平日に有給を取った。
遠くへ旅行するほどの気力はない。
でも、家で寝ているだけだと、会社のことを考えてしまう。
スーパー銭湯もいいけれど、人が多いとそれだけで疲れる。
ファミレスやチェーン店も便利だけれど、少し日常に近すぎる。
そんな時、意外と強いのが、近場の大型ホテルの日帰りランチ温泉である。
場所は伏せる。
地域名も、店名も、席名も出さない。
でも、地方や郊外には、昔の観光地・温泉地・宴会ホテルの名残が残っていることがある。
広い建物。
大きな駐車場。
宴会場。
食事会場。
温泉や大浴場。
海や山が見える席。
平日昼なら、静かな時間。
そこに、ソロで行く。
これが想像以上に、会社で削られた神経に効く。
これは旅行である
「近場のホテルでランチして、温泉に入るだけ」
言葉にすると、たいしたことをしていないように見える。
でも、実際にやっていることは、かなり旅行に近い。
家から出る。
日常の行動圏から少しだけ外れる。
ホテルの空間に入る。
バイキングやランチを食べる。
広い席でぼーっとする。
景色を見る。
温泉に入る。
帰ったら寝る。
観光名所を何か所も回らなくても、これは十分に旅行である。
遠くの温泉地へ行っても、結局ホテルにこもるタイプの人がいる。
その人にとって、旅行の本体は「観光地を歩くこと」ではない。
ホテルに入ること。
食べること。
風呂に入ること。
自分の日常から切り離されること。
それなら、遠くへ行かなくても、近場のホテルでかなり代替できる。
ソロだから拾える余白がある
平日ホテルランチは、ソロ客が少ないことがある。
高齢者グループ、夫婦、友人同士、地域の集まり。
そういう客層が多く、若いソロ会社員はかなりレアになる。
一見すると、少し浮く。
でも、ソロにはソロの強みがある。
混んでいる時に、1人だから別室へ案内される。
広い部屋をほぼ独占できる。
番号を見せなくても「1名客」として覚えられる。
海や景色の見える席が空いたら、すぐ移動できる。
30分で満腹になったら、無理に食べ続けず、コーヒーや景色に切り替えられる。
温泉へ行くタイミングも自由。
眠くなったら即帰れる。
誰かと一緒だと、こうはいかない。
相手の食べるペースがある。
会話がある。
席移動にも相談がいる。
帰るタイミングにも気を使う。
お金も2人分かかる。
相手の満足度も見なければならない。
ソロは寂しいのではない。
回復目的なら、ソロの方が強い場面がある。
別室はマイナスではない
人によっては、別室に通されると「隔離された」と感じるかもしれない。
でも、静かな空間を好む人にとっては、別室はかなり当たりである。
広い。
静か。
視線が少ない。
人の声が遠い。
自分のペースで食べられる。
急かされない。
隣席の会話が入ってこない。
これは、神経にかなり優しい。
会社では、常に人の気配がある。
話しかけられるかもしれない。
離席を見られるかもしれない。
誰かの長話が始まるかもしれない。
電話や雑談が聞こえるかもしれない。
そういう環境で削られた後に、広い別室に通されると、身体はかなり楽になる。
別室は、孤立ではなく、自由な孤独になることがある。
食べ放題は30分で満足してもいい
ホテルランチやバイキングには、90分、120分といった時間制限があることが多い。
しかし、実際に食べる時間は30分で十分なこともある。
最初の皿を取る。
美味しいものを見つける。
好きなものを少しおかわりする。
カレーが当たりなら、そこで勝ちが決まる。
デザートやコーヒーを少し取る。
景色を見る。
これでかなり満足する。
食べ放題を「元を取る戦い」にすると疲れる。
回復目的の日は、胃袋を限界まで使う必要はない。
食べ放題の価値は、量だけではない。
好きなものを選べること。
少しずつ食べられること。
ホテルの空間で食事できること。
その後に温泉があること。
30分で満足して、残り時間を景色と温泉に使う方が、回復には向いている。
景色の見える席は、回復の本体になる
お腹がいっぱいになった後、景色の見える席に移動できるなら、それはかなり強い。
もう食べるためではない。
ぼーっとするために座る。
海を見る。
山を見る。
広い空を見る。
遠くの島や船を見る。
コーヒーを飲む。
何もしない。
これだけで、かなり神経が落ちる。
人間は、意外と視界に影響される。
狭い事務所。
近い人間関係。
監視感。
机とパソコン。
電話の音。
人の声。
そこから離れて、広い景色を見る。
これはただの気分転換ではなく、身体にとって「今は安全な場所にいる」と知らせる行為に近い。
高齢者が多い空間は、意外と神経に優しい
平日昼のホテルランチは、高齢者が多いことがある。
高齢者グループが、友達同士でくっちゃべっている。
夫婦で来ている。
地域の集まりで来ている。
チラシや雑誌を見て来ている。
若い人は少ない。
子連れも少ない。
仕事中の会社員も少ない。
この空間は、かなり落ち着いている。
もちろん、賑やかなグループもいる。
でも、子連れの不規則な声や、仕事電話の緊張感、若者グループの大きなテンションとは違う。
平日昼の高齢者中心のホテルランチは、時間の流れが遅い。
会社で人間ノイズに削られた人にとっては、これがありがたい。
衰退した観光資産は、令和の回復装置になる
言い方は悪いが、昔の観光地や大型ホテルが少し落ち着いていることには、恩恵もある。
かつての団体旅行、社員旅行、宴会、温泉観光のために作られた大きな箱が残っている。
しかし、平日昼はそこまで混んでいない。
その結果、地元の人や有給を取った人が、かなり安く使えることがある。
高級感のある空間。
食べ放題。
温泉。
広い席。
駐車場。
景色。
静かな時間。
これは、普通のチェーン店やスーパー銭湯ではなかなか得られない。
昔の観光インフラを、令和の疲れた会社員が回復装置として使う。
この発想は、かなり実用的である。
会社で削られた人ほど、近場ホテルを使っていい
会社で削られる理由は、人それぞれである。
監視される。
離席しづらい。
長話を聞かされる。
否定される。
評価軸が不透明。
仕事している感だけが重視される。
本当に成果が出ているのか分からない会話に巻き込まれる。
こういう時、人間の神経はかなり疲れる。
家で寝るだけでは、頭の中で会社が再生されることがある。
その場合は、身体ごと場所を変えた方がいい。
近場ホテルランチ温泉は、遠出しなくても、身体に「ここは会社ではない」と分からせることができる。
食べる。
景色を見る。
温泉に入る。
帰って寝る。
これだけで、かなり戻る。
まとめ
平日ソロ有給のホテルランチ温泉は、かなり強い回復ルートである。
遠くへ行かなくてもいい。
観光しなくてもいい。
誰かと予定を合わせなくてもいい。
食べ放題を限界まで食べなくてもいい。
自分のペースで行き、食べ、景色を見て、温泉に入り、帰る。
それだけで、日常からかなり離れられる。
ソロであることは、弱みではない。
むしろ、回復目的ならかなり強い。
人の少ない平日昼。
広いホテル。
静かな席。
美味しいランチ。
温泉。
景色。
会社OSからログアウトするには、十分すぎる。
