漫画『HUNTER×HUNTER』のグリードアイランドは、念という超能力を使うゲームである。少年ゴンとキルアが挑戦し、ビスケが二人を指導する。
相手がビスケなのに、髪へハサミを通している
グリードアイランド編序盤で登場するビノールト。
賞金首ハンターでもある彼は、ハサミを武器にする。
そしてビスケへ接近し、髪を切る。
ここ、能力の説明へ意識が向きやすいが、
相手がビスケなのに髪へ攻撃を届かせた
という時点で地味にすごい。
ビスケは念歴40年級の超ベテラン。
ゴンとキルアを簡単に指導できるレベル。
その相手の髪を取るところまでは成功している。
ただし「ビスケが完全に不意を突かれた」とは考えにくい
一方で、
「ビノールトが純粋な速度でビスケを上回った」
と読むのも不自然である。
ビスケは相手の存在へ気づき、力量も見ている。
しかも後の戦闘では明確な実力差がある。
したがって自然なのは、
ビスケが完全回避するほどの危険とは見なさず、相手の出方を見ていた
という読み。
作中で、
「わざと髪を切らせた」
と明言されているわけではない。
だから断定はできない。
ただし実力差を考えると、
髪を切れた=ビノールトがビスケを上回った
とは言いにくい。
髪を食べて情報を見る能力が、逆に自分を絶望させる
ビノールトの能力「切り裂き美容師(シザーハンズ)」は、相手の髪を食べることで肉体に関する情報を得る。
つまり、
髪を取れた ↓ 能力を使えた ↓ 相手の情報がわかった ↓ 「これ、ヤバい人だ」
となる。
情報収集能力を成功させた結果、
自分が襲った相手の格がわかってしまう。
これはかなり悲しい。
普通なら情報取得は有利になる。
ビノールトの場合、
情報取得成功=絶望の解像度が上がる
になっている。
そこから「武闘家として手合わせを願う」方向へ行くのが草
ビノールトは、単なる捕食対象としてビスケを見るのをやめる。
力量を理解したあと、武闘家として正面から挑む方向へ移る。
流れだけ見ると、
獲物発見 ↓ 髪を切る ↓ 食べる ↓ ステータス判明 ↓ 相手、化け物 ↓ 急に礼儀正しい武人モード
である。
ここが妙におもしろい。
そして負けた後、ゴンとキルアの教材になる
さらにひどいのがその後。
ビスケに敗れる。
しかしビスケは、ビノールトをただ排除しない。
第63話の公式あらすじでは、ビスケがゴンとキルアへ、
ダメージを受けたビノールトを2週間で倒す
という課題を与える。
つまりビノールトは、
襲撃者 ↓ ビスケへの挑戦者 ↓ 敗者 ↓ ゴンキル用実戦教材
へ変わる。
人生の役割変更が激しすぎる。
それでも「教材にできる」時点で普通に強い
ビノールトが本当に雑魚なら、修行にならない。
ビスケは、
負傷していても、今のゴンとキルアには十分強い
と判断している。
つまり、
ビスケ基準では処理できる が 当時のゴンキル基準では強敵
という位置。
ビスケの強さが異常すぎて、ビノールトまで弱く見えてしまうだけである。
