日本は韓国ほど教育、企業、住宅が一か所へ集中していない。しかし、基本構造はかなり似ている。日本にも、新卒で正社員になり、短期離職を避け、年齢に応じて昇給し、結婚後は共働きを続け、住宅ローンを払い、子どもの教育費と親の介護と自分の老後資金を同時に準備する「標準人生コース」がある。
違いは、日本には複数の都市圏、地方の製造業集積、資格職、中堅・中小企業、人手不足業界などの迂回路が比較的多いことだ。上位コースを外れても、働く場所そのものがなくなるわけではない。
「履歴書を汚すと終わる」の正確な意味
短期離職や職種の断絶があると、日本で二度と転職できなくなるわけではない。中小企業、地方企業、人手不足業界まで対象を広げれば、再就職の選択肢はかなりある。
ただし、難しくなるのは次の条件を同時に維持することである。
- 大企業から同格以上の企業へ移る
- 正社員のまま年収を維持・上昇させる
- 人気の企画職・専門職へ移る
- 低残業、日勤、勤務地限定を守る
- 将来の昇給、福利厚生、退職金を維持する
つまり、「履歴書が汚れる」とは雇用可能性がゼロになることではない。上側の労働市場へ入る際の説明コストが増え、希望条件を同時に満たす難度が上がるという意味に近い。
日本は「脱落したら即死する社会」ではない。しかし、一度待遇を下げると、その水準で固定されやすい。そのため、嫌な職場でも次が決まるまで辞めない、短期離職を避ける、会社名と職種の一貫性を守るという行動が合理的になる。
日本は競争を「普通の大人の生活」として提示する
韓国の競争は、上位大学、大企業、首都圏マンションといった分かりやすい勝敗になりやすい。日本では、競争が次のような常識として隠される。
- 新卒なら正社員になる
- 最低でも数年は続ける
- 30代以降は昇進する
- 結婚したら共働きする
- 子どもを持つなら教育費を用意する
- 家族を持ったら家を買う
- 親の介護を調整する
- 老後資金を自分で準備する
- 健康のために運動し、自炊し、十分に眠る
- 仕事のために学び続ける
一つひとつは妥当に見える。しかし全部を同時に維持すると、退勤後も家事、健康管理、育児、勉強、資産形成が続き、人生全体が第二勤務になる。
日本人は「競争で疲れた」と言うより、「仕事と家庭の両立が難しい」「将来が不安」「なんとなく余裕がない」と表現しやすい。競争であることを明示しないため、本人も構造的負担として認識しにくい。
日本は逃げ道が多い代わりに、長く走らせる
日本には東京以外にも、複数の都市圏と地方産業がある。大学ブランドだけでなく、実務経験、資格、職種専門性を使って迂回できる。条件を下げれば再就職は比較的可能であり、韓国より「部分的に競争から降りる」余地は広い。
しかし、その代わりに競争が長期化する。
会社を辞めなければ安全
住宅ローンを払い続ければ安全
夫婦で働き続ければ安全
高齢になるまで雇用を維持すれば安全
という設計になりやすい。韓国が濃縮された順位競争なら、日本は速度を抑えながら終点を決めずに走らせる耐久競争に近い。
韓国人が日本へ移れば、競争から逃げられるのか
日本への就職や移住は、一部の人にとって有効な横移動である。韓国国内の上位大学・大企業・首都圏住宅という一本道で不利でも、日本語、韓国語、IT、貿易、観光、コンテンツなどを組み合わせれば、日本市場では希少性を持てる場合がある。
日本では若年人材が不足している業界も多く、韓国国内で長期間就職準備を続けるより、早く正社員経験を積める人もいる。また、最大年収よりも、職場の穏やかさ、余暇、文化的な相性を重視する人には、日本の方が楽に感じられることがある。
ただし、移住は万能な脱出ではない。日本の賃金上昇は緩やかで、企業の役割分担が曖昧な場合もある。外国人として住宅契約、行政手続き、言語、在留資格の壁もある。韓国にいる親の老後、家族からの結婚期待、帰国時の経歴評価も残る。
つまり、日本移住は競争を消すのではなく、自分に有利な競技へ種目を変えることだ。どの国へ行くかだけでなく、親への経済責任、住宅取得への執着、会社への過剰適応、社会的地位の比較をどこまで降ろせるかが重要になる。
