JA
採用にAIを使う流れは、これからますます広がっていく。応募者の情報を整理する。面接内容を記録する。質問を標準化する。評価のばらつきを減らす。採用担当者の負担を下げる。
こうした目的でAIを使うこと自体は合理的だ。ただし、AI面接については注意したいことがある。「同じ品質で見られる」と「高い品質で見られる」は別である。
人間の面接官にはばらつきがある。質問が人によって違う。評価基準が曖昧になる。印象や相性に引っ張られる。だからAIを使って標準化したい、という考えは分かる。
だが、標準化された評価が正しいとは限らない。低い品質の評価が均一化されても、それは良い採用にはならない。むしろ、全員を同じように間違って見るリスクもある。
採用で本当に重要なのは、評価の一貫性だけではない。何を評価するのか、その評価が職務に関係しているのか、候補者に説明できるのか、候補者が会社を理解する機会を奪っていないかも重要だ。
面接は、会社が候補者を見る場であると同時に、候補者が会社を見る場でもある。人間の面接官と話すことで、候補者は職場の雰囲気、上司の考え方、仕事の進め方、質問への反応を見る。
AI面接で効率化しすぎると、この相互理解の機会が薄くなる。会社は「効率的に候補者を評価できる」が、候補者から見ると「会社の人間が見えない」状態になる。
AI面接で大切なのは、「AIを使うかどうか」ではない。どこに使うかである。日程調整、文字起こし、要約、質問設計、評価観点の整理には使いやすい。一方で、最終判断、候補者の惹きつけ、価値観のすり合わせ、入社後の期待値調整は、人間が関与した方がよい場面が多い。
AIは採用を助ける道具になる。だが、設計なしに使えば、採用を効率よく雑にするだけになる。
