FF6の裏設定は紙芝居だと分かりにくい|ロックとレイチェル、シャドウとリルム、カイエンの夢、そして帝国

FF6は名作だと思う。

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FF6は名作だと思う。

でも、今やり直すとかなり思う。

紙芝居だと、分からない感情が多すぎる。

子どものころは、イベントを見ても、かなり表面だけで受け取っていた。

ロックのフェニックスイベントを見ても、

「急に知らない女が出てきた」

くらいに見える。

シャドウとリルムの関係も、

「犬がなついてるな」

くらいで流れる。

ストラゴスとリルムも、普通に実の祖父と孫だと思う。

カイエンの夢ダンジョンも、

「なんで侍本人が戦わず、助けられる側なんだ」

と思う。

でも、設定や時系列を整理すると、どれもかなり重い。

FF6は、キャラクターの背景が短いドット芝居と断片的な台詞に圧縮されている。だから、説明されないと気づきにくい。でも気づくと、かなり刺さる。

この記事では、ロックとレイチェル、セリス、シャドウとリルム、ストラゴス、カイエン、そして帝国が残した傷を、分かりやすく整理する。


第1章:ロックとレイチェルは、崩壊後に知り合った話ではない

ロックのフェニックスイベントは、初見だとかなり分かりにくい。

崩壊後にロックを探す。
フェニックスの洞窟へ行く。
ロックがフェニックスを手に入れる。
コーリンゲンに戻る。
レイチェルという女性が出てくる。
一瞬だけ蘇る。
ロックに言葉を残す。
フェニックスの魔石が残る。

ゲーム画面だけ見ると、こう思いやすい。

え、誰?
崩壊後に知り合った女?
セリスどうすんの?
なんか成仏したけど何?

でも、レイチェルは崩壊後に知り合った女性ではない。

ロックの過去の恋人、あるいはそれに近い大事な人である。

時系列を整理すると、こうなる。

ロックとレイチェルが恋仲になる
↓
洞窟で事故が起きる
↓
レイチェルがロックをかばう/事故に巻き込まれる
↓
レイチェルは記憶を失う
↓
レイチェルの家族に責められ、ロックは離れる
↓
その後、帝国の襲撃でレイチェルが死亡
↓
死ぬ直前に記憶が戻り、ロックの名を呼ぶ
↓
ロックが戻ったとき、彼女はすでに死んでいた
↓
薬師によってレイチェルの身体は保存される
↓
ロックはフェニックスで完全復活させようとする
↓
フェニックスの力で一瞬だけ再会
↓
レイチェルはロックを過去から解放して去る

つまり、ロックは崩壊後に新しい女性を見つけたわけではない。

ずっと前から、レイチェルを抱えていた。

しかも重いのは、レイチェルがただ死んだだけではないことだ。

彼女は記憶を失った。
ロックは自分が原因だと思った。
離れた。
その間に帝国が襲撃した。
レイチェルは死ぬ直前に記憶を取り戻した。
最後にロックを想った。
そして死んだ。

これは、未練が終わるわけがない。

ロックからすると、

本当はまだ愛されていた
でも自分はそばにいなかった
しかも身体は保存されている
フェニックスなら取り戻せるかもしれない

になる。

だからロックは、未練を終わらせるためにフェニックスを探していたのではない。

たぶん、完全復活させるつもりだった。

過去を終わらせたいのではなく、過去を取り戻したかった。

でもフェニックスが起こしたことは、完全復活ではなかった。

一瞬だけレイチェルを戻す。
ロックと話をさせる。
ロックを責めない。
むしろ解放する。
そして去る。

つまりフェニックスイベントは、復活イベントではなく、葬式イベントに近い。

ロックが望んだのは復活だった。
でもレイチェルがくれたのは、別れだった。

ここがかなり悲しい。


第2章:レイチェルイベントは、セリスを裏切る話ではない

紙芝居だけで見ると、ロックのレイチェルイベントは誤解しやすい。

セリスとの関係があるのに、急に昔の女性を蘇らせようとしているように見えるからだ。

だからプレイヤーとしては、こう思ってしまう。

セリスどうすんの?
また弱気な女の子を守る話?
ロックは何してるの?

でも構造としては逆だと思う。

ロックは、レイチェルへの未練を抱えたままでは、セリスをまっすぐ見られない。

ロックがティナやセリスを守ろうとするのは優しさでもある。
でも同時に、レイチェルを守れなかった罪悪感の反復でもある。

「今度こそ守る」
「今度こそ失わない」
「今度こそ間に合う」

その根っこには、レイチェルがいる。

だから、フェニックスイベントはセリスを無視した話ではない。

むしろ、ロックがセリスを現在の相手として見るために、過去と別れる話である。

構造はこうだと思う。

レイチェルを完全復活させたいロック
↓
でも一瞬だけ戻ったレイチェルは、ロックを責めない
↓
ロックは過去を取り戻せないと知る
↓
レイチェル本人が、ロックを過去から解放する
↓
ロックはようやく今を見る余地ができる

これは恋愛三角関係というより、ロックの未練の清算である。

紙芝居だと急に見える。
でも時系列を整理すると、かなり筋が通っている。

ロックはレイチェルを忘れたかったわけではない。
レイチェルを取り戻したかった。
でも、レイチェル本人がロックを前に進ませた。

重い。


第3章:帝国ほんま

ロックとレイチェルの話を整理すると、改めて思う。

帝国ほんま。

帝国は、FF6のかなり多くの傷の原因になっている。

ティナは、帝国に操られ、兵器として使われた。
セリスは、幼少期から人工的に魔導の力を植えつけられ、将軍として育てられた。
カイエンは、ケフカの毒で国も主君も妻子も失った。
レイチェルは、帝国の襲撃で死んだ。
幻獣たちは、帝国に捕獲され、魔導工場で力を吸われた。
マディンは、ティナの父でありながら、魔石として力を託す形になった。
レオ将軍のようなまともな人間も、帝国の中で死ぬ。
ガストラは、ケフカだけに罪を押し付けられるような軽い存在ではない。

ケフカはもちろん最悪である。

でも、帝国全体もかなり悪い。

ケフカだけが異常だった、では済まない。

幻獣を捕まえる
魔導工場で力を吸う
魔導アーマーを作る
魔導戦士を作る
戦争を進める
ドマを攻める
町を襲う
個人の人生を壊す

これらは、ケフカ一人の暴走だけではない。

帝国という仕組みが、すでにかなり人を壊している。

ロックとレイチェルの悲劇も、その一つである。

ロックは個人的な罪悪感を抱えている。
でも、そもそもレイチェルを殺したのは帝国の襲撃である。

そこを考えると、ロックが帝国に対して強い怒りを持つのも自然だ。

FF6は、ケフカという分かりやすい狂人を置きながら、その背後に帝国という制度的な加害も置いている。

ケフカは悪意の顔。
帝国は搾取と戦争の仕組み。

だから重い。


第4章:シャドウとリルムは、明言されない父娘

シャドウとリルムの関係も、かなり分かりにくい。

普通にプレイしていると、

「インターセプターがリルムになついている」

くらいにしか見えない。

でも、夢イベントや装備、サマサとのつながりを集めると、シャドウはリルムの父親であることがかなり強く示唆されている。

シャドウの本名はクライド。
かつて相棒と組んでいた。
相棒を見捨てた罪悪感を抱えている。
その後サマサに流れ着いた。
そこで女性と関係を持ち、娘を残した。
でも過去から逃げ、名前を捨て、シャドウになった。

リルムは、サマサの少女である。
インターセプターは、リルムになつく。
形見の指輪は、リルムとシャドウが装備できる。
ストラゴスは、リルムを育てているが、血縁の祖父ではない。

これらを合わせると、かなり見えてくる。

シャドウ / クライド:リルムの実父であることが強く示唆される
リルム:父親の正体を知らない
ストラゴス:血縁ではなく、育ての祖父
インターセプター:全部知ってそうな犬

ただし、本編でシャドウがリルムに、

「俺がお前の父だ」

とは言わない。

ここがFF6らしい。

言わない。
名乗らない。
関係を回収しきらない。
でも、ヒントだけは置く。

火事でリルムを助ける場面も、かなり見え方が変わる。

初見では、

「シャドウが犬を助けに来た」

くらいに見える。

もちろん、本人は犬を助けに来たと言う。

でも、リルムが娘だと分かっていた、あるいは少なくとも強く感じていたなら、あれはかなり重い。

シャドウは父親として名乗れない。
でも、見捨てることもできない。

相棒を見捨てた男が、娘の火事では戻ってくる。

それでも、父親として隣には立てない。

ここがビターである。


第5章:シャドウはリルムに気づいていたのか

シャドウは、リルムが自分の娘だと気づいていたのか。

これは解釈の余地がある。

完全に明言されているわけではない。

ただ、自分に娘がいることを知らなかったとは考えにくい。
夢イベントでは、クライドがサマサに流れ着き、子どもを残して去ったことが示唆される。
インターセプターがリルムになつく。
シャドウはリルムに対して、完全な他人として振る舞っているようにも見える。

だから、こう見るのが一番しっくりくる。

リルムが娘だと分からなかった
というより、
分かっていたが父親として名乗れなかった

シャドウは、自分の過去から逃げている。

相棒を見捨てた。
サマサで家庭を持ちかけた。
娘を置いて去った。
クライドという名前を捨てた。
シャドウとして生きた。

そんな男が、今さら父親として戻れるか。

戻れない。

だから他人行儀になる。

距離を置く。
名乗らない。
父親らしいことはしない。

でも火事では助ける。

この距離感がかなり悲しい。

シャドウは、父親だったけど、父親になれなかった人である。


第6章:ストラゴスは実祖父ではなく、育ての祖父

ストラゴスとリルムは、普通に見ると実の祖父と孫に見える。

ゲーム内でも、リルムはストラゴスをおじいちゃんとして扱う。
ストラゴスもリルムを孫として大事にしている。

だから、実孫だと思うのは自然である。

しかし設定を掘ると、ストラゴスは血縁の祖父ではなく、リルムを引き取って育てた保護者、つまり育ての祖父に近い。

これもまた重い。

血の父:シャドウ / クライド
育ての祖父:ストラゴス
リルム:父の正体を知らず、ストラゴスを祖父として慕う

血縁の父親はそばにいない。
でも、血のつながらないストラゴスが育てている。

これは、かなりFF6らしい家族の形である。

血がつながっているから家族なのではない。
一緒に生きて、守って、育てたから家族である。

シャドウは血の父親だが、父親として戻れなかった。
ストラゴスは血縁ではないが、祖父としてそばにいた。

どちらが家族として機能していたかといえば、明らかにストラゴスである。

ここも紙芝居だと見落としやすい。


第7章:カイエンは夢ダンジョンでお姫様になる

カイエンの夢ダンジョンも、かなり印象が変わるイベントである。

カイエンは侍である。
ドマの武人である。
忠義の人である。
真面目で、強くて、古風な男である。

だから夢ダンジョンに入ると、こう期待しやすい。

カイエンの心の闇に入る
↓
カイエンと合流する
↓
一緒に戦う
↓
カイエンが自分の弱さを斬る

でも実際は違う。

カイエン本人は眠ったまま。
仲間がカイエンの夢の中に入る。
カイエンは助けられる側。
最後まで、基本的に囚われた人として扱われる。

これはかなり、ピーチ姫的である。

侍のおじさんなのに、お姫様ポジションである。

しかも崩壊後のカイエンは、花を作り、手紙を書き、ロラを慰めるために別人のふりをする。

ゾゾ山のカイエンは、花束と手紙の人である。

表向きは、

ござる
武士
忠義
ドマ
妻子を失った男

なのに、崩壊後イベントでは、

花を作る
手紙を書く
別人のふりをして誰かを慰める
夢の中で囚われる
仲間に心の中まで助けに来てもらう

になる。

かなりヒロイン的である。


第8章:カイエンの夢は、強さではなく罪悪感の話

カイエンの夢ダンジョンが、お姫様救出のように見えるのには理由があると思う。

あのイベントは、カイエンの強さを見せるためのものではない。

カイエンの罪悪感を外から見に行くイベントである。

カイエンは、ドマで主君を守れなかった。
妻子も守れなかった。
ケフカの毒で、国ごと奪われた。
魔列車では、家族を見送るしかなかった。

彼は侍として強い。
でも、心の中では動けなくなっている。

だから夢の中では、戦う側ではなく、救われる側になる。

仲間がカイエンの心に入り、カイエンを縛っているものを倒す。

そしてカイエンは迷いを晴らし、必殺剣を極める。

これも、紙芝居だけだとかなり分かりにくい。

「なんでカイエン本人が戦わないのか」

と思う。

でもテーマを見ると、かなり筋が通っている。

あれは、カイエンが敵を斬る話ではない。
カイエンを罪悪感から救い出す話である。

だから、カイエンは夢ダンジョンでお姫様になる。


第9章:FF6は紙芝居に重い話を詰め込みすぎている

ロックとレイチェル。
セリスとの関係。
シャドウとリルム。
ストラゴスとリルム。
カイエンの夢。
帝国が残した傷。

どれも、かなり重い。

でもゲーム中では、かなり短く表現される。

ドットキャラが少し動く。
短い台詞が出る。
イベントが終わる。
魔石が手に入る。
必殺剣が解放される。
仲間が戻る。

テンポは良い。

でも、感情の補助は少ない。

だから、初見ではかなり取りこぼす。

ロックのイベントは、

急に知らない女性が出てきた

に見える。

シャドウとリルムは、

犬がなついてる

で終わる。

ストラゴスは、

実のおじいちゃん

だと思う。

カイエンの夢は、

なぜ本人が戦わないのか

になる。

でも、大人になって整理すると、全部つながる。

FF6は、キャラの裏に重い話を置きすぎている。

しかもそれを、かなり短い紙芝居で済ませている。

すごいが、もったいないとも思う。


第10章:リメイクしたらかなり化けると思う

このあたりのイベントは、ちゃんとリメイクしたらかなり良くなりそうである。

特にロックとレイチェルは、少し補助があるだけでかなり変わると思う。

たとえば、

崩壊前からロックがレイチェルに縛られている描写を少し増やす
フェニックスを探す理由をもう少し早めに匂わせる
レイチェルの保存された身体への執着を少し丁寧に描く
セリスがロックの過去に複雑な感情を抱く場面を入れる
レイチェル復活時に、ロックが本当に完全復活を望んでいたことをはっきり見せる
最後に、レイチェルがロックを解放する意味を丁寧に見せる

これだけで、かなり印象が変わる。

シャドウとリルムも、名乗らないままでいいから、視線や沈黙を増やすだけで刺さると思う。

ストラゴスは、血縁ではない家族としてリルムを育てていることを、もう少し自然に見せると強い。

カイエンの夢は、本人が戦わない意味をもう少し補助すれば、ただのお姫様状態ではなく、罪悪感の救済として伝わりやすい。

ただし、説明しすぎるとFF6の良さも消える。

FF6の良さは、あの短いドット芝居に、プレイヤーが後から意味を見つけるところにもある。

だから難しい。

でも少なくとも、今のままだと、解説されないと分からない感情が多すぎる。


第11章:FF6は全員が何かを失っている

FF6のキャラクターは、みんな何かを失っている。

ティナは、自分の正体と愛の感覚を失っていた。
ロックは、レイチェルを失い、その死を受け入れられなかった。
カイエンは、国と家族を失った。
セリスは、帝国の兵器として育てられ、人間性を取り戻す途中にいる。
シャドウは、名前と相棒と家族を捨てた。
ガウは、父親に捨てられた。
セッツァーは、ダリルと夢を失った。
ストラゴスは、血ではなく関係で家族を守っている。
リルムは、父親の正体を知らない。
モグは、人間ではない立場から世界に関わる。
ゴゴは、正体そのものがない。
ウーマロは、人間社会の外側にいる。

そして世界そのものも、ケフカによって壊される。

FF6は、世界が崩壊する話である。
でもそれ以前に、すでにキャラクターたちはそれぞれの内側で崩壊を抱えている。

崩壊後に仲間を集め直すのは、単なる戦力集めではない。

それぞれの喪失を、もう一度拾いに行く旅でもある。

だからFF6は重い。

そして、だから今やり直すと面白い。

子どもの頃は分からなかったものが、大人になると見える。

紙芝居の裏にあった感情が、ようやく読めるようになる。

それが、FF6を今やる面白さだと思う。

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