タイトル: 30代年収600万円は少ない?2025年の平均年収とSNSの金銭感覚を比べた結果 説明文: 30代の年収600万円は本当に低いのか。国税庁の2025年分統計で30代前半・後半、男性、全国平均を比較。「大企業は0.3%」の落とし穴と、SNSで給与感覚がずれる理由も解説。
結論から言うと、30代で年収600万円は少なくない。 日本全国の30代の平均を明確に上回る。ただし、35〜39歳の男性だけに対象を絞れば、平均とほぼ同じ。ここを分けないまま「勝ち組」「底辺」と騒ぐから話がおかしくなる。
SNSで「30代で600万円って笑われる年収なの?」という疑問が話題になる。数字を見ずに眺めると、どうやらネットには年収1,000万円が通行証の町があるらしい。入場審査が厳しすぎるだろ。
2025年の公式統計ではどうなの?
国税庁の「2025年分 民間給与実態統計調査」(2026年9月公表)は、1年を通じて勤務した民間の給与所得者を対象にしたもの。年齢別の平均給与は次のとおり。単位は年間の額面・万円、賞与を含む。
| 年齢 | 男女合計 | 男性 |
|---|---|---|
| 30〜34歳 | 462万円 | 529万円 |
| 35〜39歳 | 503万円 | 598万円 |
| 全年齢 | 487万円 | 597万円 |
30代前半の600万円は男女合計の平均より138万円高く、男性平均より71万円高い。30代後半では男女合計の平均より97万円高いが、男性平均との差はわずか2万円。だから「30代なら十分高い」と「30代後半の男性会社員では珍しい額とまでは言えない」は両立する。
注意したいのは、これは平均値であって中央値でも年収600万円の人の順位でもないこと。今回の表だけで「上位何%」とは言えない。さらに全国民の年収ではなく、調査対象の民間給与所得者の数字だ。
「大企業は0.3%」って、働いている人も0.3%?
ここも数字のマジック。2025年版の中小企業白書に掲載された2021年の集計では、大企業は企業数の0.3%だが、従業者数では30.3%。会社の数と働いている人の数を混ぜると、いきなり世界が100倍くらい珍しく見える。
小さな会社100社と何万人も雇う大企業1社を「会社は101社」と数えるか、「そこで働く人数」で数えるか。そりゃ景色が変わる。
しかも「大企業の30代なら全員600万円」という話にもならない。会社、職種、地域、等級、残業、賞与で差が出る。企業規模の数字だけで給与を決めつけるのは、野球場の大きさだけ見て打率を予想するようなものだ。
なぜSNSだと600万円が急に貧乏になる?
一つは比較相手の偏り。投資や転職、高収入の話が流れる場所では、高い年収の人の投稿が目に入りやすい。もう一つは発信する人の偏り。目立つ数字ほど書き込みのネタになり、普通の給与明細はわざわざ話題にならない。
さらに「年収600万円」と言っても、基本給で得たのか、残業込みなのか、賞与が厚いのか、生活コストの高い地域なのかで手触りが違う。たとえば600万円÷12か月=50万円は年額の単純な月割りで、ボーナスがあれば実際の毎月の給与が50万円という意味ではない。
「SNSでよく見かける」と「世間で普通」は別。自分の画面に富裕層が10人並んでも、日本人10人全員が富裕層になったわけではない。アルゴリズムで日本の平均年収を決めるな。
結局、600万円をどう評価すればいい?
まず年齢・性別・雇用形態・勤務地・職種を揃えて比べる。そのうえで労働時間、暮らしの支出、将来の貯蓄目標を見る。結婚や子育ての予定があるなら家計全体で考える。「自分に十分か」は平均だけでは決まらない。
でも「30代年収600万円は社会的に笑われる額か?」という最初の問いへの答えは、いいえ、全国比較では十分な水準です。
ネットの年収判定会場に行くと600万円が予選落ちするらしい。現実の統計を開いたら普通に強かった。SNSの世界大会と、日本の給与調査を同じ大会だと思わないほうがいい。
参考資料(3件)
- [1] 日本国税庁 / National Tax Agency, 『令和7年分 民間給与実態統計調査』(2026年9月), 年齢階層別平均給与・第14図: https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2025/pdf/2025_001.pdf
- [2] 日本国税庁 / National Tax Agency, 2025 survey summary (annual averages and survey coverage): https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2025.htm
- [3] 日本中小企業庁 / Small and Medium Enterprise Agency, 『2025年版 中小企業白書』(2021年の企業数・従業者数を引用): https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/chusho/02Hakusyo_mokuji_hanrei_web.pdf



