鹿児島旅行を振り返ったら、最終日の説明がものすごく短くなった。
ホテルを満喫して、知覧へ行った。以上。
文字にすると二行なのに、実際はそれで一日がほぼ消えた。
しかも帰りの空港バスでは、後ろの旅行客から「ここ、移動が大変だね」という趣旨の会話が聞こえた直後、車内放送が「途中下車はできません」と追撃してきた。
交通側まで会話に参加してくるな。
それでも旅行全体はかなり楽しかった。むしろ、細かい予定を作り込まず、ざっくり調べて現地で決めたからこそ面白かった。
1. 予定を詰めなかったのに、ちゃんと満足した
今回の旅は、分刻みの旅程表を作るタイプではなかった。
大きな柱だけ決める。
- いいホテルを楽しむ
- 知覧へ行く
- 鹿児島らしいものを食べる
- あとは現地で決める
このくらい。
結果、朝はホテルでゆっくり食べ、景色や館内を楽しみ、そこから知覧へ向かった。知覧は「ちょっと見て次へ」とできる場所ではなく、展示や手紙を読んでいると普通に時間が溶ける。
予定を増やしていたら、たぶん全部が薄くなっていた。
旅行では「何か所回ったか」を成果にしがちだけど、今回は逆だった。
二つしか行ってない。でも二つとも濃い。
これでいい。
2. バスだけは最後まで強敵だった
鹿児島旅行で最も印象に残ったものを三つ挙げろと言われたら、
- 飯
- 知覧
- バス
になる。
バス酔い、本数、乗り場、待ち時間、空港への移動。
観光地より交通攻略の方が難しい瞬間があった。
特に知覧は、行ってしまえば本当に良かったのだが、「行くまで」と「帰るまで」に体力を持っていかれる。
だから、鹿児島を公共交通で回るなら、予定を詰めるより帰りの移動を先に押さえるくらいがちょうどいい。
旅行者として感じた不便さは本物だった。ただし、それと「行く価値がない」はまったく別。
バスはつらい。知覧は良かった。両方成立する。
3. 知覧は、やっぱり行ってよかった
知覧では、戦争を「昔のすごい話」として眺めるより、人がどんな空気の中で選択し、家族に何を残したのかを考える時間になった。
手紙や映像は重い。
見ていると、「自分ならどうしただろう」と簡単には言えなくなる。
周囲の空気、組織、時代、役割。
本人の気持ちだけでは動かせないものが重なっている。
だからこそ、見学後に仕事や日常へ単純な自己犠牲の教訓を持ち帰るより、
人は空気の中で、どこまで自分の意思を守れるのか
と考える方が自分には残った。
旅先で泣きそうになるとは思っていなかった。
バス酔いとは別件である。
4. 「鹿児島は飯がうまい!」には重大なサンプル偏りがある
今回、鹿児島に対してかなり強く残った印象がある。
飯がうまい。
ただし、冷静になると問題がある。
高級ホテル、高めの店、ちゃんとした料理ばかり選んでいる。
それはうまい。
鹿児島県全体の平均を調査したのではない。こちらが自主的に当たりくじしか引いていない。
それでも、水簾の料理は特に印象に残った。
料理だけではなく、米まで「うまっ」となる。甘みのあるものも良かった。黒糖を単体で食べた記憶はなかったが、料理や甘味のどこかで黒糖系の味に出会っていた可能性はある。
白熊も食べる。
ホテルの朝食も食べる。
地元の料理も食べる。
こうして旅行者の脳内には、
鹿児島=食べればだいたい勝ち
という、非常に都合のいい学習結果が保存された。
統計的には怪しい。旅行としては大成功である。
5. いちばん羨ましかったのは、観光地のカップルではない
旅先ではカップルをよく見る。
観光地で写真を撮っている二人もいる。街を歩く二人もいる。
でも今回いちばん羨ましかったのは、ホテルの朝食会場にいたカップルだった。
派手なことをしているわけではない。
朝、同じホテルで起きて、少し眠そうに一緒に朝ごはんを食べている。
それだけ。
なのに、観光名所で手をつないでいる場面より刺さる。
たぶん羨ましいのは「デート」より、
好きな人と同じ朝を共有している感じ
なのだと思う。
白熊を一緒に食べた、という旅行客の話を聞いても羨ましい。でもホテルの朝食はさらに強い。
非日常の旅行なのに、そこだけ少し日常に見えるからだ。
6. 旅行はグルメ。春はあけぼの
結局、旅行で強く残るのは食べたものだった。
景色も覚えている。知覧も強烈だった。
でも「あの米うまかった」「あの料理もう一度食べたい」は、妙に長く残る。
そこで雑に古典と合体した。
旅行はグルメ。春はあけぼの。
もちろん「春はあけぼの」は清少納言『枕草子』。
並べる必要は一切ない。
でも語感がいいから仕方ない。
次に鹿児島へ行くなら、今回取りこぼした黒糖をちゃんと食べたい。全部を一回で回収しない方が、次に行く理由も残る。
7. 最大のバグは「旅行中にアプリまで作っていた」こと
そして今回、一番おかしいのはここかもしれない。
旅行へ向かう飛行機で新しいアプリの案を思いついた。
そのまま移動中に作り始めた。
記事を作る仕組みの調整も進めた。
気づいたら、旅行が終わるころには新しいアプリもかなり形になっていた。
普通なら、
「せっかく旅行に来たんだから仕事は忘れよう」
となりそうなところで、
旅行の刺激で思いつく → その場で作る → ほぼ完成する
が発生した。
休暇なのか開発合宿なのか分からない。
ただ、机に縛られて嫌々作業していたわけではない。移動時間に思いついたものを、そのまま形にしていた。
このタイプの人間にとっては、「何もしないこと」だけが休みではないのかもしれない。
8. 結論:ざっくり決めて、現地でうんたらする旅は強い
今回の旅行は、効率だけ見れば完璧ではない。
バスは大変だった。
ホテルと知覧だけで一日が終わった。
食事は高めの店に偏った。
行けなかった場所も、食べ損ねたものもある。
でも満足度は高い。
理由はたぶん、旅程を守ることより、その場で気になったものに時間を使えたから。
いいホテルならゆっくりする。
知覧が重ければ急がない。
飯がうまければ食う。
アプリを思いついたら作る。
全部回収しようとしない。
これくらい雑な方が、あとで「何したっけ?」ではなく「いろいろあったな」と思い出せる。
鹿児島の感想を一行にするとこうなる。
バスは強敵。知覧は行ってよかった。飯はうまい。ホテルの朝食カップルは羨ましい。そしてなぜかアプリが完成しかけた。
旅行として、情報量が多すぎる。
