TL;DR
普通預金が年0.001%みたいな「利息?コンビニのレシートのほうが存在感あるぞ」時代は終わった。2026年8月には、あおぞら銀行BANKが100万円まで年1.00%、島根銀行「しまホ!」が年0.80%、給与受取を条件に東京スター銀行が年0.90%など、普通預金でも数字を見る意味が出ている。
ただし、100万円を年0.4%から年1.0%へ移して増える税引後利息は、ざっくり年4,800円。月に直すと約400円だ。銀行口座を増やし、アプリを増やし、暗証番号を増やし、未来の自分に「この銀行なんで作った?」というクイズを出して得る金額としては、急に現実味が出る。
さらに「他行振込を月5回、コンビニATMで月1回現金を下ろす」とすると、振込手数料だけで利息が全滅する銀行もある。
結論:預金金利は見る価値が復活した。でも、投資する人が0.1%刻みで銀行を渡り歩くほどではない。 普通預金は生活防衛資金と近いうちに使うお金の待機所として、手数料ゼロ・使いやすい・投資へ動かしやすいを優先したほうが合理的だ。
1. 普通預金が「比較する商品」へ戻った
- あおぞら銀行BANK:100万円まで年1.00%、100万円超部分は年0.65%。条件なし。
- 東京スター銀行:給与振込または年金受取で年0.90%。
- 島根銀行「しまホ!」:年0.80%。
- auじぶん銀行:通常年0.41%、各種連携で最大年0.61%。
- SBI新生銀行「SBIハイパー預金」:年0.55%。
- 楽天銀行:通常年0.40%、マネーブリッジで1,000万円以下は年0.48%。
- PayPay銀行:残高・年齢に応じ最大年0.60%、設定によりPayPayポイント年0.10%相当もある。
ただし「最大○%」はゲームの理論上最大火力みたいなものだ。装備、バフ、条件が全部そろって初めて出る数字かもしれない。見るべきは、自分の残高で何%か、条件は何か、振込とATMの無料回数、Web・アプリの使いやすさだ。
2. 100万円で0.2%、0.4%、0.6%は何年後にどれだけ違う?
利息に20.315%の税金がかかり、税引後利息を毎年そのまま再預金する簡易複利モデルではこうなる。
| 年数 | 年0.2% | 年0.4% | 年0.6% | 0.2%と0.6%の差 |
|---|---|---|---|---|
| 1年 | 1,001,594円 | 1,003,187円 | 1,004,781円 | 3,187円 |
| 5年 | 1,007,994円 | 1,016,039円 | 1,024,135円 | 16,141円 |
| 10年 | 1,016,052円 | 1,032,335円 | 1,048,853円 | 32,801円 |
| 20年 | 1,032,361円 | 1,065,716円 | 1,100,092円 | 67,731円 |
| 30年 | 1,048,932円 | 1,100,176円 | 1,153,835円 | 104,903円 |
30年で約10.5万円差。ただし「30年間100万円を投資せずずっと普通預金」という前提でもある。預金金利は大事だが、資産全体では小さい部品だ。
3. 実際の銀行候補
| 候補 | 100万円付近の金利目安 | 月5回の他行振込 | 月1回のATM出金 | 相性 |
|---|---|---|---|---|
| 東京スター銀行 | 0.90%(給与・年金受取) | 月5回実質無料 | 月8回実質無料 | メイン口座向け |
| あおぞら銀行 BANK | 1.00%(100万円まで条件なし) | 月9回無料 | セブン110~220円、ゆうちょ無料 | 貯金箱向け |
| auじぶん銀行 | 0.41%、連携で最大0.61% | ゴールドなら月10回無料 | 月10回無料 | au利用者向け |
| SBI新生 SBIハイパー預金 | 0.55% | ダイヤモンド月10回無料 | 対象ATM無制限無料 | 投資待機向け |
| 楽天+マネーブリッジ | 0.48% | 100万円VIPで月3回無料、超過145円 | 月5回無料 | 月5振込では弱い |
| 島根銀行 しまホ! | 0.80% | 100万円は無料枠なし、165円 | セブン・ローソン対応 | 放置預金向け |
| PayPay銀行 | 年齢・残高で0.30~0.60% | 通常145円、給与受取で月3回無料 | 月1回無料 | PayPay利用者向け |
4. 裏条件「振込5回+ATM1回」で順位が壊れる
100万円の税引後利息は、1.00%で約7,968円、0.90%で約7,172円、0.80%で約6,375円、0.61%で約4,861円、0.55%で約4,383円、0.48%で約3,825円。
東京スター銀行は給与・年金受取0.90%、ネット他行振込月5回、提携ATM月8回が実質無料なので、今回の使い方なら約7,172円がほぼ残る。
あおぞら銀行BANKは1.00%、他行振込月9回無料。セブン銀行で平日昼に月1回出金すると110円×12=1,320円なので実質約6,648円。ただしゆうちょATMなら無料で、約7,968円をほぼ残せる。
auじぶん銀行は総資産100万円などでゴールドならATM・他行振込各月10回無料。連携で0.61%なら実質約4,861円。
SBI新生銀行はSBIハイパー預金0.55%。SBI証券連携でダイヤモンドなら対象コンビニATM無制限無料、他行振込月10回無料。約4,383円が残り、しかもSBI証券の買付余力へつながる。
楽天銀行は100万円VIPで振込月3回無料。月5回なら2回超過、145円×2×12=3,480円。約3,825円の利息が実質約345円まで縮む。
**島根銀行しまホ!**は0.80%だが100万円では他行振込無料枠なし。165円×5×12=9,900円で、利息約6,375円を超える。高金利でも「触らない貯金箱」向きで、「月5回振込するメイン口座」には向かない。
PayPay銀行は2026年8月から最大0.60%。30歳以上は100万円で0.50%、200万円から0.60%、29歳以下は100万円から0.60%。他行振込は通常145円、給与受取なら月3回無料。ATMは毎月最初の入金・出金が無料で、3万円以上なら対象ATMで2回目以降も無料になる。
5. 金利の敵は手数料
100万円の税引後利息は概算で、0.40%→約3,187円、0.48%→約3,825円、0.55%→約4,383円、0.60%→約4,781円、0.80%→約6,375円、0.90%→約7,172円、1.00%→約7,968円。
振込手数料165円を月5回払うと年間9,900円。金利1%を探す前に、有料振込を止めたほうが強い。 金利がボスに見えて、手数料という雑魚敵にHPを削られている。
6. 銀行を乗り換える価値は?
100万円を0.40%から1.00%へ移すと税引後の増分は年約4,781円、月約398円。0.20%から1.00%でも年約6,375円、月約531円。
新規口座、本人確認、アプリ、パスワード、給与口座変更、ATM条件の暗記まで必要なら、「月500円のために新しい銀行文明を建国するのか?」という話になる。500万円や1,000万円を現金で置くなら差は大きいが、100万円前後で最適金利を追い続ける必要は薄い。
7. 投資する人にとっての普通預金
普通預金は生活防衛資金、近いうちに使うお金、決済資金、投資前の待機資金だ。最高リターンより、すぐ使えることが重要になる。
だから、振込無料回数、ATM、証券口座への資金移動、残高確認、条件のわかりやすさが最後の0.1~0.2%より大切なことも多い。SBIハイパー預金は金利王ではないが、SBI証券利用者には投資待機所としてわかりやすい。
8. 目的別の結論
- 高金利で100万円を置く:あおぞら銀行BANK。
- 給与口座+月5振込+ATM:東京スター銀行。
- 投資へすぐ回す:SBI新生銀行+SBIハイパー預金。
- au経済圏:auじぶん銀行。
- 楽天経済圏:楽天銀行。ただし月5振込では無料枠不足。
- 触らない貯金箱:島根銀行しまホ!。
- PayPay中心:PayPay銀行。年齢・残高条件を要確認。
9. 最終結論
普通預金金利が上がったのは本当だ。しかし100万円なら0.2%と1.0%の差でも税引後年約6,375円、月約531円。
ここで口座を7個作り始めたら、金利最適化なのか銀行アプリ収集なのかわからない。
まず手数料を0にする。次に使いやすさ。最後に金利。長期の余剰資金は投資するかを別に考える。
預金金利1%はうれしい。だが、100万円で年数千円。金利を追いかけて人生の操作画面を増やしすぎない。それが一番地味で、一番使える結論だ。
10. 注意
金利・手数料は2026年8月27日時点。普通預金は変動金利。利息には原則20.315%課税。長期表は税引後利率を毎年再投資する簡易モデル。「月5回」は他行宛ネット振込、「月1回」はATM現金出金を想定。ATMは時間・金額・設置会社で変わる。本稿は情報整理であり投資助言ではない。
