5秒で結論: マイクロバスくらいの大きさで、赤色灯があり、後ろがカーテンで見えにくい警察系車両なら、護送車の可能性はある。ただし、警察には警察官を運ぶ人員輸送車もあるので、外から見ただけで「被疑者や被告人が乗っている」と断定はできない。[1][5][6]
30秒で概要: ただ昼メシへ向かっていただけなのに、道路で妙に情報量の多いものを見た。まず、小さなバス風の警察車両。前には警察官が2人見え、赤色灯があり、後ろはカーテンで見えない。調べると、警察は留置場から検察庁や裁判所へ被留置者を運ぶため、中型や大型の護送車両を使う。刑務所や拘置所側でも、受刑者や被告人の移送に護送用バスが使われる。一方で、人員輸送車という「警察官を運ぶ車」も存在する。つまり、カーテンの向こうが人生の重大局面だった可能性はあるが、空車や別用途の可能性も残る。そしてその少し後、今度は給油口の外側のフタを開けたまま走る車まで出てきた。道路、たまに他人の人生をランダム再生してくる。
1. ただ昼メシへ向かっていただけだった
出発時の目的は重くない。
飯を食う。以上。
ところが道路には、こちらの予定表を無視してイベントが発生する。
目の前に現れたのは、普通のパトカーよりかなり大きい。でも大型バスほどではない。マイクロバスくらいの警察車両だった。
後ろの窓にはカーテン。前には警察官が2人。車体には赤色灯。
この時点で脳内に出る検索ワードは一つである。
「これ、刑務所の人を運んでるやつ?」
2. 「小さい警察バス」には護送車と人員輸送車がある
まず重要なのは、バスっぽい警察車両が全部「犯罪者を運ぶ車」ではないことだ。
警察庁の資料には、警察部隊を運ぶ人員輸送車が実際に登場する。災害現場などで、機動隊員や救助部隊をまとめて移動させる用途だ。[6]
一方、警察は護送車両も使う。
国の資料では、警察署などの留置場と検察庁・裁判所の間で被留置者を運ぶため、大型または中型の護送車両を使う運用が明記されている。[1]
つまり、見た目が「小さいバス」でも、役割はかなり違う。
- 人員輸送車:主に警察官を運ぶ
- 護送車:被留置者などを検察庁や裁判所へ運ぶ
外見だけで100%見分けるのは難しい。
3. カーテンと赤色灯は、たしかに護送車っぽい
では、カーテンは何なのか。
護送車を製作した車体メーカーの事例では、トヨタ・コースターをベースにした車両に、遮光性のカーテン、仕切り、窓の保護棒、赤色灯が装備されている。[5]
目的は分かりやすい。
外から中を見えにくくする。車内を区切る。逃走しにくくする。
だから、「マイクロバス級」「赤色灯」「後ろがカーテン」という組み合わせを見て、護送車を疑うのは変ではない。
ただし、ここで断定すると急に名探偵ごっこになる。
似た特徴がある=その瞬間に被疑者が乗っている、ではない。
回送中かもしれない。警察官だけかもしれない。別の用途の車かもしれない。
現物の型式や所属表示まで確認していない以上、正解は「かなりそれっぽい。でも確定はできない」で止めるのが安全である。
4. 中にいるとしても、「刑務所の人」だけではない
ここも少し言葉を分ける必要がある。
裁判所の説明では、捜査段階では被疑者、起訴されると被告人になる。[3]
警察の留置施設にいる人が、取調べや刑事手続のために検察庁や裁判所へ護送されることがある。実際の裁判例でも、留置施設から護送車両で検察庁へ移動した事例が確認できる。[2]
一方、法務省側の施設では、受刑者を護送用バス、鉄道、航空機などで移送し、裁判所への出廷にも護送を行うとされている。[4]
したがって、ざっくり言えば「刑務所の人を運ぶ車?」は方向としては近いが、実際にはもっと広い。
留置中の被疑者、起訴後の被告人、受刑者など、刑事手続の段階によっていろいろな人が移動する。
5. こっちは昼メシ、向こうは人生の重大イベントかもしれない
ここから急に車両解説ではなくなる。
もし本当に後ろに誰か乗っていたなら、その人は、
- これから検察庁へ行く
- これから裁判所へ行く
- 今日の手続がどうなるか考えている
- ただ黙って移動している
そんな時間だった可能性がある。
一方、こちらの脳内は、
「何食おうかな」
である。
同じ道路。同じ信号。同じ数秒。
片方は昼メシ。 片方は刑事手続かもしれない。
人生の温度差が、対向車線だけで完成している。
しかもこちらは、その重大さを知らないまま、しれっとすれ違って終了する。
人間の生活は、隣の車の事情をほぼ何も知らなくても普通に並走できる。
6. 警察官が2人見えたのは何を意味するのか
前方に警察官が2人見えたことは、「警察の業務車両らしい」という材料にはなる。
また、警察の集中護送に関する国の資料では、逃走防止などのため、警察官が被留置者を監視する必要があると説明されている。[1]
だから、複数の警察官が乗っていること自体は護送業務と矛盾しない。
ただし、前に2人いたから後ろに被留置者がいる、という計算式は存在しない。
カーテンの向こうは見えない。
見えないからこそ脳が勝手に「今日裁判かな……」までストーリーを作る。
人間、情報が足りないとすぐ脚本家になる。
7. その直後、給油口のフタ全開車まで出てきた
護送車っぽい車だけで終われば、「今日は珍しい車を見た」で終わった。
ところが次のイベントが来る。
給油口の外側のフタを開けたまま走っている車。
急に世界観が軽くなる。
さっきまで「検察か、裁判か」だったのに、今度は「フタ閉め忘れてるぞ」である。
なお、外側の給油口ドアだけが開いているのか、燃料タンクを密閉する内側の給油キャップまで開いているのかで話は違う。
JAFは、キャップ式の車で給油キャップが開いた状態のまま雨や洗車を受けた場合、水がどれだけ混入したか分からないため、エンジンを始動せず救援を依頼するよう案内している。[7]
つまり、外側のフタだけなら見た目の「閉め忘れ感」が強い。キャップまで開いていたら、笑って終わらせず確認が必要になる。
8. 道路は、ときどき他人の人生のダイジェスト版になる
この日の出来事をまとめると、
- 昼メシへ向かう
- カーテン付きの小型バス風警察車両とすれ違う
- 「護送車か?」となる
- 調べると、本当に中型護送車というカテゴリがある
- ただし、人員輸送車もあるので断定不能
- もし護送中なら、カーテンの向こうは検察・裁判・移送という重い時間かもしれない
- こちらは昼メシ
- その後、給油口のフタ開けっぱなし車が追加される
情報量がおかしい。
でも、道路はたぶん毎日こうなのだ。
救急車には救急車の事情がある。営業車には営業車の締切がある。家族を迎えに行く車もある。人生の大事な日に向かう車もある。
そして、その横を「今日何食う?」で走っている車もある。
同じ道を使っているだけで、人生の重さは全然そろっていない。
たまに変な車を見かけると、その当たり前が急に見える。
昼メシへ行っただけなのに、道路から「他人の人生は見えないぞ」という教材を渡された。
その直後に給油口のフタ全開車を出してくるあたり、教材の作り方はかなり雑だった。
