会社は定時で終わる。新しい仕事も面白い。仕事中は頭が冴えていて、別に疲れ果てているわけでもない。
なのに帰ってご飯を食べ、少しぼんやりしていると眠くなる。気づけば夜が終わっている。「定時退社なのに自由時間がない」とはどういうバグなのか。
どうやら、体力の限界より先に、やりたいことに使える時間の限界が来ている。
無職期間、なぜか一人ブラック企業が誕生
会社で働いていない期間ができたら、普通はのんびり過ごせそうだ。ところが、小さなアプリを作り、記事制作を自動化し、気になったことを調べ、生活の準備を進めていたら、起きている間ずっと何かをやっていた。
誰も残業を命じていない。なのに終わりがない。ひとつ終えるたび「次はこれもできるぞ」と新しい案が湧く。
会社は休んでいるのに、頭の中で個人事業主がフル稼働。経営者と労働者が同じだから、労働環境について文句を言う先は鏡しかない。これがセルフブラック。
面白くて自分から進めているのだから、嫌々やらされる残業とは違う。でも、時計はちゃんと進む。
就職したら時間だけが足りなくなった
新しい職場では知らない単語も仕組みも山ほど出てくる。説明中に分からないことをメモし、業務で許可されたAIにその場で尋ねる。答えが難しければ、さらに聞く。理解を仕事中に進められるのはかなり助かる。
自主制作の方も、判断基準を決めて作業自体はAIに任せられる。だから自分が四六時中手を動かしているわけではない。
それでも勤務時間は丸ごと一日の中に存在する。 通勤、食事、睡眠、生活上の細かな手続きまで加われば、残る時間は狭い。五分で済む用事でも、十個あれば十回の判断が必要だ。
AIで仕事を短縮できても、一日を三十時間に増やせるわけではない。
「疲れた」と「眠い」を混ぜると見誤る
仕事中は覚醒していて、帰宅後に眠くなる。これは実際に起こり得る組み合わせだ。ただし、食事や活動の変化、睡眠のリズム、カフェインなど複数の要因が考えられるので、経験談だけで原因は決められない。
「疲労感が少ない」ことと「睡眠が足りている」ことも別。眠くないからと睡眠時間を削るのは危険だ。
しかし、この話の主役は病気でもブラック企業でもない。仕事が嫌なのではなく、仕事がある分だけ自分の企画を進める時間が減る、という当たり前なのに厄介な事実だ。
自由時間を守るには、自由時間の使い方を減らす
復習は全部持ち帰らず、勤務中のメモや検索で理解を進める。思いついた新企画はすぐ全部始めず、いったん保管する。睡眠と何もしない時間も予定表に入れていい。
効率化のたびに新しい仕事を足していたら、浮いた時間は永遠に見つからない。
定時で会社を出ると、頭の中の個人事業主が「よし、ここから第二部!」と言い出す。
会社からは定時退社できる。セルフブラックから退社するには、自分で終業ベルを鳴らすしかない。
