説明文: AIに理想と現状の差を網羅的に分析させ、真因候補を出させ、小さな改善を次々実行。なぜPVが動くとやめられなくなるのか? リンク改善とタイトル修正を同時に行う落とし穴まで、笑えるけど実用的な改善ループの話。
結論:AIが優秀すぎると、改善提案が終わらなくなる
「ブログの全記事を、すぐに、継続的に、あらゆる検索で上位表示したい。現状との差を網羅的に出して、なぜなぜ分析で真因まで掘って」
これをAIに投げると、恐ろしいことが起きる。答えが一つ返ってくるのではない。リンク、記事タイトル、本文、検索需要、読み込み、他言語、公開の仕組み、計測……改善の枝が次々生えてくる。
さらに運営者が「なるほど。実装が安いなら、とりあえずやろう」とほぼ全部採用する。分析係にとっては理想の上司。作業量だけ見ると悪夢の上司。
対策を潰す人がいない。その結果、改善会議が永遠に終わらない。
1. 「ありたい姿」を無茶に設定すると、原因が見えやすくなる
「SEOを良くしたい」では、返ってくるのは一般的なチェックリストになりやすい。
一方、「すべての記事を、速く、継続的に検索上位に」という理想を先に置けば、「発見すらされていないページは?」「検索結果には出るのに選ばれないページは?」「記事を直しても公開版に反映されていないのでは?」と、問題を別々に切り分けられる。
もちろん、これは考えるための極端な目標であって、上位表示の保証ではない。なお、ChromeやSafariはブラウザ、GoogleやBingは検索エンジン。両方まとめて「全部で上位!」と言いたくなるが、担当部署が違う。
品質改善の「なぜなぜ分析」は、目に見えた現象から原因を掘る方法だ。ASQ(米国品質協会)も、回数は必ず5回でなくてよいと説明している。[1]
2. 「なぜなぜパワハラ」を超えた? ただし相手はAI
人間の職場で「なんで? だからなんで?」と責め続けたら、問題解決より先に職場環境のほうが問題になる。
AI相手なら話が変わる。遠慮なく「要因を漏らさず」「もう一段深く」「真因候補は?」と頼める。疲れを気にせず枝を広げられるのは、道具としての強みだ。
ただしAIが長々と説明してくれたことと、原因が実証されたことは別。もっともらしい話ならいくらでも作れる。だから「納得できる原因候補」と「実測で確かめた真因」を分けておく。
沼の入り口は、分析しすぎること自体より「それ、全部直せそうじゃん」と思えることにある。
3. 一番の変化は、改善を試す値段が下がったこと
従来なら原因を十個挙げても、直すには人手も日数もかかる。だから会議で優先順位をつけて、多くを見送る。
小さなブログのソフトウェア改善では、AIが調査、修正案、コード変更の下書きまで手伝える。修正の危険が小さく、元に戻しやすいなら、試すハードルはぐっと下がる。
「その案いいね」「じゃあこれも」「ついでにこっちも」
AIの提案がほぼ全採用される、史上最も採用率の高い改善会議の完成である。
もちろん無料ではない。誤修正、公開事故、読者の混乱、検索評価への影響など、作業時間以外のコストもある。特に大規模な書き換えは小さく試したほうがいい。
4. そして発生する「リンク改善 VS タイトル修正」事件
あるサイトで、記事を検索側に見つけてもらいやすくするリンク周りの改善と、読者に伝わるタイトル・本文への改稿を同じ時期に進めたとする。
その後、PV(ページ閲覧数)が増え始めた。うれしい。猛烈にうれしい。
しかし、原因分析担当の頭に新しい疑問が浮かぶ。
「で、どっちが効いたの?」
リンクやサイト内の導線は、検索エンジンがページを発見する手掛かりになりうる。ただし発見されたら必ず検索に出るわけではない。[2] タイトルは読者がクリック先を決める手掛かりになるが、Googleが検索結果の見出しを自動生成する場合もある。[3]
つまり、発見されやすくなった可能性と、見つけた人に選ばれやすくなった可能性は別。しかも両方を一緒に直すと、互いに助け合った可能性まで生まれる。
PVだけでは判定できない。Google Search Consoleなら検索結果での表示回数・クリック数・検索語を見られる。[4] 表示が増えたのか、同じ表示に対するクリック率が上がったのか、検索以外の流入が増えたのか。そこから仮説を絞る。ただし公開反映や再クロールには時間差もある。
急いで全部直した結果、原因を切り分けるための次の原因分析が始まる。自給自足が過ぎる。
5. それでもPVが伸びると、改善がゲームになる
記事を作る。読まれない。原因を探す。直す。また数字を見る。
この間が長く、何を変えても反応がゼロなら、人は飽きやすい。逆に少しでも数字が動くと「次は何を直そう?」となる。
ここで大切なのは、成果が出るまで何もしなかったわけではないこと。伸び悩んでいる時期にも、原因を探して何度も試す。その後に反応が返り始めると、過去の試行錯誤が一気に報われたように感じる。
これは「根性で継続する」という話より、試すコストが低く、結果が見えるから続けられるという話に近い。
オチ:上司は全案を承認。部下はAI。次の議題は?
PVを伸ばすのが目的なら、最初からすべての対策の寄与率を完璧に証明する必要はない。小さく試し、変化を記録し、危ない変更だけ慎重に扱えばいい。
ただ、AIに言わせれば改善余地はまだまだある。
「真因を網羅的に」「では対策を」「全部やろう」
翌日。
「ところで、もっと伸びるには?」
議事録:提案は全件承認。次回議題は『なぜ改善が終わらないのか』。
