田んぼない街、日本にない説は本当か?

「街に田んぼあったんだ」

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「街に田んぼあったんだ」

そう言われると、たしかに日本の地方都市はすごい。

駅前にビルがあり、少し走ると住宅地があり、さらに少し進むと田んぼが出てくる。

日本の街は、都会と田んぼの境界線がかなり近い。

だから、ついこう言いたくなる。

田んぼない街、日本にない説。

でも、統計で見るとこの説は少し危ない。

結論から言うと、

「日本に田んぼが一切ない市区町村は存在しない」は、たぶん負け。

田んぼがゼロ、または統計上「田耕地面積なし」とされる自治体は存在する。

ただし、

「日本の都道府県レベルで見ると、だいたいどこかに田んぼはある」

という体感はかなり強い。

つまり、日本は田んぼの国ではある。

でも、市区町村単位まで細かく見ると、離島・都心・畑作地域がカウンターしてくる。


東京には田んぼがあるのか?

意外だが、東京都にも田んぼはある。

農林水産省の「わがマチ・わがムラ」によると、東京都の耕地面積は6,090ha、そのうち田耕地面積は203ha、水稲作付面積は107haである。

つまり、東京にも田んぼはある。

ただし、東京の総土地面積は219,407haなので、田耕地面積203haはかなり小さい。

東京は「田んぼゼロ」ではないが、「田んぼが都市の主役」という感じではない。

むしろ、東京の田んぼは都市の中に残ったレアキャラに近い。


では、沖縄は東京より田んぼが少ないのか?

ここが少しややこしい。

沖縄県の田耕地面積は751haで、東京都の203haより多い。

つまり、単純な田んぼ面積だけを見ると、

沖縄の方が東京より田んぼは多い。

である。

ここで話が終われば、「沖縄のほうが田んぼない」は間違いになる。

しかし、農地の中身を見ると話が変わる。

沖縄県の耕地面積は35,900ha。そのうち田耕地面積は751ha、畑耕地面積は35,200haである。

つまり、沖縄の農地はほぼ畑である。

ざっくり計算すると、沖縄の耕地に占める田の割合は約2.1%。

一方、東京都は耕地面積6,090haに対して田耕地面積203haなので、田の割合は約3.3%。

つまり、

県全体の田んぼ面積は沖縄の方が多い。
でも、農地に占める「田んぼじゃない率」は沖縄の方が高い。

この整理が一番正確に近い。

東京は都市すぎて農地そのものが少ない。

沖縄は農地は多いが、その多くが田んぼではなく畑である。

どちらも「田んぼが少ない」側ではあるが、少なさのタイプが違う。

東京は「都市化で農地が少ない」。

沖縄は「農地はあるが、水田ではなく畑作が中心」。


沖縄はなぜ田んぼより畑なのか?

理由は「暑いから」だけではない。

むしろ、暑いだけなら米は育つ。

沖縄でも水稲は作られている。

本質は、気候・水・地理・歴史の組み合わせである。

内閣府沖縄総合事務局は、沖縄農業について「本土とは違い畑作が中心」と説明している。

背景として挙げられているのは、台風や季節風の影響、河川がほとんど存在しないため雨水に頼りやすく水不足になりやすいこと、塩害が多いことなどである。

水田は名前の通り、水がかなり重要である。

水が安定しにくい場所では、水を張って米を作るより、畑作の方が成立しやすい。

さらに沖縄では、歴史的にも稲作からサトウキビ中心へ変わっていった。

1879年の廃藩置県後に貢租の金納が認められたことで、換金作物としてサトウキビを栽培する農家が増えた。

さらに1962年のキューバ危機以降、砂糖価格の上昇により、多くの稲作農家がサトウキビ栽培へ転換したと説明されている。

急にサトウキビというワードが出てくる。

令和の会話で「サトウキビ」を聞くと、社会科の教科書が急に走ってくる感じがある。

でも沖縄農業を見ると、サトウキビは現役の主役である。

農林水産省のデータでも、沖縄県のさとうきび収穫面積は13,500ha、収穫量は845,200tとされている。

米より圧倒的にサトウキビの存在感が大きい。

沖縄は「田んぼの国」というより、畑作とサトウキビの国なのである。


「田んぼがない街」は本当にあるのか?

ある。

たとえば、東京都の離島部や沖縄の一部離島などでは、統計上、田耕地面積がない自治体が見つかる。

つまり、

どこにでも田んぼがある

という日本の体感は強いが、厳密には外れる。

特に、離島はカウンターが強い。

水田には水、地形、農業基盤、作物選択が必要になる。

島によっては、田んぼより畑作・果樹・畜産・サトウキビの方が合理的になる。

統計で殴ると、「田んぼない街、日本にない説」は、離島とサトウキビに破壊される。


田んぼの結界は強いが、万能ではない

日本の地方都市を走っていると、田んぼの存在感は強い。

駅前に店がある。

少し進むと住宅地。

さらに進むと田んぼ。

もっと進むと山。

そして急にイオン。

この構造が多すぎる。

だから「田んぼない街、日本にない説」は、体感としてはかなり分かる。

日本の街は、都市の外周に田んぼの結界が張られていることが多い。

ただし、統計上は例外がある。

東京は都市化で田んぼが少ない。

沖縄は畑作中心で田んぼが少ない。

離島は水田そのものが成立しにくい場所もある。

つまり、正確にはこう言うべきだ。

日本には、田んぼがある街がめちゃくちゃ多い。
でも、田んぼが一切ない市区町村もある。
そして沖縄は、田んぼというよりサトウキビと畑作のカウンター地域である。


まとめ

「田んぼない街、日本にない説」は、感覚としてはかなり強い。

日本の地方都市は、街と田んぼが近すぎる。

だが、統計で見ると、市区町村単位では田んぼがない地域は存在する。

東京にも田んぼはあるが少ない。

沖縄は東京より田んぼ面積自体は多いが、農地の大半は畑であり、田んぼではない。

理由は単に暑いからではなく、水不足、河川の少なさ、台風、塩害、歴史的なサトウキビへの転換が関係している。

「田んぼない街、日本にない説」は、離島とサトウキビに負ける。

でも、日常感覚としてはかなり面白い。

街のすぐ横に田んぼがある国、日本。

そして統計で掘ると、急にサトウキビが出てくる国、日本。


参考資料(3件)


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