馬の方が肉量は多い。それでも人間が上等な理由
原作No.191で、ラモットは三頭の馬を木へ突き刺している。
モズが獲物を枝へ刺す「はやにえ」に近い行動であり、ラモットに鳥類由来の捕食本能が残っていることを示す。
ここだけ見れば、疑問は自然である。
人間一人より、馬一頭の方が肉量も多く、普通にうまいのではないか。
しかし、キメラアントにとって餌の価値は、可食重量だけで決まらない。
女王が必要としているのは、王を強くするための素材である。
人間は、
- 高い知能
- 複雑な神経系
- 個体ごとの特殊な資質
- 念能力へ到達できる潜在力
- 記憶や人格
を持つ。
キメラアントの摂食交配では、餌は単なるカロリーではなく、次世代へ取り込む情報でもある。
馬は大きい。
人間は情報密度が高い。
さらに念能力者は、王や女王にとって「レアモノ」として別格の価値を持つ。
メルエムは念能力者を食べることで、オーラと力を増幅させる。
そのため、キメラアントの価値関数は、
肉の量
<
遺伝的・神経的な情報
<
念能力者としての資質とオーラ
に近い。
ラモット本人は、合理的な食料調達員ではない
ただし、ラモットが人間を狙う理由を、すべて女王の栄養計算で説明する必要はない。
ラモットは、弱い相手をいたぶることを楽しむ。
命令へ忠実なコルトとは違い、捕獲効率より、自分の快楽と優越感を優先する。
馬を食べれば腹は満たせる。
人間を追い回せば、
- 恐怖させられる
- 会話できる
- 命乞いを聞ける
- 自分の強さを確認できる
- 女王へ高価値の餌として持ち帰れる
という複数の報酬が得られる。
ラモットは美食家ではない。
捕食と支配を同時に楽しむ加虐的な上級捕食者である。
ラモットが強い最大の理由は、念ではなく素体
ラモットが初登場した時点では、まだ念を自在に使えない。
それでも、ゴンとキルアを同時に相手にし、打撃を受け止め、反撃する。
キルアの電撃で動きを止められ、ゴンの「グー」を腹部へ直撃されても死亡しない。
ここで重要なのは、ラモットが「念能力で防御した」とは限らないことである。
主に素の肉体で耐えている。
キメラアントには、
- 外骨格や獣由来の皮膚
- 人間を超える筋力
- 高い反射速度
- 臓器配置の違い
- 強い生命力
- 捕食した生物の特性
がある。
兵隊長級は、念を覚える前から、人間の念能力者と戦える。
念はゼロから強さを作ったのではない。
既に強い肉体へ、後から倍率をかけた。
ゴンとキルアの攻撃が、ラモットを念能力者にしてしまった
念能力者の強いオーラ攻撃を受けると、相手の精孔が強制的に開くことがある。
天空闘技場でいう「洗礼」に近い。
ラモットは、キルアの電撃とゴンの打撃を受けて生き残った結果、オーラを認識し、念へ覚醒する。
これは人間なら、重傷や死亡で終わる可能性が高い。
キメラアントは耐久力が高いため、強制覚醒の危険な工程を突破しやすい。
さらに、ピトーがポックルから念の基礎知識を入手したことで、偶然の覚醒が再現可能な技術へ変わる。
ラモットが攻撃を受けて偶然覚醒
↓
ピトーが念の仕組みを理解
↓
ラモットが他の蟻を殴って精孔を開く
↓
兵隊長・師団長級が一斉に念能力者化
人間側の攻撃が、敵軍の技術革新を起こしてしまった。
ここがキメラアント編の最悪なところである。
ラモットは念を覚えたが、念の達人ではない
ラモットは強化系と判定される。
しかし、覚醒直後から長年修行した人間と同じ技術を持つわけではない。
- 纏の安定性
- 練の出力管理
- 凝による観察
- 攻防力移動
- 隠や円
- 発の設計
- 制約と誓約
- 戦闘中のオーラ配分
は、修練が必要である。
ラモットは大量のオーラと強い肉体を持つが、使い方は粗い。
それでも、一般的な念能力者には危険である。
なぜなら、技術が未熟でも、
高い素体 × 強化系 × 大量のオーラ
で押し切れるからである。
「ラモットさん程度」が平均的なプロには重い
ラモットは王直属護衛軍ではない。
師団長でもない。
コルト隊の兵隊長級である。
それでも、グリードアイランド後のゴンとキルアが二人で攻撃して、倒し切れない。
この描写は、キメラアント軍の最低保証を一気に引き上げる。
人間側は、念を覚えた兵隊長一体を倒すために、
- 十分なオーラ量
- 実戦経験
- 相手の生物特性への対応
- 初見能力への警戒
- 確実に仕留める火力
を要求される。
同程度の個体が数十、数百と増えれば、普通の国家軍では対応できない。
結論
ラモットが馬より人間を狙うのは、単なる味の問題ではない。
人間は、キメラアントにとって高密度の生体情報であり、念能力へつながる資質を持ち、支配欲まで満たせる獲物である。
ラモットが強いのも、念を覚えたからだけではない。
- 兵隊長級の素体が強い
- ゴンとキルアの連携攻撃を耐えた
- その攻撃で念へ覚醒した
- 強化系との相性が良い
- 技術は粗くても、肉体とオーラで押せる
馬を木に刺している段階で、既に普通の猛獣ではない。
そこへ念まで追加された。
そりゃ、平均的な人間は無理である。
