育成・任せ方:褒めて任せると、人は自分から動き始める

読書機能の使い方

聴く:本文を読み上げます。速読:語句を順に表示し、速さを調整できます。語学練習:別の言語版と対訳を読み比べます。保存:このブラウザーにブックマークし、プレイヤーの保存済み一覧から開けます。

この記事をシェア
育成・任せ方:褒めて任せると、人は自分から動き始める
AI生成イメージ
広告
広告

社内資料に使う写真を、新しく入った人に撮ってもらうとする。

「いい感じに撮っておいて」と頼んだあと、相手はカメラを持ったまま立ち止まっている。何を撮るのか。何枚いるのか。人が写ってもよいのか。自分で決めてよいのか。

ここで「もっと主体的に」と言っても、撮影条件までは写り込んでくれない。

新人に仕事を任せるときは、やる気を推測するより、小さな担当範囲と、判断してよいことを具体的にするところから始めたい。以下では、この仮の撮影依頼を例に、頼み方と振り返り方を考える。

動きが止まった理由は、本人に確かめる

指示を待っている姿だけで「意欲がない」とは判断できない。目的が分からないのか、許可が必要だと思っているのか、ほかの仕事で手いっぱいなのか。事情はいろいろ考えられる。

「どこまで分かっていますか」と試すより、こんな聞き方ができる。

「今の説明で、迷うところはありますか。撮る対象と使い道から確認しましょう」

分からない点が出たら、必要な情報や手順を補う。経験がない作業なら、見本を示す、一緒に一度やる、練習する時間を取る、といった方法もある。

すぐ動き始めることだけが正解ではない。確認が必要な場面で止まって聞けることも、仕事を進めるうえで大切だ。

最初の依頼は、五つの条件をそろえる

任せる範囲は、本人の経験と今の業務量に合わせて決める。撮影の例なら、次の五つを具体的にする。

  1. 目的と成果物:何の資料に、どんな写真を、何枚使いたいか
  2. 範囲:撮るものと撮らないもの、使ってよい場所や機材
  3. 判断できること:構図は自分で選べるか、撮り直しはどこまでできるか
  4. 時間と確認:いつまでに、どの段階で、誰に見せるか
  5. 支援:迷ったときの相談先と、ほかの仕事との優先順位

たとえば「社内向けの手順書に載せるため、許可された作業台で道具の配置を三枚撮ってほしい。構図は見本を参考に選んで、最初の一枚で方向を確認しよう」と頼める。

これは例なので、枚数や時間をそのまま正解にする必要はない。実際の用途と作業量に合わせて相談しよう。

写真なら、撮影や利用の許可も先に確かめる。人物、顧客情報、書類、画面、社外秘の内容が写り込む可能性があるなら、職場の決まりに従う。任されたことだけで、撮影や公開の許可まで得たとは考えない。

ほめるなら、実際に役立った部分を伝える

写真を見てよい点があれば、何がよかったかを具体的に言う。

「道具の位置がはっきり写っているから、手順の説明に使いやすい」

「この角度だと、作業する人からどう見えるか分かる」

見ていないのに「すごい」、問題があるのに「完璧」と言う必要はない。直したい点があれば、使い道と結び付けて伝える。

「配置は分かりやすいです。右端に資料が写っているので、そこを外して撮り直しましょう」

人の性格を決めつける評価より、今回の成果物のどこが役立ち、何を調整したいかを話す方が、次の作業につなげやすい。

「得意だから次も」は、相談してから

よい写真ができたからといって、そこから永久に撮影担当になるわけではない。

次も頼みたいなら、本人の希望と負担を確認する。

「今回の写真は使いやすかったです。次回もお願いしたいのですが、ほかの担当と両立できそうですか。別の仕事にも挑戦したいですか」

得意なことを入口にするのは一案だが、一つの役割に閉じ込めない。仕事を増やすなら、優先順位や担当範囲も見直す。感謝や称賛を、追加の仕事への同意や必要な権限の代わりにしない。

チームの前で成果を紹介するときも、人によって受け止め方が違う。「この写真を作ってくれたと伝えてもいいですか」と、本人の希望を聞いておく方法がある。

大勢の前でほめれば必ず自信がつく、とは限らない。静かに具体的な感想を伝える方がうれしい人もいる。

任せたあとも、確認する人は消えない

新人に写真を任せ、先輩が文章と資料全体の構成を担当する。そんな分担なら、誰が何を確認するかも決めておきたい。

撮影する人は、合意した条件に沿って素材を用意する。資料をまとめる人は、内容の整合や利用条件を確認する。公開などの最終判断は、必要な権限を持つ担当者が行う。

仕事を任せることは、責任の所在をぼかすことではない。「任せたから、あとは全部よろしく」では、小さな担当がいつの間にか丸ごとの荷物になる。

途中の確認では、成果物だけでなく負担も聞ける。

「ここまでで困ったところはありますか。時間は足りそうですか。次はどこを自分で決めたいですか」

答えに合わせて、説明や範囲、確認の間隔を調整しよう。

「これでどうですか?」を、本人の言葉で受け止める

相手から写真を見せに来たら、まず内容を一緒に確認する。そこからすぐに「自信がついた」「主体性が育った」と、心の中まで決めなくてよい。

「どこを工夫しましたか」「迷ったのはどこですか」と聞けば、本人がどう考えたかを知る手がかりになる。

今回分かりやすかった点と、次回変えたい点を短く振り返る。継続して任せるか、担当を広げるかも相談する。成果物を見せる行動だけで、育成が完了したとは扱わない。

主体性を頼む前に、動ける条件をつくる

新人に任せる最初の仕事は、大きな挑戦でなくてもよい。

目的が分かる。担当する範囲が分かる。自分で決めてよいことが分かる。迷ったら聞ける。途中で見てもらえる。

その条件を整えたうえで、実際に役立った部分を伝え、次の担当を相談する。

「もっと主体的に」の一言を重ねるより、「ここをお願いしたい。迷ったら一緒に確認しよう」と言える依頼にする。小さな仕事でも、任せ方は具体的にできる。

この記事が役に立ったら、応援できます。 応援する

広告

もう1個、なんか面白いのない?

読み終わったついでに。近い話と、ぜんぜん違うけど面白い話を少しずつ。

  1. なぜゲームの作業感はつまらないのか?モンハンワイルズと“ゲームが仕事になる瞬間”
  2. 8.6秒バズーカーとボチリストは同一人物なのか?「10年後」説と現在の仕事を調べた
  3. ゴンさんはなぜ怖いのに笑えるのかリアルタイム反応、アニメの不協和音、同人ミーム、メルエムの記憶
  4. 「家族思い」の包装紙を剥がしたら境界線が出てきた『花まんま』前半約22分で“兄貴ヅラ”を心理学まで掘った話

今日これ読んで

この記事を読んだ人の次の疑問に、それぞれ答える記事です。

すべての記事から探す「仕事」の記事をもっと見る

他の記事を探す

すべての記事

めんどいちゃん

このサイトの運営者

めんどいちゃん

仕事や日常の「めんどい」を構造化して、次に動きやすくする記事を書いています。