キルアは、なぜ友情には「しっとり」する?

読書機能の使い方

聴く:本文を読み上げます。速読:語句を順に表示し、速さを調整できます。語学練習:別の言語版と対訳を読み比べます。保存:このブラウザーにブックマークし、プレイヤーの保存済み一覧から開けます。

この記事をシェア
広告
広告

『HUNTER×HUNTER』キメラアント編のゴンとキルアについて考える。以下の気持ちや関係の読み取りは、作中の描写からの解釈である。

大切だからこそ、冷静な役を引き受けていると読める

カイト再会後、ゴンとキルアが彼と過ごした時間はほぼ同じである。逃がされたのも、救出のために修行したのも、討伐へ戻ったのも一緒だ。キルアはその過程でオロソ兄妹のダーツ能力により失血死寸前まで追い込まれ、イカルゴに救われ、その後も宮殿へ突入する。

そのキルアへ、ゴンは「冷静でいられるのは関係がないから」という趣旨の言葉を投げる。

事実としてはかなり理不尽である。

ゴンの言葉を、「カイトは自分の人生の原点であり、自分のせいで死なせたという痛みは同じではない」という思いの表れとして読むことはできる。しかし実際の言い方は、キルアが払った時間、危険、カイトへの思い、ゴンを守る努力まで部外者扱いする。

キルアはカイトよりゴンを見ている

キルアの冷静さを、カイトへの感情がない証拠とは決めつけられない。ゴンまで危うくなるのを防ごうとしている、とも読める。

ピトーに敵意がなく、治療へ全能力を使っている。今攻撃すれば、カイトを戻せるかもしれない唯一の手段も失う。コムギを殺せば交渉も崩れる。誰かがこの状況を見て、次の動きを考えなければならない。

ゴンが感情担当になったため、キルアは状況を考え、話し合いを助け、無茶を止め、逃げ道を確保する役を一人で引き受ける。その上で、最も守りたい本人から「関係ない」と切られる。

ゴン
カイトへの感情で取り乱すことができる

キルア
カイトへの問題も抱える
+ゴンを失いたくない
+自分まで取り乱すと全員が死ぬ
↓
冷静でいるしかない

だからキルアは、戦況には乾いているのに、友情にはしっとりしている。

ゴンは友情を当然と思い、キルアは保とうとする

キルアにとってゴンは、初めて自分で選んだ親友である。関係が壊れる可能性、対等でいられるか、自分は何者なのかを何度も考える。

一方のゴンは、キルアを強く信頼しているが、その信頼があるからこそ関係を保つための配慮を、強く意識していないように見える。自分が無茶をしてもキルアが来る、自分が進めば横にいる、ひどい言葉を言っても絆は残るという前提で動く。

愛情が弱いのではない。愛情が当然すぎて、相手の負担へ目を向けにくくなっているように見える。

この非対称性が、キルアの「しっとり」を生む。

参考資料(1件)

今日これ読んで

この記事を読んだ人の次の疑問に、それぞれ答える記事です。

すべての記事から探す「友人・人付き合い」の記事をもっと見る

この記事が役に立ったら、応援できます。 応援する

広告

もう1個、なんか面白いのない?

読み終わったついでに。近い話と、ぜんぜん違うけど面白い話を少しずつ。

  1. ウェルフィンはなぜ「自己分析犬」として有能なのか
  2. 『VIVANT』続編は好評なのに、なぜ自分には低予算に見えたのか――AIハヤト、説明劇、別班の正体開示を考える
  3. なぜ『ペルソナ4』は今でも特別なのか?
  4. 散歩だけではなぜ体重が落ちないことがあるのかジム習慣が途切れた時系列から考える「戻し方」

他の記事を探す

すべての記事

めんどいちゃん

このサイトの運営者

めんどいちゃん

仕事や日常の「めんどい」を構造化して、次に動きやすくする記事を書いています。