禪院直哉は、恋人にしたいというより「見ていたいドブカス」なのか

禪院直哉の人気は、印象だけではない。

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人気の事実と、人気の中身は分けなければならない

禪院直哉の人気は、印象だけではない。

第2回人気投票で10位、第3回で6位、第4回で5位まで上がっている。[2]

ただし、この数字から分かるのは、

直哉に投票するほど強く支持する読者が多い

までである。

分からないものも多い。

  • 投票者の性別
  • 恋愛感情の有無
  • 性的魅力を感じている割合
  • ネタ票の割合
  • 悪役・キャラクターとしての評価
  • 声優、デザイン、術式、物語上の役割の影響

したがって、5位だから、

女性が直哉のような男と付き合いたい

とは言えない。

人気のベクトルを分解する必要がある。

直哉は「魅力的な男の記号」と「人格の最低さ」が同居している

直哉には、人気男性キャラクターとして使いやすい記号が多い。

  • 整った顔
  • 細い目
  • 明るい髪
  • 和装
  • 関西弁
  • 名家の御曹司
  • 特別一級術師
  • 高速戦闘
  • 自信満々
  • 強者への理解
  • 皮肉と悪口の切れ味

公式アニメサイトでも、直哉は禪院家26代当主・直毘人の息子で、特別一級術師として紹介されている。[3]

外見、声、方言、地位、強さは、格好いい男性キャラクターの設計になっている。

しかし、その中身には、

  • 女性蔑視
  • 家柄への執着
  • 他者への侮辱
  • 当主になれない嫉妬
  • 自分を特別だと思う誇大性
  • 敗北を受け入れられない執念

が入っている。

この落差が、強い。

格好いいから好き
性格が悪いから嫌い

の二択ではなく、

格好いい記号を全部持ちながら、ここまで人間として終わっているのが面白い

という第三の楽しみ方が生まれる。

「思想に同意する」のではなく「思想ごと破壊されるのを見る」

直哉の女性蔑視は、作品内で正しい思想として報酬を受けているわけではない。

彼は、自分が下に見ていた真希に敗れる。

自分が到達したいと考えた強者の領域へ、真希が到達する。

自分の序列観を守ろうとするほど、その序列が目の前で破壊される。

だから読者は、直哉の思想を支持せずに、直哉を楽しめる。

女性を見下す発言が格好いい

ではなく、

あれだけ偉そうに言った男が、まさにその相手に壊される構造が気持ちいい

という因果応報込みの人気である。

悪役人気では、悪さを削る必要はない。

むしろ悪さがあるから、

  • 敗北が快感になる
  • 再登場が面白くなる
  • 発言が引用される
  • ファン同士のネタが生まれる
  • 一挙手一投足が「また言っている」と愛玩される

直哉は、理想の男性だから人気なのではない。

作品内で最もよく回る人格破綻エンジンの一つだから人気なのである。

自尊心が高いのに、望むものをことごとく得られない

直哉は、単なる強者ではない。

実力はある。

しかし、欲しいものを決定的に得られない。

  • 当主の座を得られない
  • 甚爾と同じ場所へ届かない
  • 恵を排除できない
  • 真希を格下のまま固定できない
  • 自分の敗北を確定させたくない
  • 呪いになって戻っても目的を果たせない

本人の自己評価は非常に高い。

現実は、その自己評価を何度も裏切る。

このズレは、愛玩性を生む。

また偉そうに出てきた。
また他人を見下している。
また負けを認めていない。
その執念で戻ってきたのか。
そしてまた負けるのか。

危険で不快な人物だったはずが、読者の安全圏から見ると、

自尊心が巨大すぎて、永久に現実と衝突する珍獣

にも見える。

恋愛ベクトルがゼロとは限らない

もちろん、直哉を恋愛・性愛的に好きなファンもいる。

考えられるファンタジーはある。

  • 顔と声と方言が刺さる
  • 高慢な男に選ばれたい
  • 他人を見下す男が自分だけを認める展開が好き
  • 強い執着を向けられたい
  • 自分なら対等に言い返せるという想像が楽しい
  • 性格の悪い美形というジャンルが好き

しかし、それは直哉人気の全部ではない。

直哉のアクスタを観光地へ連れていく人がいても、

直哉を現実の夫にしたい

とは限らない。

むしろ、

本人が絶対に素直に楽しみそうにない場所へ連れていく
小さくした直哉を景色の前に立たせる
偉そうな男を自分の手のひらサイズで管理する
「ドブカスなのに顔はいい」というネタを写真にする

という愛玩・遊戯の可能性がある。

小型化すると、危険な男は急にかわいくなる

ここはアクスタ文化の面白いところである。

作品内の直哉は、

  • 強い
  • 傲慢
  • 他者を支配しようとする
  • 女性を下に置く
  • 自分の序列を押しつける

しかし、アクリルスタンドになれば、

  • 数十グラム
  • 台座がなければ立てない
  • ファンが持ち運ぶ
  • 置かれた場所から動けない
  • 食事や風景の横で写真を撮られる
  • ファンが箱へ戻せる

関係が完全に逆転する。

作品内では支配する男が、現実のファングッズでは支配される。

危険な男を小型化し、安全に所有し、好きな場所へ連れ回す。

これは恋人の代用品だけではない。

脅威を愛玩可能なサイズへ変換する遊びでもある。

直哉の人気を一文で言うなら

直哉は、

男性として尊敬されているから人気

というより、

美形、強さ、方言、傲慢さ、最低発言、嫉妬、執念、因果応報、無様さが、一人のキャラクターへ高密度に詰まっているから人気

と考える方が自然である。

付き合いたいかと聞かれれば、拒否する。

新しいグッズが出たら、買う。

この二つは普通に両立する。

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