「高い物件しか見つからない。空いた時間にまた探すしかないかな」
ある人が賃貸探しに困っていた。本人だけでなく周囲の人たちも一緒に探したが、予算内の候補はなかなか見つからなかった。
そこで別の知人が条件を聞き、調べ始めた。約3時間後には候補を並べたPDFが完成。この3時間には雑談と別作業も含まれている。
変えたのは検索速度だけではなく、条件の整理の仕方だった。 そして、最後に判明する調査担当の動機が一番おかしい。
「高い物件しかない」を分解する
まず確認したいのは、家賃の表示額ではなく毎月いくら必要か。管理費、駐車場代など必要な費用を分け、入居時の支出も考える。
間取りも重要だ。当初は二つの居室があるタイプが理想だったが、費用を抑えるなら1LDKも検討できる。二人の個室が必要なのか、二人が無理なく暮らせる広さが必要なのかで、候補は変わる。
通勤範囲、周辺エリア、築年数や室内の状態も見直す。絶対に必要な条件と、安くなるなら調整できる条件を分けると、検索の入り口が増える。
古い建物でも内部が整っていることはある。一方、写真だけでは音やにおい、水回りまでは分からない。
リンクの山を「次に動ける資料」にする
知人は間取り、広さ、通勤、月々の費用、入居前のお金を並べて比較し、資料にした。問い合わせで確かめるべき点も添えて渡した。
それまでは「いつまた探そう」だったのが、「この候補から問い合わせよう」に変わった。行き詰まりが、具体的な選択肢になったのだ。
ただし、PDF内のリンクが開けないと、きれいな資料でも迷子になる。URLを文字でも残し、掲載ページが生きているか確かめたい。宝の地図を作ったのに、目的地だけ消えていたら悲しい。
候補発見と入居決定は別の段階
今回調べた候補について、現在の空室、正式な月額と初期費用、二人入居の可否、現地の状態まで確定したわけではない。気になるものは早めに管理会社や仲介会社へ確認し、内見と見積もりにつなげる。条件の良い募集は途中で埋まることもある。
UR賃貸住宅の案内でも、希望条件の優先順位を決め、複数候補を比較し、実際に部屋を見ることが勧められている。
また、以前に探した人たちが下手だったと決めつける話でもない。探した時期、サイト、エリア、受け入れられる間取りが違えば結果は変わる。
本当のオチは「趣味でやってます」
住む側にとっては、予算と暮らしがかかった重要な問題。でも調査した知人にとっては「何が見つかるんだろう」という遊びだった。条件を聞く、候補を発見する、比較する、PDFを作る。本人は攻略ゲームのつもりで進めている。
最後に渡したメッセージも控えめだ。「ざっと調べた情報だからちゃんと確認してね。人気の物件は早くなくなることもあるから問い合わせは早めがよさそう。でも決めるのは任せるよ」
無料の不動産調査部が突然開業し、決定権だけは最初から住む人の手元に置いていた。
人の困りごとを自分の楽しい研究テーマにできる。相手は選択肢が増え、本人は面白い3時間を過ごした。時給ゼロ円のはずなのに、調査担当だけ満面の笑みである。
