0. 平日14時なのに、まだ並んでいる
平日の14時ごろ。昼休みのピークは過ぎたはずなのに、まんぷく家にはまだ列があった。ただしこの日は待ち2組ほど。夜に10組近く待っていたときと比べれば、ほぼ勝ちである。今回でだいたい4回目。これまでは塩MAXが多かったが醤油は未経験なので、今回は醤油MAXで比較基準を作ることにした。
この日の醤油MAX。画像は本記事本文での使用許可を得たもの。
1. 2時間睡眠の脳、「濃いものをよこせ」
この日は睡眠が約2時間。それなのに妙に覚醒して、脂・塩気・炭水化物が強いものを食べたくなった。Greerら(2013)は睡眠剥奪後に食物評価に関わる前頭皮質・島皮質の活動低下、扁桃体反応の増加、高カロリー食品への欲求増加を報告した。Hanlonら(2016)の8.5時間対4.5時間睡眠のランダム化クロスオーバー試験では、睡眠制限時に内因性カンナビノイド2-AGの日内リズムが増幅・延長し、午後の空腹感や嗜好性の高いスナックを抑えにくい状態と重なった。個人の一食を因果断定はできないが、「寝不足の日に濃いものが妙に魅力的」は研究と整合する。
2. 「餃子ぁ!」→追加料金→撤退
ランチの餃子を見た瞬間は「餃子ぁ!」。しかし追加料金だと分かると「それなら欲しいものだけでいい」に即転向。後でこれが正解になる。醤油MAXを半分ほど食べた時点でもうかなり満腹だった。注文時の脳は「濃いもの+餃子」、胃は「容量は増えてません」。
3. 本編を見ていないのに、岡崎ロアだけ増殖する
東海オンエアを特に追っておらず、本編もほぼ見ていないのに関連知識だけ増える。友人が「キブサチ行きたい」と言っていたのに先に行き、朝9時半ごろからMATOKAをガチったこともある。「ピースの二乗のあいつ」まで覚えてきたが、改造案は一貫して「ピースを🖕に変えたい」。さらにYouTubeと経営を両方やる話から、「老後何回分」という金額の先で何が動機になるのかまで考え始める。金が生活費ではなく、スコア、自由度、制作資金、事業を回す楽しさになる人もいるのだろう。I know the lore, not the show.
4. 行列は「人気」だけではなく「供給能力」でも決まる
キブサチについては「重要な調理を担える人が限られるらしい」「1日50枠規模だった記憶がある」という会話・現地記憶も出た。ただし恒常的な公式運営情報として未検証なので事実断定はしない。一般論として、待ち時間は需要だけでなく厨房の処理能力、1杯の工程、ボトルネックを処理できる人数、席回転で決まる。厨房が最遅工程なら、席だけ増やしてもスループットは増えない。
5. 外食の本体、実は周辺観察説
料理へのコメントは驚くほど短い。「うまい。」以上。一方、アクセス、待ち組数、客層、スタッフ、街、聞こえてくる会話には情報量がある。この時間帯、見えていたスタッフは全員女性だったが、これは瞬間観察であって恒常的な人員構成の主張ではない。
列では若い客が待ち時間とスマホの充電を強めにぼやき、友人に幼さを突っ込まれて本人も認める、妙に完成された会話が聞こえた。個人情報は残さず趣旨だけにすると、「スマホより先に友情の残量が0%になりそう」。14時台に中高生くらいに見える若い客もいたが、見た目だけで年齢や登校状況は分からない。テスト期間、短縮授業、行事、別日程、年齢の見誤りなど候補は多い。「学校は?」はツッコミであって欠席認定ではない。
外食は、店を選び、移動し、並び、街を見て、偶然の会話を拾う小さなフィールドワークでもある。
6. 醤油MAX実食。「濃い。塩との差が分からん。うまい」
第一声は「うまい」。次に「濃い」。数口後、「前の塩と違いがよく分からない」。共通する濃厚なベース、脂、塩気、具材の存在感が強ければ、タレ差より共通部分が先に知覚されることはあり得る。ただしまんぷく家のレシピを検証したわけではないので仮説に留める。結論は 濃い。うまい。(以上)。
7. 海苔は1・3・5枚。「5以外ある?」
この日は海苔を1、3、5枚から選べると案内された。同条件なら5枚を選びたくなる。少ない方にも、海苔にスープを吸わせたくない、食感を変えたくない、スープ自体を味わいたい、という理由はある。そこまで味の干渉を考える舌は神々しい。こちらは5枚である。
8. 半分で満腹、完食後の最終レビュー
半分ほどでかなり満腹。濃いスープ、麺、肉、卵、ほうれん草、海苔。MAXは物量も強い。餃子や追加ランチを付けなくてよかった。頼んでいたら後半が「食事」から「責任」に変わっていたかもしれない。それでも完食し、最終レビューは おいしかった。
味の解説は数行。行列、睡眠研究、本編未履修問題、キブサチの供給能力、若者の充電、海苔の枚数で長文。つまり外食の価値は、皿の中だけではなく周辺で拾える出来事まで含めた「全部」にある。
まとめ——飯レビューは短くていい。体験は長い
①睡眠不足で高報酬な食べ物が魅力的になる感覚には研究上の説明があるが、個人の一食を因果断定はできない。②行列は人気だけでなく供給能力とボトルネックでも決まる。③外食を探索として楽しむ人にとってレビュー対象は皿の中だけではない。料理そのものは、やっぱり うまい(以上)。
研究・注記
- Greer SM, Goldstein AN, Walker MP. The impact of sleep deprivation on food desire in the human brain. Nature Communications. 2013;4:2259. https://doi.org/10.1038/ncomms3259
- Hanlon EC, Tasali E, Leproult R, et al. Sleep Restriction Enhances the Daily Rhythm of Circulating Levels of Endocannabinoid 2-Arachidonoylglycerol. SLEEP. 2016;39(3):653–664. https://doi.org/10.5665/sleep.5546
- 待ち人数、海苔の選択肢、見えていたスタッフ構成、食味はこの日の現地観察。
- キブサチの調理担当や1日枠数は会話・現地記憶ベースで、公式の恒常運用として未検証。
- 周囲の客、とくに若い客は個人を特定できる情報を除き、会話も趣旨に要約した。
