親族の不安・お金・常識に人生を削られないための地図
別れた後、怒りは少しずつ落ち着いてくる。
最初は腹が立つ。
次に、寂しさが来る。
そのあと、楽しかった記憶も戻ってくる。
「あの時間は、全部嘘だったわけじゃない」
「相手本人には、いいところもあった」
「恨みたいわけではない」
そう思えるようになる。
でも、それでも何度整理しても、最後に同じ場所へ戻ってくることがある。
このまま結婚していたら、俺が俺じゃなくなっていた。
これは、相手を悪者にしたい感情とは少し違う。
相手本人が嫌いだから無理、という話でもない。
楽しかった思い出がなかった、という話でもない。
むしろ逆で、楽しい時間があったからこそ迷う。
でも結婚は、楽しい時間だけではできない。
結婚は、相手本人だけでなく、家計、親族、住む場所、働き方、将来の自由度、生活リズム、休日、資産形成、介護、子ども、帰省、親戚付き合い、意思決定のルールまで入ってくる。
つまり結婚は、人生の中核に誰を入れるかという話になる。
そこで、自分が価値を感じないものに時間とお金と気持ちを使わされ続けるなら、かなり危ない。
たまに嫌な飲み会に行くくらいなら、まだ外側のダメージで済む。
職場の面倒な人に対応するくらいなら、転職・異動・記録・運用で切れる。
でも、結婚相手やその親族の不安処理が、自分の家・お金・自由時間・働き方・将来設計に入り込んでくると、逃げ場がない。
だからこの記事では、別れの正当化ではなく、もっと広い地図を作る。
テーマはこれ。
自分の人生の中核に、他人の不安処理システムを入れない。
この記事は「相手を裁く記事」ではない
最初に線を引いておきたい。
この記事は、特定の誰かを「悪人」と決めつけるための記事ではない。
不安になる人が悪いわけではない。
親が子どもの結婚を心配すること自体も、普通にある。
結婚前にお金の話をするのも大事。
プレゼントや記念日の価値観が合うかを見るのも、別におかしくない。
問題はそこではない。
問題は、不安の処理方法である。
不安を、自分の言葉で話し合える人はいる。
「私はこれが不安」
「こういうルールがあると安心する」
「ここは一緒に考えたい」
「これは私の希望として言っている」
こういう形なら、まだ話し合える。
一方で、不安を他人の行動制限や罪悪感や常識や親族の意見で処理しようとする人もいる。
「普通は分かるでしょ」
「常識がない」
「家族が心配している」
「親もそう言っている」
「安心できないから変わって」
「察しない方が悪い」
「断るなら大事にしていない」
こうなると、話し合いではなくなる。
こちらの境界線が、相手の不安を下げるための材料にされる。
そこで削られるのは、単なる気分ではない。
自分の自由、尊厳、お金、時間、将来の方向性である。
心理学の研究では、罪悪感を使う、感情を無効化する、愛情や承認を条件化するような関わりは「心理的コントロール」として扱われることがある。これは、相手の自律性や内面に介入して、自分の期待に沿わせようとする関わり方である。[^psychological-control]
もちろん、恋人や家族との日常のすべてを研究用語に当てはめる必要はない。
ただ、違和感を整理する棚としてはかなり役に立つ。
地図:何が起きると「俺が俺じゃなくなる」のか
この違和感は、単発の出来事ではなく、複数の要素が重なってできる。
地図にすると、こうなる。
- 相手本人の不安がある
- その不安を、本人だけで扱いきれない
- 親や兄弟など原家族が肩代わりする
- 家族が恋人を査定・管理し始める
- 本人は一時的に安心する
- でも、カップル関係は削れる
- こちらが境界線を置く
- その境界線が、相手側からは「安心手段を奪われた」と見える
- 「常識」「家族」「察して」「安心できない」で押し戻される
- こちらの人生の中核が削られる
この流れが一度だけなら、まだ話し合える。
でも、プレゼント、お金、帰宅時間、年収、親族の評価、将来設計、投資、働き方など、複数の領域で同じ構造が出ると、かなり危ない。
たとえば、プレゼントの話であればこうなる。
「値段じゃなくて、思い出に使いたい」
と伝える。
それでも後から、
「お返しは1.5倍」
「ホワイトデーはどうなの」
「常識がない」
「家族も気にしている」
のような話が来る。
お金の話であればこうなる。
「共同資金は見える化する」
「毎月必要額を積み立てる」
「5万円以上の出費は相談する」
「個人資産と共同資金は分ける」
「ライフプランも作る」
「相手親の介護費用も見積もる」
そこまで運用ルールを作っても、最終的に、
「でも将来を考えると安心できない」
「金銭感覚が違う」
「なんとなく不安」
へ戻る。
こうなると、もう運用ルールの問題ではない。
相手が求めているのは、具体的な管理策ではなく、相手本人や家族が感情的に安心できるところまで、こちらの人生戦略を変えることになってしまう。
それは無理でいい。
相手本人の要望なら、かなり聞ける
ここを間違えると、話がズレる。
これは「相手に合わせたくない」という話ではない。
むしろ、相手本人の要望ならかなり合わせられる人はいる。
旅行先は相手が決める。
家計管理は相手が得意なら任せる。
記念日の過ごし方も、本人が大事にしているなら寄せる。
欲しいものがあるならリストで出してもらう。
本人のこだわりなら、「ありがたい、頼れる」と感じる。
これは、いわゆる「尻に敷かれる」に近いかもしれない。
でも、それ自体は問題ではない。
本人同士が納得しているなら、家庭内の主導権が片方に寄っていてもいい。
片方が旅行を決める。
片方が家計管理をする。
片方のこだわりに合わせる。
それは信頼関係である。
問題は、途中から「ご主人様」が本人ではなくなることだ。
本人の希望ではなく、
母の不安。
兄の査定。
親族の常識。
家族の安心。
世間体っぽいプライド。
プレゼント相場。
年収ライン。
帰宅時間ルール。
これが全部入ってくる。
そうなると、もう「相手本人に合わせる」ではない。
相手家族の不安パッケージDLCを買わされるようなものになる。
本編は好きだった。
でも強制DLCが重すぎる。
しかも解約できない。
しかも毎月課金される。
それは無理でいい。
親族の不安DLCは、結婚後に本格化する
恋愛中は、まだ距離がある。
でも結婚が近づくと、急に親族の不安が濃くなることがある。
年収はどうなのか。
帰宅時間はどうなのか。
プレゼントはどうなのか。
投資は怖くないのか。
サラリーマン一本じゃないと不安ではないのか。
将来安心できるのか。
家族として納得できるのか。
親族が心配すること自体はある。
しかし、それが相手本人を経由して、こちらの行動・お金・時間・自由・尊厳に入ってくるとき、話は変わる。
結婚研究では、カップルの二者関係に原家族が入り込む「family-of-origin triangulation」、つまり原家族の三角関係化が、婚姻の質や安定性に悪影響を持つものとして扱われる。[^triangulation]
要するに、問題は「母親がうるさい」だけではない。
問題は、恋人同士・夫婦同士の話が、いつの間にか、
自分 vs 相手本人+母+兄+家族会議
になってしまうことだ。
これは、普通にきつい。
相手本人が、
「親はそう言っているけど、私はこう思う」
「私たちのことは私たちで決める」
「親兄の言葉をそのままあなたにぶつけるのはやめる」
とできれば、まだ違う。
でも、話し合った結果がいつも、
「家族が心配している」
「家族想いだから」
「親の意見も大事」
に戻るなら、夫婦領域の防波堤がない。
それは結婚前提ではかなり危険である。
家族想いと、境界線のなさは違う
「家族想い」は良い言葉である。
親を大事にする。
兄弟を大事にする。
困ったときに助ける。
帰省する。
連絡を取る。
それ自体は何も悪くない。
しかし、家族想いと、家族との境界線がないことは違う。
家族の近さには、健康な結束と、境界が曖昧になりすぎる巻き込みがある。研究でも、family cohesion(家族の結束)と enmeshment(過度の巻き込み・境界の曖昧さ)は分けて扱われる。[^enmeshment]
家族を大事にしながら、夫婦領域を守れる人はいる。
「親は大事。でも夫婦のことは夫婦で決める」
「家族は心配している。でも相手を傷つける言い方は通さない」
「親の不安と、自分の意思は分ける」
これなら大丈夫。
危ないのは、
「家族がそう言っているから」
「家族想いだから」
「親が心配しているから」
「家族が納得しないと安心できない」
で、夫婦領域に親族の不安が入ってくることだ。
家族想いが、境界侵害の免罪符になってはいけない。
不安は悪くない。不安の処理方法が問題
不安がある人は悪くない。
投資が怖い。
結婚が不安。
将来が不安。
相手の働き方が分からない。
家族が心配している。
生活が成り立つのか不安。
これは、普通にある。
ただし、不安には扱い方がある。
健全寄りの不安は、こう出る。
「投資が怖いから、共同資金に影響しない設計を見たい」
「大きな出費の相談ラインを決めたい」
「生活費の見える化をしたい」
「将来費用を一緒に試算したい」
「分からないから説明してほしい」
これは話し合える。
一方、しんどい不安は、こう出る。
「なんとなく怖い」
「金銭感覚が違う」
「普通はこう」
「将来的に安心できない」
「親も不安がっている」
「だからあなたが変わって」
これは、話し合いのゴールが見えない。
運用ルールで答えても、最後は感情的な不安へ戻る。
共同資金を分けても、個人領域へ入ってくる。
数字で説明しても、「でも安心できない」になる。
こうなると、相手の不安を支えるために、こちらの人生戦略が削られる。
心理・不安症の文脈では、本人の不安や苦痛を下げるために家族が行動を変えることを family accommodation と呼ぶ。短期的には安心につながっても、長期的には不安や回避を維持しやすいとされる。[^family-accommodation]
ここで大事なのは、臨床診断をすることではない。
構造として、
本人の不安
→ 家族が肩代わり
→ 家族が相手を査定・管理
→ 本人は一時的に安心する
→ でもカップル関係は削れる
という流れがあり得る、ということだ。
お金の話:共同領域と個人領域を分けられるか
お金の話は、結婚前に必ず出る。
ここで一番大事なのは、共同領域と個人領域を分けられるかである。
共同領域とは、生活費、家賃、光熱費、食費、保険、将来の家族費用、生活防衛費など。
ここは当然、2人で話すべきである。
個人領域とは、婚前から持っている資産、個人の投資方針、個人の自由資金、個人の人生戦略に近い部分。
ここまで全部、相手や相手親族の「なんとなく不安」で支配されると危ない。
日本の民法は、夫婦の一方が婚姻前から有する財産や、婚姻中に自己の名で得た財産を「特有財産」とし、どちらに属するか明らかでない財産は共有推定とする建て付けになっている。[^civil-code]
もちろん、法律上の話と、結婚生活の信頼は別である。
「法律では自分のものだから何をしてもいい」ではない。
ただ、婚前資産、個人口座、共同口座、生活費口座を分けて記録するという発想は、感情ではなく運用で安全を作るうえでかなり重要である。
たとえば、こういう設計ができる。
- 結婚前の個人資産は、基本的に個人管理にする
- 結婚後の共同資金は、共同口座で見える化する
- 家賃・食費・光熱費・保険・将来費用を見積もる
- 毎月、必要額を共同資金へ積み立てる
- 生活防衛費を確保する
- 5万円以上の出費は必ず相談する
- 個人の自由資金は、相互に干渉しすぎない
- 投資は共同資金へ影響しない範囲で行う
- 将来の大きな費用はライフプランで試算する
ここまで作ってもなお、
「でも安心できない」
「金銭感覚が違う」
「なんとなく不安」
になるなら、それはもう運用設計の問題ではない。
相手が欲しいのは、共同生活の安全ではなく、自分や家族が感情的に安心できる生き方へ、こちらが変わることかもしれない。
そこは、かなり重い。
投資をする人にとって、結婚相手は人生戦略そのものに影響する
投資や副収入やサイト運営やアプリ開発をしている人にとって、お金の話は単なる数字ではない。
それは、働き方の話である。
自由度の話である。
会社への依存を下げる話である。
嫌な労働から逃げる選択肢を作る話である。
将来のリスクを分散する話である。
サラリーマン一本を「安定」と見る人もいる。
でも別の見方をすれば、会社員一本には、上司ガチャ、部署ガチャ、評価ガチャ、昇給限界、税金、会社都合、メンタル消耗、退職リスクがある。
毎月給料が入るから安定、という面はある。
しかし、人生の自由度を会社に強く依存するリスクもある。
だから、投資・副収入・資産形成・働き方の分散を「安定」と見る人もいる。
この安定の定義が合わないと、結婚はかなりきつい。
片方は、
「会社員一本で、変動の少ない生活が安心」
と思っている。
もう片方は、
「会社員一本こそ怖い。投資と副収入で選択肢を増やす方が安心」
と思っている。
どちらが絶対に正しいという話ではない。
問題は、片方の「なんとなく安心」を理由に、もう片方の人生戦略を潰そうとすることだ。
レバレッジ型商品やインバース型商品にはリスクがあり、金融庁も、中長期投資に適合しない場合があることや、指数の倍率どおりにならない特性などについて注意喚起している。[^fsa-leverage]
だから、投資リスクを話し合うこと自体は大事である。
しかし、話し合うべきは、
「共同資金へ影響しない設計になっているか」
「生活防衛費は十分か」
「個人資産の何%までか」
「暴落時に生活費が守られるか」
「婚前資産と共同資産の記録は明確か」
である。
それをせずに、
「投資は怖い」
「金銭感覚が違う」
「普通じゃない」
で終わるなら、運用ルールではなく、常識による制限になってしまう。
自分の人生戦略を、根拠の薄い不安で差し出す必要はない。
プレゼント査定:善意を相場表に乗せられるしんどさ
プレゼントの話も、実はかなり深い。
プレゼントは、本来、感謝や好意や記憶の共有である。
もちろん、相手の好みを考える必要はある。
雑なプレゼントで相手を傷つけることもある。
欲しいものを聞くのも大事である。
ただし、プレゼントが金額査定になると、一気にしんどくなる。
値段を調べる。
相場と比べる。
お返しは1.5倍と言う。
ホワイトデーはどうなのと言う。
常識がないと言う。
家族にも言われる。
こうなると、プレゼントは善意ではなく、課金審査になる。
日本のホワイトデーは、菓子業界などの販促と結びついて広がった文化として紹介されている。TIMEも、ホワイトデーが菓子業界の働きかけから始まったこと、三倍返しの慣習や商業性への批判があることに触れている。[^white-day]
贈り物文化を全部否定する必要はない。
感謝を返す。
相手を大事にする。
記念日を楽しむ。
それは良い。
でも、
「お返しは1.5倍」
「3倍返し」
「相場より安い」
「常識がない」
で愛情を測ると、かなりカモ構造に近づく。
誰かの不安、見栄、世間体、マーケティングが、恋愛の中核に入ってくる。
それはかなり危ない。
今後のルールはこうでいい。
欲しいものがあるなら、先に言う。
相場で測るなら、自由に選ばせない。
後から金額で査定するなら、物のプレゼントはやめる。
愛情や感謝を価格倍率で測る関係には入らない。
これはケチではない。
善意を後出し査定されないための境界線である。
「常識」は誰に都合がいいのか
常識は便利である。
全部を一から考えるのは大変だから、社会には常識が必要である。
でも、常識はいつも自分を守ってくれるとは限らない。
ときには、会社に都合のいい常識がある。
親世代に都合のいい常識がある。
マーケティングに都合のいい常識がある。
不安を煽って消費させる常識がある。
平均的な人生モデルへ乗せる常識がある。
誰かの管理欲や見栄を正当化する常識がある。
「男なら年収はこのくらい」
「プレゼントは相場で測るべき」
「投資は危ない」
「サラリーマンが一番安定」
「親が心配しているなら従うべき」
「普通は察するべき」
「家族想いなら受け入れるべき」
これらは、常識っぽい顔をしている。
でも、本当に自分の人生を守る常識なのかは別である。
常識は参考にする。
でも、最終決定権を渡さない。
最終的には、数字、運用ルール、リスク管理、自分の価値観で決める。
特に結婚のような中核領域では、
「常識だから」
ではなく、
「このリスクがあるから、こういうルールにしよう」
で話せる人が必要である。
アサーティブは説得術ではなく、柵を置く技術
アサーティブな伝え方は大事である。
Mayo Clinic は、アサーティブを、自分の考えを効果的に表現し、自分の立場を守りながら、相手の権利や信念も尊重するコミュニケーションスキルとして説明している。[^assertiveness]
つまりアサーティブは、相手を言い負かす技術ではない。
自分の気持ちが削られるところに、柵を置く技術である。
「ここまでは聞く」
「でも、ここから先は無理」
「この不安には運用ルールで答える」
「ただし、個人領域までは差し出せない」
「親族の意見と本人の意見は分けてほしい」
「後から“普通は察して”で責められる関係は続けられない」
こういう柵を、怒鳴らず、責めず、でも明確に置く。
ただし、アサーティブは万能ではない。
話が通じる相手には効く。
話が通じる相手は、柵を見て止まる。
「なるほど、ここから先はあなたの領域だね」
「次から欲しいものは先に言うね」
「親の意見と自分の意見は分けるね」
「明らかな営業電話は断りますね」
こうなる。
しかし、話が通じない相手は、柵を見て怒る。
なぜなら、その人にとっては、柵の内側に入ることが安心手段だからである。
こちらにとっての柵は、尊厳と自由を守る線。
相手にとっての柵は、自分の不安処理を邪魔する壁。
だから、
「常識がない」
「態度が悪い」
「家族を大事にしていない」
「普通は分かる」
「安心できない」
「全部出ろ」
という押し戻しが出る。
この場合、アサーティブは相手を変える魔法ではない。
通じる人と通じない人を見分ける検査になる。
柵を見て止まる人は、中核に入れられる可能性がある。
柵を見て侵害してくる人は、中核に入れてはいけない。
職場でも同じ構造が出る
この構造は、恋愛や結婚だけではない。
職場にも出る。
たとえば、明らかな営業電話まで全部転送されると困る。
そこで、一次切り分けをお願いする。
話が通じる人は、
「明らかな営業電話なら断りますね」
と理解する。
すると、電話の数が減る。
現場が少し楽になる。
これは業務改善である。
一方、話が通じない人は、
「相手部署は判断できない」
「だから全部転送する」
「だから全部出ろ」
「出ないのは態度が悪い」
のように返してくる。
これは、論点がズレている。
本来の論点は、電話に出る気があるかではない。
明らかな不要電話まで全部転送する運用が全体最適かどうかである。
ここでアサーティブに説明しても、相手が論点を保てないなら通じない。
だから、通じない人を説得し続けるより、通じる人が動ける文章と運用を置く方がいい。
これは恋愛でも同じである。
相手本人が話せる人でも、その後ろの親族が毎回入ってくるなら、結局破綻する。
必要なのは、相手本人が理解することだけではない。
その人が、親族と自分を分けられること。
夫婦領域に入ってくるものを止められること。
最終決定権を2人に戻せること。
そこがないなら、アサーティブに言っても毎回同じところで詰まる。
怒りが戻る理由
何度整理しても、怒りが戻ることがある。
それは、未練とは限らない。
相手を恨んでいるからとも限らない。
自分の尊厳が傷ついたログを、脳が再確認しているだけかもしれない。
「あれはやっぱり失礼だった」
「事前に確認したのに、後から責められた」
「値段を調べて常識がないと言うのは違う」
「親兄まで入ってくるのは無理」
「運用ルールを作ったのに、感情的不安に戻された」
こういう怒りは、結論を出すための材料ではない。
もう結論は出ている。
結婚の意思決定構造が無理だった。
だから、怒りが戻ったときは、こう閉じる。
「また裁判を開いている。
でも判決はもう出ている。
追加審理なし。」
楽しかった思い出まで汚さなくていい。
楽しかった。
でも無理だった。
以上。
次に選ぶ人の条件
次に選ぶべき人は、完璧な人ではない。
不安がない人である必要もない。
親がいない人である必要もない。
投資に詳しい人である必要もない。
プレゼント文化を全部否定する人である必要もない。
必要なのは、もっと土台の部分である。
1. 自分の不安を、自分の言葉で扱える人
「親が言っている」ではなく、
「私はこう不安」と言える人。
2. 親族の意見と、自分の意思を分けられる人
親を大事にしながら、夫婦領域を守れる人。
3. 運用ルールで話せる人
「なんとなく不安」だけで止めず、
「このリスクがあるから、こういうルールにしたい」
と言える人。
4. 後出しの本音で、事前合意を何度も無効化しない人
後から言うこと自体は悪くない。
でも、それが多すぎると事前確認が機能しなくなる。
5. プレゼントを価格査定にしない人
欲しいものがあるなら言う。
相場で測るなら自由回答にしない。
後から常識で責めない。
6. 共同領域と個人領域を分けられる人
共同資金は共同で守る。
でも、個人資産や人生戦略まで、なんとなくの不安で侵害しない。
7. 柵を見て止まれる人
これが一番大事。
こちらが、
「ここから先は自分の領域です」
と言ったときに、止まれる人。
止まれない人は、どれだけ好きでも、中核には入れにくい。
まとめ:好きだった。でも無理だった。
最後に戻る。
楽しかった思い出はあった。
相手本人にも良いところはあった。
恨みたいわけでもない。
全部を否定したいわけでもない。
でも、結婚の構造としては無理だった。
なぜなら、自分の人生の中核に、相手本人以外の不安、親族、常識、査定、プレゼント相場、金銭不安、後出し本音が入ってくるから。
そして、それに合わせ続けると、自分が自分じゃなくなるから。
結婚は、人生のリソース配分である。
時間を出す。
お金を出す。
休日を出す。
気持ちを出す。
働いて得た収入を出す。
将来の自由度を出す。
生活空間を出す。
だから、中核に入れる相手は慎重でいい。
自分が価値を感じるものに人生を使いたい。
自分が価値を感じないものに、人生のリソースを吸われ続けたくない。
その感覚は、冷たいわけではない。
むしろ、かなり大事な防衛反応である。
俺が俺じゃなくなる結婚は、やめた方がいい。
これは、別れの言い訳ではない。
次に、自分が自分のままでいられる関係を選ぶための地図である。
参考資料(8件)
[^psychological-control]: Psychological control is commonly discussed in research as a form of control that intrudes into a child or another person’s emotional and cognitive world, often using guilt induction, invalidation, or conditional approval. See: J. H. Kunz et al., “Parental Psychological Control and Autonomy Granting,” PMC. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3572750/ ; L. Cui et al., “Parental Psychological Control and Adolescent Adjustment,” PMC. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4104177/
[^triangulation]: Family-of-origin triangulation refers to the original family becoming involved in the couple system; research has associated it with marital quality and stability. See: Y. Song et al., “Family-of-origin triangulation and marital stability,” Social Behavior and Personality. https://www.sbp-journal.com/index.php/sbp/article/view/11420/6979 ; “Family-of-Origin Triangulation and Marital Quality of Chinese Couples,” ResearchGate summary. https://www.researchgate.net/publication/333305596_Family-of-Origin_Triangulation_and_Marital_Quality_of_Chinese_Couples_The_Mediating_Role_of_In-Law_Relationships
[^enmeshment]: Family cohesion and enmeshment are distinguished in family research; closeness itself is not the problem, but blurred boundaries and reduced autonomy can be. See: J. L. Coe et al., “Family Cohesion and Enmeshment Moderate Associations…,” PMC. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5926812/
[^family-accommodation]: Family accommodation describes family members modifying behavior to reduce a person’s anxiety or distress; in anxiety/OCD contexts, it can relieve distress short term while maintaining anxiety patterns longer term. See: E. R. Lebowitz et al., “Family accommodation in obsessive-compulsive and anxiety disorders,” PMC. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4895189/
[^civil-code]: Japanese Civil Code Article 762 defines separate property in marriage and presumes shared ownership when attribution is unclear. e-Gov 法令検索「民法」第762条. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
[^fsa-leverage]: Japan’s Financial Services Agency warns about characteristics and risks of leveraged/inverse ETFs, including divergence over periods longer than one day and possible unsuitability for long-term investment. 金融庁「レバレッジ型・インバース型ETF等への投資にあたってご注意ください」. https://www.fsa.go.jp/news/r2/shouken/20210630/20210630.html
[^white-day]: TIME describes White Day as originating in Japan through confectionery industry efforts and discusses its reciprocal gift customs, commercial character, and the “three-times return” custom. TIME, “March 14 Is White Day. What to Know About Japan's Gift-Giving Follow-Up to Valentine's Day.” https://time.com/6936331/march-14-holiday-white-valentines-japan-gifts-reciprocation/
[^assertiveness]: Mayo Clinic describes assertiveness as a communication skill for expressing yourself effectively and standing up for your point of view while respecting others’ rights and beliefs. Mayo Clinic, “Being assertive: Reduce stress, communicate better.” https://www.mayoclinic.org/healthy-lifestyle/stress-management/in-depth/assertive/art-20044644
