説明: エレンが食卓でミカサとアルミンを傷つけた理由は? ガビの「曇らせRTA」、アッカーマンの嘘、道での会話と記憶消去、地鳴らしを選んだ本音を原作111〜112・130〜131・138〜139話から整理する。
ネタバレ注意: 原作最終139話・アニメ完結までの結末に触れます。
ガビ曇らせRTA、最後のボスが「幼なじみの三者面談」
パラディ島でガビが受ける仕打ちは、絶望イベントの連戦だ。カヤたちブラウス一家に親切にされ、「島の悪魔」という思い込みにひびが入る。ところがレストランで、ガビがサシャを撃ち殺した張本人だとニコロに知られる。ニコロは激怒し、ガビをかばったファルコはワインの瓶で負傷。サシャの父アルトゥルは復讐を選ばず、ガビを許す方向に動く。ここでようやく救済イベントかと思ったら、サシャを慕うカヤが刃物を手にガビへ突進する。仲良くしてくれた子に「人殺し」と責められるのだから、世界観も人間関係も一気に崩れる。
さらにファルコが口にしたワインには、ジークの脊髄液が混入している疑いが浮上する。この時点で即座に巨人になったわけではない。ジークの叫びが引き金になる危険を抱えた状態だ。仲間が助からないかもしれない。自分のせいだ。しかも親切な人と怒る人が、同じ家族の中にいる。 ガビの表情がすごいことになるのも当然である。
そして次の部屋では、エレンが手のひらの傷を見せながら入ってくる。巨人化の可能性をちらつかせた実質的な脅迫だ。ガビの曇らせRTAは、セーブ地点なしで「世界を踏みつぶす予定の男が幼なじみを精神攻撃する会議」へ突入する。
あの三者面談、エレンは何を言ったのか
原作112話の食卓で、エレンはアルミンに「ベルトルトの記憶に影響されている」と言い、ミカサには「アッカーマンは宿主を守る本能に従う」と説明する。そのうえ、昔からミカサを嫌っていたと告げる。アルミンは激怒して殴りかかるが、返り討ちにされる。
言い方まで含めて容赦がない。親友に意見を求める顔ではなく、相手の自尊心を正確に狙って破壊する顔だ。一方、ミカサがエレンをかばおうと反応する場面まで利用して、自分の説明が正しいように見せてしまう。あの場でエレンがしているのは、対等な相談というより、別離を成立させるための心理的な攻撃に見える。
何が嘘で、どこに本音があった?
原作130話の回想で、ジークはエレンに対し「アッカーマンが特定の宿主に結びつく」という説を支持せず、ミカサの行動は彼女自身の好意によるものだと説明する。食卓でエレンが語った宿主説を、確定した設定として受け取るのは誤りだ。また最終139話では、エレンがミカサへの強い気持ちと未練をアルミンに打ち明ける。食卓での「嫌い」は、本心を隠すための言葉だったと分かる。
アルミンがベルトルトの記憶に影響されているという非難も、アルミンの人格を否定できる証拠にはならない。アルミンは巨人を継ぐ前から対話と理解を重視していた。継承した記憶が感情にどう作用したかを完全に測ることはできないが、エレンの断言は明らかに攻撃的だ。
だからこそ怖い。大切な友達を守りたい気持ちは本物なのに、友達に渡す情報は意図してゆがめている。 「俺は自由だ」と言うエレン自身が、未来の記憶と自分の願望に追われているのも強烈な皮肉だ。
アルミンとの本音トークはいつ? 記憶はどう戻った?
最終139話で明らかになるアルミンとの会話は、地鳴らしが進む中、仲間たちが船でオディハへ向かっていた時点に対応する。エレンは「道」でアルミンを迎え、子どものころ夢見た景色を巡りながら、地鳴らし、仲間、ミカサ、自分の欲望について話す。その後、始祖の力でアルミンの記憶を一時的に消す。アルミンが船上に戻った場面は131話の描写につながり、エレンの死後、139話で会話を思い出す。他の仲間にも、エレンとの会話を思い出す描写がある。
つまり、食卓の侮辱が先。本音を語って一度忘れさせるのはその後。生きている間は悪役のまま進み、死んでから答え合わせをさせるという、あまりにもめんどくさい別れ方である。
ただしミカサの138話の山小屋の場面は、アルミンの記憶消去と同じ処理だったと断定できない。アッカーマンの記憶操作への耐性が設定上重要であり、ミカサがあの体験をいつ・どのように受け取ったかには読みの余地がある。少なくとも、アルミンのように会話して忘れ、死後に思い出したと一括りにはできない。
そこまで会話できるなら、なぜ別の道を探さなかった?
この疑問は正しい。エレンは始祖の力を本格的に発動できるようになってから、「道」でユミルの民に語りかけ、アルミンとも話せる。一方、その段階ではすでに地鳴らしが始まっている。しかも「道」で直接呼びかけられる相手はユミルの民であり、世界中の政治指導者を一度に交渉の席へ集められる万能会議室ではない。
それ以前には、限定的な地鳴らしで抑止し、時間を稼ぐ50年計画なども議論された。しかしヒストリアと子孫に巨人継承を背負わせる案をエレンは強く拒んだ。島の安全も短期で確実になるわけではない。
それでも、最終的な答えを「手段がゼロだったから」で止めると、原作131話と139話の告白が抜ける。エレンは仲間を守りたい一方で、外の世界が自分の夢と違ったことに失望し、その世界を平らにしたい衝動も抱いていた。未来の記憶は選択の恐ろしさを増したが、進んだ先にはエレン自身の欲望がある。仲間を英雄にするという説明だけで大量殺戮の動機を片づけることはできない。
結局、エレンは友達を救ったのか、裏切ったのか
両方の性質がある。ミカサとアルミンを生かしたい思いは確かにあった。自分を止めた仲間を世界の救世主として立たせようともした。しかし彼らを無断で危険に巻き込み、心を壊す言葉を選び、地鳴らしで途方もない犠牲を出した。愛情と加害は同じ人間の中で並立する。
ここでガビの物語が鏡になる。ガビは「敵なら悪魔」と考えていたが、助ける人も怒る人も同じ人間だと知る。エレンは「自由」を叫びながら、最も大切な相手に自由に判断する材料を与えない。
ガビから見れば、さっきまで自分を許すか殺すかで地獄だったのに、今度は目の前で幼なじみの関係が爆発した。曇らせRTAの最終ステージが、主人公の自由とは何かを問う哲学の試験会場になっている。 いや、もう家に帰してやってくれ。

