公開されている。
Qwen公式の製品説明では、プログラムを作ること、読み解いてどう動くか考えること、直すことを重視し、ファイルを読んで作業する道具として使うことも想定している。
答えを作る仕組み自体は、文章を小さく区切った単位を最大131,072個扱える設計だが、通常設定は32,768個で、長い文章を扱うにはYaRNという方法などで追加設定が必要になる。
しかし、今回のパソコンで128Kを狙う意味はほぼない。
一度に扱う文章が長いほど、作業用の容量を使い、答えを作る仕組みの一部を、パソコンの中心で計算する部品へ移して動かすことになる。そうなると速度が大きく低下する。
最初は8K、安定すれば16K、かなり余裕がある場合だけ32Kという順番が現実的である。
RTX 3080 10GBの場合
本命はQ4_K_SまたはQ3_K_M。
想定される状態は次のどちらかになる。
- 一度に扱う文章の量を8Kにし、大半または全部を画像などの計算用の部品へ読み込む
- 一部をパソコン全体の作業用の容量へ移し、中心の計算用の部品と画像などの計算用の部品の両方で答えを作る
パソコン全体の作業用の容量が16GBしかないため、中心の計算用の部品へ移す部分が増えると、Windows全体が重くなる。
この場合は、一時データを保存先の空き容量へ逃がす設定が有効でも、保存先とのデータの出し入れが続き、体感速度が大きく落ちる可能性がある。
10GB版では、14Bが「起動するか」より、「8KでWindowsを普通に使いながら4区切り/秒以上出るか」が重要になる。
RTX 3080 12GBの場合
Q4_K_Mが第一候補になる。
一度に扱う文章の量を8Kにし、画像などの計算用の部品だけへ100%読み込めれば、かなり現実的である。16Kは実測して判断する。
ただし、12GBあっても、32Kで使い続けると、前に読んだ文章の計算結果を覚えておくための容量が増え、中心の計算用の部品へ移して動かす部分が出る可能性がある。
パソコン全体の作業用の容量 16GBは最低ライン
パソコン全体の作業用の容量が16GBでも、入れて試すことはできる。
しかし、Ollama、コマンドで使うCodex、PowerShell、Git、エディター、ブラウザを同時に開けば余裕は小さい。
14Bを常用したいなら、最も費用対効果が高い改善はパソコン全体の作業用の容量を32GBへ増やすことだ。
画像などの計算用の部品を買い替えなくても、中心の計算用の部品へ一部を移したときに安定しやすくなる。保存先の空き容量を一時置き場にする必要も減り、複数のアプリを一緒に使いやすくなる。
第4部 どこまで「Codexみたい」に使えるのか
期待できる作業
Qwen2.5-Coder 14Bとコマンドで使うCodexの組み合わせでも、次の作業は十分に狙える。
- プロジェクト内のファイル検索
- プログラムが何をするかの説明
- 小規模な機能追加
- 不具合の修正
- 入力が正しいか確かめる処理の追加
- 動作を確かめるプログラムの作成
- READMEやコメントの更新
- 複数ファイルへの小規模変更
- 動作を試すこと、実行できる形にまとめること、書き方の問題を見つける検査
- Git差分の確認
何をしてほしいかはっきり示し、小さな単位で作業させるほど成功率は上がる。
厳しい作業
次の作業は、GPT-5.5やGPT-5.6との差が出やすい。
- 大きなプログラムと関連ファイル全体の把握
- 曖昧な要求から、全体をどう組み立てるか考える難しい設計
- 何十もの手順を、指示を待たずに進め続けること
- 複雑な失敗からの自己修復
- 一度に読み、覚えておける長い文章を保持したままの一貫作業
- 画面を見て複数アプリを横断する操作
- 求人応募のようなブラウザ自動化
- 人間かどうかを確かめる画面が入る、クリックや入力を使う一連の作業
自分のパソコンだけで答えを作る版は「Codex 5.5を無料再現するもの」ではない。
正確には、
コマンドで使うCodexという手足に、家庭用パソコンで動くプログラムの作成を得意とするものをつなぎ、
小〜中規模の仕事を無料で処理する環境
である。
性能は同じ問題で比べる試験の数字だけでなく、実際の作業で判断する
答えを作る仕組みが起動しただけでは、使えると判断しない。
最低限、次の三段階を試す。
答えを作る部分だけで速度を確かめる
短いプログラム修正問題を3回実行し、2回目以降の生成速度を測る。
目安は次の通り。
- 8区切り/秒以上:比較的使いやすい
- 4〜8区切り/秒:待てるなら実用
- 4区切り/秒未満:Codex用途ではかなり重い
これは公式基準ではなく、日常的に使い続けられるか判断するために、この記事で置いた目安である。
作業用の容量に余裕があるか確かめる
ollama psの表示で、画像などの計算用の部品だけへ100%読み込まれているか、それとも中心の計算用の部品にも分けて読み込まれているか確認する。
nvidia-smiを使い、画像などの計算用の部品で、作業用の容量をどれだけ使っているか確認する。
Windowsのタスクマネージャーで、パソコン全体の作業用の容量と、保存先の空き容量を一時置き場にする設定の状態を見る。
Ollama公式も、一度に扱う文章が長いほど作業用の容量が増えるため、ollama psでどの部品へ分けて読み込まれているか確認するよう案内している。
Codex実動テスト
実際のプロジェクトではなく、Gitで変更を記録できる、一時的な小さい作業用フォルダーを作る。
そこへ、
- 許される値の端で起きる不具合
- 入力が正しいか確かめる処理が足りないこと
- テスト不足
- READMEとの不一致
を入れる。
Codexへ、調査、計画、修正、テスト、README更新まで一括で依頼する。
ここで複数ファイルを読み、無関係なファイルを壊さず、テストを通せれば、自分のパソコンだけで動かすCodexとして最低限使える。
第5部 無料なのか
OllamaとQwen2.5-Coder 14Bを自分のパソコンで動かし、コマンドで使うCodexの--ossモードから接続する構成では、OpenAIへ答えの作成を頼む従量料金は発生しない。
Qwen2.5-Coder 14B InstructはApache 2.0という利用条件で公開されている。
実際に必要なのは、
- 電気代
- 答えを作る仕組みのファイルを保存するための空き容量
- 必要に応じたパソコン全体の作業用の容量増設費
である。
ただし、外部の計算機で動くGPT-5.5やGPT-5.6へ切り替えれば、ChatGPTプランの利用枠、またはプログラムから利用した分の料金の対象になる。
自分のパソコンで答えを作るものと外部の計算機で答えを作るものは、同じCodexのコマンド版でも別の頭脳である。
第7部 最終結論
16GBのパソコンでも、Codexのように、ファイルを読んで直す道具を自分のパソコンだけで動かす環境は試せる。
ただし、目標を間違えてはいけない。
GPT-5.5やGPT-5.6と同じ能力を、無料で完全再現する構成ではない。
狙うべきなのは、
機密性を保ちながら
外部へ答えの作成を頼む料金なしで
小〜中規模のプログラム作成や修正を
自分のパソコンの中で作業を助ける道具
である。
今回の構成で最も重要なのは、製品の名前だけでなく、実際に測った結果だ。
RTX 3080が10GBか12GBかを確認する。
Q4_K_MまたはQ4_K_Sを選ぶ。
一度に扱う文章の量を8Kにして起動する。
ollama psで画像などの計算用の部品へ読み込めた割合を見る。
生成速度を測る。
一時的な作業用フォルダーで、複数のファイルを直して動作を確かめる。
そこで使えるなら常用する。重ければ無理に使わない。
パソコン全体の作業用の容量を32GBへ増やせば安定性は上がるが、答えを作る仕組みの判断力がGPT-5.5級になるわけではない。
外部の計算機で答えを作るCodexは、高度で曖昧な仕事、長時間作業、大規模なプログラムと関連ファイルのまとまりへ使う。
自分のパソコンだけで動かすCodexは、明確で小さな仕事、決まった形の修正、プログラムの理解、動作を確かめる処理の追加へ使う。
この使い分けなら、追加の利用料金なしで自分のパソコンで動く道具は十分に価値がある。
参考資料(11件)
OpenAI「OpenAI o3-mini」
https://openai.com/index/openai-o3-mini/OpenAI「Introducing gpt-oss」
https://openai.com/index/introducing-gpt-oss/OpenAI「Introducing GPT-5.5」
https://openai.com/index/introducing-gpt-5-5/OpenAI Codex Models
https://developers.openai.com/codex/modelsOpenAI Codex CLI
https://developers.openai.com/codex/cliOpenAI Codex Advanced Configuration
https://developers.openai.com/codex/config-advancedOllama Windows
https://docs.ollama.com/windowsOllama Context Length
https://docs.ollama.com/context-lengthOllama Qwen2.5-Coder Tags
https://ollama.com/library/qwen2.5-coder/tagsQwen2.5-Coder-14B-Instruct Model Card
https://huggingface.co/Qwen/Qwen2.5-Coder-14B-InstructQwen2.5-Coder-14B-Instruct-GGUF
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