「Hawak Mo ang Beat」は、フィリピンで広まったダンス曲と、その曲に合わせて踊るSNS動画の流行だ。タガログ語の曲名は「ビートをつかんで」という感覚に近い。2026年秋には、写真1枚から人を踊らせるAI版も再び投稿されている。曲そのものがAIで作られたかという論争と、AIで作るダンス映像は、別々に考えると分かりやすい。
まず何を見ている?
原型は、腕を上げたり、片手を頭の後ろに回したり、胸と足をリズムに合わせて動かしたりする、明るいダンス。フィリピンではズンバの振り付け、学校で体を動かす時間、芸能人の投稿にも使われた。2026年3月16日、GMAは俳優たちがイベント会場で踊ったTikTok投稿を紹介している。音源の表示には「RR STEPS ZUMBA DANCE STYLE」が記されていた。
その後のAI版では、実際に踊った映像の代わりに、人物の静止写真からダンス動画を生成する。本人が踊っているように見えても、体の動きは映像生成によるものだ。写真から急にダンスが始まるのが面白い一方、手足の形や動きが妙になることもある。
2026年の流行はどう続いた?
AI動画サービスMakeViralが2026年10月13日時点でまとめた履歴では、2月3日のRR Steps Zumba Dance StyleによるTikTok振り付け投稿を主要な起点とし、2月末から3月にAI版が登場。9月1日のCapCut系AIテンプレート投稿は、10月13日時点で約490万再生と記録されている。10月11日にも作り方の投稿が確認されたという。これらはサービス側の記録で、全世界の利用本数を独自集計した数字ではない。
「Pitik Queen」と呼ばれるIan Mark Kamangkangによる踊り方も広まり、同じ曲でも人間が踊る動画、アレンジした振り付け、写真を動かすAI動画が混在した。見分けるには、投稿の説明、制作ツールの表記、AIラベルを確認するのが早い。
曲までAI製なの?
ここが少しややこしい。2026年3月27日、フィリピンのGMA Newsは、DJ Mogo名義のSylvain Hernandezが妻の協力で制作したと説明し、楽曲へのAI使用を否定したことを報じた。一方、SPOT.phは、2025年にOPM Music Studio名義で同名曲が配信されていた点や、歌手の身元が明かされていない点を紹介している。音楽制作の実態をめぐる評価は報道間でも割れている。
つまり、写真から作るダンス動画はAI生成と説明できるが、楽曲全体をAI製と断定する材料はそろっていない。この二つを混ぜると、踊っている写真にまで作曲の疑惑が飛び火してしまう。
結論:ダンスの主役が「人」から「写真」に増えた
フィリピンのダンス文化から生まれた流行が、2026年にはAI動画の遊び方にも広がった。曲を聞いて体が動く人もいれば、スマホの写真を動かす人もいる。人間は踊るために練習するのに、写真はアップロードしただけで踊り出す。便利だが、写真の本人がいちばん驚くタイプの進化だ。
参考資料(4件)
- GMA Entertainment、2026年3月16日、出演者によるダンス投稿:https://www.gmanetwork.com/entertainment/showbiznews/elle-villanueva-derrick-monasterio-and-ashley-ortega-join-the-hawak-mo-ang-beat-dance-trend/131407/
- GMA News、2026年3月27日、DJ Mogoへの取材:https://www.gmanetwork.com/news/showbiz/chikaminute/981663/hawak-mo-ang-beat-composer-denies-use-of-ai-in-viral-song/story/
- SPOT.ph、2026年3月26日、楽曲の配信履歴と論争:https://www.spot.ph/newsfeatures/trending/is-hawak-mo-ang-beat-made-by-ai-a5229-20260326-bsc
- MakeViral、2026年10月13日時点の投稿履歴・AI動画例:https://www.makeviral.ai/templates/hawak-mo-ang-beat-ai-dance
