デートの解散から20分。
次のデート候補が、もう比較リストになって届いた。
岩盤浴、天然温泉、個室でゆっくりできる場所。何ができて、どんな過ごし方ができるかまで並んでいる。
「思ったより安いし、いろいろあるんだね! 調べてくれてありがとう。仕事できすぎる(笑)」
そりゃ褒められる。ついさっきまでデートしてた人が、帰ったと思ったら次の企画書を提出してきたのだ。恋愛に営業企画部が出現している。
ただ、調べた本人は別に仕事をしたつもりじゃない。知らない場所を発掘するのが面白い。相手に選択肢を渡すのも楽しい。好きで調べていたら、結果として「しごでき」認定された。
でも、温泉なら何でもいいわけじゃない
次の希望は、岩盤浴か天然温泉。
温かい場所でゆっくりして、好きな人とくっついて、何も急がなくていい時間。いい。非常にいい。
ところが条件が一つある。
「今は二人しかいない」だけでは、落ち着かない。
「誰か来るかも」「どこかから見えているかも」と思うと、そっちが気になってしまう。
こちらは恋人とのんびりしたいのであって、人の気配を探知する警備システムになりたいわけではない。
「空いている」と「プライベート」は別物
たまたま利用者がいない大浴場は、空いているだけ。次の人が入ってくる可能性はある。
「貸切」と書いてあっても、貸し切れるのが浴槽だけなのか、休憩する部屋まで含まれるのかで過ごし方が変わる。窓や露天スペースの外からの視線も気になる人はいる。
ここで欲しいのは、豪華さより視線を気にしなくていいという安心感だ。
景色がよすぎる写真を見て「すごい!」となったあとに、「待って、こっちから外が見えるということは……?」と考え始める。デートの候補探しが急に建築物の視線調査になる。
候補を絞るなら、ここを見る
個室岩盤浴、貸切風呂、客室にお風呂がある宿、日帰りで使える個室。名前が似ていても、中身は違う。
確認したいのは、二人で利用できるか、貸切の範囲、外から見える場所の有無、共用スペースをどこまで使うか、利用時間と料金、そして施設内でのスキンシップや服装のルール。
「貸切」の二文字だけで完全なプライバシーが保証されるとは限らない。写真と利用条件を見て、気になるところは施設に確認したほうが早い。
もちろん、候補を探した人が全部決める必要もない。候補を出す役と、二人で選ぶことは両立する。
温泉は、二人で過ごすための舞台だった
つまり目的は「温泉を制覇する」ではない。
好きな人と、周りを気にせず、ただ一緒にいたい。
そのための舞台が、たまたま温泉や岩盤浴だったという話。
解散20分で比較リストを作れる人でも、最後にほしい条件はものすごく人間的だった。
設備のスペック表の最重要項目に書いておこう。
「効能:人目を忘れて、二人でだらけられること」。
そんな項目、公式サイトには載ってない。でも一番見たい。
