「報酬を受け取る口座を登録しよう。」
やることは銀行名と口座番号を入れるくらいだと思う。
ところがAwinでは、入口に2段階認証、その奥にTax Details、さらに「保存したけどBank Detailsが開かない」、最後にPayoneerが待っている。
RPGなら、
鍵を取った。扉が開いた。扉の向こうにまた扉があった。
という構造である。
ただし、順序が分かれば難しくはない。問題は、画面の英語と「今どの扉で止まっているのか」が分かりにくいことだ。
この記事では、日本在住の個人Publisherを想定し、Awinで支払設定を進める流れを、個人情報を出さずに整理する。
1. まず全体像:口座登録までの一本道
Awinの支払設定は、おおむね次の順番になる。
- User Accountで2段階認証を有効にする。
- 一度ログアウトし、必要なら再ログインする。
- Webブラウザで Account → Payment Details を開く。
- Tax Detailsを入力して保存する。
- 「Incomplete tax details」の表示が残る場合、最大12時間の自動更新を待つ。
- Bank Detailsが開いたら、支払頻度・最低支払額・送金先国・通貨を設定する。
- 国と通貨の組み合わせによって、SEPA、BACS、ACH、国内送金、Payoneerなどの支払方法が自動的に決まる。
- 国際送金になる場合はAwin経由でPayoneer設定を完了する。
- 支払情報の変更はAwin側の審査対象となり、通常は約2営業日で確認される。
つまり、Bank Detailsが見えないときに銀行アプリを開いても始まらない。
その前のTax Detailsが門番である。
2. 2段階認証は「有効」にしただけでは画面が即更新されないことがある
AwinではPayment Detailsへアクセスする前提として2段階認証が必要である。
設定場所はUser AccountのSecurity。対応する認証アプリは、時間ベースのワンタイムパスワードに対応したGoogle Authenticator、Microsoft Authenticator、Authyなど。
ここでややこしいのが、Security画面に
Two-step verification is enabled
と出ているのに、Payment Details側では「2段階認証を有効にしてください」と残る場合があることだ。
この場合はまず、設定をやり直すのではなく、ログアウトして再ログインする。古いセッションが残っている可能性を切り分ける。
さらにAwinの2段階認証は「adaptive」で、毎回必ずコードを聞くわけではない。新しい端末や不審な状況など、追加確認が必要なときだけコードを求めることがある。
そして重要なのがアプリ。
Payment Detailsの追加・変更はAwinアプリではできない。
Awin公式では、デスクトップまたはモバイルのWebブラウザから行う仕様になっている。
アプリはここでは観戦席である。
3. Tax Detailsは何を入れるのか
日本在住の個人で、法人を設立していないケースを想定すると、Awinの一般的な入力整理は次のようになる。
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| Tax Residency | 税務上の居住国。日本で納税上の居住があるなら Japan |
| Business Type | 正式に登記された会社でなければ、Awin上は Sole Trader が基本 |
| Company Name | Sole Traderの場合は本人の法的な氏名 |
| Local Tax Number | 居住国の税務識別番号 |
| Tax Verification Document | 税務登録を示す証明書類。米国PublisherはW-9必須。他地域はAwinから求められる場合がある |
| Address | 税務当局の記録と一致する事業・税務上の住所 |
Business Typeの「Sole Trader」は、日本の開業届の有無と完全に同じ分類ではない
AwinのFAQでは、登録会社を持たない場合はSole Traderを選び、Company Nameには氏名を入れると説明している。
ここは日本の「個人事業主」という制度用語をそのまま当てはめるより、Awin側のアカウント分類として理解した方が分かりやすい。
Local Tax Numberは何か
Awinは、米国・ドイツ以外の国についても、原則として居住国のLocal Tax Numberを提出するよう案内している。税番号が割り当てられていない場合は、別の公的識別番号を使う案内もある。
一方、Awinの一般FAQは「日本ならこの番号」とまでは書いていない。
OECDの日本向けTIN資料では、日本の個人の税務識別番号として12桁のIndividual Number、いわゆるMy Numberが示されている。国税庁もMy Numberを税務手続で使う12桁の個人番号として説明している。
したがって、日本の個人がAwinのLocal Tax Numberを埋める際に、My Numberは税務識別番号として最も直接対応する候補である。
ただしMy Numberは取扱いの厳しい情報である。Awinの日本専用FAQで「必ずMy Numberを入力」と明記されたページまでは確認できないため、不安がある場合は入力前にAwinサポートへ用途と取扱いを確認するのが安全だ。
そして絶対に、My Numberそのものをチャット、SNS、スクリーンショット、GitHub、問い合わせの公開部分へ貼らない。
Tax Verification Documentはマイナンバーカード画像ではない
ここが最大の罠。
Awinの説明ではTax Verification Documentは、税務当局が発行した税務登録の証明書などをアップロードする欄である。
米国PublisherではW-9が必須だが、その他の地域ではAwinから要求された場合に税務書類が必要になることがある。
したがって、
Tax Verification Document = とりあえずマイナンバーカードの表裏を上げる欄
ではない。
Awinから具体的な提出要求が出ていないなら、自己判断でMy Number Cardの画像をアップロードしない方がよい。
4. 保存できたのにBank Detailsが開かない:最大12時間という謎の待ち時間
Tax Detailsを入力してSaveを押し、エラーが出なければ、Awin公式上はフォームはcompleteとされる。
しかし画面上の
Incomplete tax details
という表示は即時更新ではない。
Awinは、このバナーが最大12時間以内に自動更新されると案内している。
つまり、
- 保存成功
- でもBank Detailsはまだロック
- 「税情報を完成させてください」と表示
- もう一度同じフォームを見つめる
- 何も変わらない
という状態は、必ずしも入力ミスではない。
これは「12時間以内に表示が追いつく」可能性がある。
人間としては「保存したんだから今開けよ」と思うが、AwinにはAwin時間が流れている。
なお、この最大12時間と、支払情報の変更をAwinが通常約2営業日で確認するという話は別である。
12時間はTax Detailsの表示反映。約2営業日はPayment Details更新の審査。
ここを混ぜると、待ち時間が急に異世界化する。
5. Bank Detailsが開いた後:Owner権限と日本へのUSD送金
Bank Detailsを編集できるのはアカウントOwnerである。Awinのトラブルシューティングでも、Payment Detailsを編集できるのはOwnerとされている。
Tax Detailsが反映したのに入力欄がロックされたままなら、次の順で確認する。
- ログアウトして再ログイン。
- Account → Payment DetailsをWebブラウザで開く。
- 自分の権限がOwnerか確認。
- それでもロックならAwin Supportへ連絡。
そして日本の銀行へUSDプログラムの報酬を受け取る場合、Awinの支払方式表では、
USD + 米国外の銀行 = Payoneer
となる。
ACHは米国の銀行口座向けであり、日本の銀行口座へそのままACHを使う方式ではない。
Payoneer設定はAwinのPayment Detailsから開始する。
基本の流れは、
- Bank DetailsでPayment FrequencyとPayment Thresholdを選ぶ。
- Destination Countryに銀行口座の国を選ぶ。
- Destination Currencyを選ぶ。
- 条件に応じてPayment ProviderとしてPayoneerが表示される。
- Updateで保存する。
- オレンジ色のSet up Payoneerから登録を進める。
Awin外で先に作ったPayoneerアカウントを、そのまま後付けで接続する方式ではない。Awinの導線から登録・連携を行う必要がある。
Awin向けPayoneer設定では、報酬をPayoneer残高へ貯めるのではなく、登録した銀行口座へ送金する形になる。
国際送金の目安は、現地通貨送金なら1〜3営業日、米国外へのUSD/EUR/GBPのSWIFT送金なら3〜5営業日と案内されている。
6. よくある詰まり方を一気に潰す
「2段階認証したのに、まだ有効にしろと言われる」
Security画面で有効を確認し、ログアウト→再ログイン。2SVはadaptiveなので、再ログイン時に毎回コードが出なくても無効とは限らない。
「アプリから銀行口座を登録したい」
できない。Payment Detailsの変更はWebブラウザ版。
「Local Tax Numberって何」
Awinは居住国の税務番号を求めている。日本の個人TINはOECD資料ではMy Number。 ただしAwinの日本専用指示が明記されていない場合は、必要ならサポート確認。
Tax Verification Documentにマイナンバーカード?
自動的には違う。税務登録を証明する書類の欄で、米国以外ではAwinから要求された場合に提出が必要になることがある。
「Tax Detailsを保存したのにBank Detailsが出ない」
エラーなしでSaveできたなら、バナー更新は最大12時間待つ。
USDだからACH?
銀行が米国外ならAwinの表ではPayoneer。
Payoneerを先に作っておけば楽?
Awin外で作った既存Payoneerを直接リンクする方式ではない。AwinのPayment Detailsから開始する。
7. 個人情報は、記事化・質問・スクショの時点で消す
この手順には危険な情報が多い。
- My Number
- 復旧コード
- 銀行口座番号
- 本名
- 住所
- Publisher ID
- メールアドレス
- Payoneerの本人確認情報
画面が分からなくて誰かに聞くときは、項目名とエラー文だけ残し、値は消す。
特にMy Numberや復旧コードは、「一瞬見せるだけ」が一番危ない。
手順を相談するのに必要なのは、
「Local Tax Numberという欄がある」
という情報であって、
「そこに入力した番号はこれ」
ではない。
8. 最短チェックリスト
日本在住の個人Publisherなら、まずこれだけ確認すればよい。
- 2段階認証がSecurityで有効
- Payment DetailsはアプリではなくWebブラウザ
- Tax Residencyは税務上の居住国
- 登録法人がなければAwin上はSole Traderが基本
- Sole TraderのCompany Nameは法的氏名
- Local Tax Numberは居住国の税務識別番号
- 日本の個人TINはOECD資料上My Number
- Tax Verification Documentを勝手にMy Number Card画像だと決めつけない
- 住所は税務記録と一致させる
- Tax DetailsがエラーなしでSaveできたら、Incomplete表示は最大12時間待つ
- Bank Details編集はOwner
- USDを日本など米国外の銀行へ送る場合はPayoneer
- PayoneerはAwin側の導線から設定
- 秘密情報をチャットやスクショへ貼らない
口座登録そのものは難しくない。
難しいのは、「今どの前提条件で止まっているのか」を画面があまり教えてくれないことだ。
2SVの扉、Tax Detailsの扉、12時間タイマーの扉、Payoneerの扉。
順番が分かれば、税務ダンジョンはただの一本道になる。
