処理速度が高い人ほど、便利屋化するとキャリアが死ぬ

仕事が速い人、ITができる人、構造化が得意な人ほど、周囲の未定義・未返信・責任転嫁を吸わされやすい。処理速度をキャリア資産に変えるために、何を処理し、何を処理しないかを考える。

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仕事が速い人ほど、危ない。

これは最近かなり強く感じている。

一見すると、処理速度が高いのは完全に武器に見える。
実際、武器ではある。

人より早く論点を整理できる。
人より早く資料を作れる。
人より早く調べられる。
人より早くツールを触れる。
人より早く「これ、こうすればよくない?」まで行ける。

でも、場が悪いと、その速さはキャリア資産ではなく、他人の未処理を吸うための便利な掃除機になる。

掃除機にされる。
ダイソンになる。
しかも顧問料は出ない。つらい。

処理速度が高い人は、外付けCPUにされやすい

処理速度が高い人は、周囲からこう見られやすい。

「この人なら早くできる」
「この人なら分かる」
「この人なら何とかしてくれる」
「この人ならITも分かる」
「この人に聞けばいい」
「この人に投げれば止まっている案件が動く」

一見、信頼されているように見える。

でも、その信頼が正しく評価・職歴・裁量・給料・自由に変わるならよい。
問題は、それが単に 便利屋信用 になる場合である。

便利屋信用とは、

「できるから任せる」
ではなく、
「できるから吸わせる」

という信用である。

頼られているようで、実際は周囲の遅さ、未定義、無責任、曖昧さ、未返信、責任転嫁を処理させられているだけ。

これはかなり危ない。

ITができる人が、IT人材ではなくIT介護になる

特に危ないのが、ITが少しできる人である。

Excelができる。
VBAが分かる。
RPAが触れる。
AIを使える。
画面録画や動画編集のやり方を調べられる。
業務フローを整理できる。

こういう人は、本来なら業務改善人材である。
社内DX人材である。
生産性向上人材である。
ちゃんと評価されれば、かなり強い。

でも場が悪いと、こうなる。

「このボタンどこですか?」
「ループ処理って何ですか?」
「この動画どうやって撮るんですか?」
「毎回横について教えてください」
「分からないので代わりにやってください」
「前も聞いたけどもう一回教えてください」
「できないので結局あなたがやってください」

これはDXではない。
IT介護である。

言い方は少しふざけているが、かなり本質だと思う。

IT介護になると、本人のスキルは職歴に変わりにくい。
給料も上がりにくい。
裁量も増えにくい。
むしろ、質問・相談・代行・尻拭いだけが増える。

そして最後に残るのは、

「社内の人に詳しい人扱いされる」
「でも外に持ち出せる実績は薄い」
「本業も減らない」
「残業だけ増える」

という地獄である。

これは普通にキャリアの死に近い。

ボトルネックが他人にあると、自分の強みが止まる

処理速度が高い人にとって一番つらいのは、
自分の仕事が、自分より遅い人・曖昧な人・返事をしない人・責任を持たない人で止まることである。

自分は依頼した。
確認した。
フォローした。
ログも残した。
他部署には「確認中です」と返した。

でも、相手が返さない。
相手が動かない。
相手が決めない。
相手が責任を持たない。

そして最後に、なぜか遅れた責任だけこちらに飛んでくる。

うきー。

これはつらい。
そして、ただつらいだけではない。
キャリア上、かなり重い。

なぜなら、自分の強みである処理速度が、相手のボトルネックで止められるからである。

本来なら、その時間で、

業務改善できる。
標準化できる。
AIやVBAで仕組みにできる。
職務経歴に書ける成果を作れる。
記事を書ける。
アプリを作れる。
英語を勉強できる。
転職活動できる。
投資や個人資産を育てられる。

でも、他人の未返信や責任転嫁に付き合っていると、その時間が消える。

これはただの業務遅延ではない。
自分の市場価値を作る時間が、他人のボトルネックに奪われているということだ。

「頑張れば報われる」ではなく「どこで頑張るか」

これは会社だけの話ではない。

国でも同じ。
職種でも同じ。
業界でも同じ。
部署でも同じ。

頑張りの量より、頑張りが報われる場に置かれているかが重要である。

どれだけ頑張っても、場が悪ければ報われない。
どれだけ処理速度があっても、それを便利屋仕事に使わされたら職歴にならない。
どれだけITができても、IT介護で終わったら市場価値になりにくい。

逆に、場が良ければ同じ処理速度でも、

業務改善になる。
標準化になる。
生産性向上になる。
DX推進になる。
導入支援になる。
職歴になる。
転職市場で説明できる成果になる。

つまり、処理速度はそれ自体が価値なのではない。
処理速度を何に使うかで価値が決まる。

高速道路を走れるエンジンを持っているのに、毎日ぬかるみで荷物運びをさせられていたら、そりゃ壊れる。

「できるからやる」は危ない

仕事が速い人ほど、ついやってしまう。

できるからやる。
分かるからやる。
自分がやった方が早いからやる。
説明するより自分で処理した方が早いからやる。

短期的には正しい。
でも長期的には危ない。

なぜなら、それを続けると、

「この人がやるもの」
「この人に聞くもの」
「この人が吸うもの」

になってしまうからだ。

しかも、周囲は悪気なく学習する。

「困ったらあの人」
「止まったらあの人」
「ITならあの人」
「資料ならあの人」
「曖昧でもあの人が何とかしてくれる」

この学習が始まると、本人のキャリアはどんどん便利屋方向に寄っていく。

だから大事なのは、
できるかどうかではなく、受けるべきかどうかで判断すること。

できるけど、受けない。
できるけど、担当ではない。
できるけど、主管部署がやるべき。
できるけど、仕組みにして渡すだけ。
できるけど、同じ質問には資料を見てもらう。

この線引きが必要になる。

処理速度を守るための境界線

処理速度が高い人が便利屋化しないためには、境界線が必要である。

1. 依頼は受けても、担当化しない

相談には乗る。
やり方は教える。
リンクも送る。
考え方も整理する。

でも、担当にはならない。

たとえば動画手順書なら、

「標準ソフトで録画できます」
「編集はこのツールでできます」
「保存場所は情シスに確認してください」
「中身は主管部署で作ってください」

ここまででよい。

「では私が全部撮ります」
「編集します」
「正しさも担保します」
「更新も持ちます」

まで行くと、便利屋化する。

2. 相手待ちは相手待ちとして管理する

自分がやるべきことはやる。

依頼する。
確認する。
フォローする。
ログを残す。
他部署には「確認中」と返す。

ここまでやったら、自分のボールではない。

相手が返さないなら、相手待ちである。
相手が決めないなら、判断待ちである。
相手が主管なら、主管対応である。

そこで勝手に補完しない。

「〇日に確認依頼済みです」
「〇日に再フォロー済みです」
「現在、担当部署からの回答待ちです」
「回答があり次第、共有します」

これでよい。

3. 未定義の依頼は聞き返す

「これ何?」
「どうなってるの?」
「なんでこうなの?」

こういう主語のない指摘は、勝手に補完しない。

「これとはどの部分を指していますか?」
「確認したいのは、内容・経緯・対応方針のどれでしょうか?」
「私に期待されている対応は何でしょうか?」
「期限と判断者を確認させてください」

これで返す。

未定義を補完するから、相手の曖昧さを吸ってしまう。
未定義は未定義のまま返す。

これだけでかなり防衛できる。

4. 同じ説明は仕組みに逃がす

同じ質問に何度も答えるのは、処理速度の無駄遣いである。

動画にする。
紙にする。
チェックリストにする。
FAQにする。
テンプレートにする。
サンプルを渡す。

一度作って、次から自走してもらう。

人間がやるべきなのは、毎回の口頭説明ではなく、差分レビューである。

「ここを見てください」
「この手順でやってください」
「詰まったら、この項目を確認してください」

これでよい。

5. 職歴に残る仕事を優先する

処理速度を使うなら、職歴に残る仕事に使うべきである。

業務改善。
標準化。
AI/VBA活用。
調達改善。
生産性向上。
オンボーディング設計。
現場教育の仕組み化。
責任分界の整理。
再利用できる成果物。

こういうものは、外に持ち出せる。

一方で、

社内の謎ルール対応。
特定上司の機嫌取り。
毎回同じIT質問対応。
無回答者の尻拭い。
責任転嫁の吸収。
主語のない指摘の補完。

これは外に持ち出しにくい。

キャリアに残らない努力は、できるだけ減らした方がいい。

処理速度が高い人ほど、処理対象を選べ

処理速度が高いことは強みである。
でも、その強みは放っておくと他人に使われる。

他人の未返信。
他人の未定義。
他人の責任転嫁。
他人のITリテラシー不足。
他人の意思決定の遅さ。

それらを全部吸っていたら、処理速度が高い人から壊れていく。

本当に大事なのは、速く処理することではない。
何を処理するかを選ぶことである。

報われる仕事を処理する。
仕組みになる仕事を処理する。
職歴になる仕事を処理する。
自分の自由が増える仕事を処理する。
次から楽になる仕事を処理する。

逆に、他人の未定義や責任転嫁は、ログを残して相手待ちにする。
それは放置ではない。
相手のボールを相手の場所に置いているだけである。

処理速度が高い人ほど、処理対象を選ばないと死ぬ。

速い人は、速く走れる。
でも、走る道を間違えると、ただ早く沼に沈むだけである。

まとめ

仕事が速い人、ITができる人、構造化が得意な人ほど、便利屋化しやすい。

それは能力が低いからではない。
むしろ能力があるからこそ、周囲の未処理を吸わされる。

だからこそ、境界線が必要である。

相談には乗る。
でも担当にはならない。

やり方は渡す。
でも代行しない。

依頼・確認・フォロー・ログはやる。
でも相手の無回答までは背負わない。

未定義は聞き返す。
曖昧な責任は受け取らない。

処理速度は、便利屋仕事ではなく、キャリア資産になる仕事に使う。

結論はシンプルである。

速く処理できる人ほど、処理する対象を選べ。

処理速度は才能であり、武器であり、資産である。
だからこそ、他人のボトルネック処理に使い潰してはいけない。


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