『ぼっち・ざ・ろっく!』は、予想できるのに笑える

作品:『ぼっち・ざ・ろっく!』

面白い作品には、「予想できるのに面白い」ものがある。

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性格と行動のズレが生むギャグ

面白い作品には、「予想できるのに面白い」ものがある。

『ぼっち・ざ・ろっく!』(以下、ぼざろ)もそのタイプである。

ぼっちちゃんが不安になることは予想できる。
山田が生活面でやらかすことも予想できる。
虹夏が抱えることも予想できる。
廣井さんが大人のダメさを見せることも予想できる。

それなのに面白い。

なぜか。

自分の読みでは、キャラの性格は一貫しているのに、そこから出る行動が毎回変だからだ。作者の意図を決めつけるのではなく、作品を読んで感じた笑いを整理する。

性格とは何か

ここで見たい性格は、何を怖がり、何を欲しがり、どう考える癖があるか、ということである。

ぼっちちゃんなら、

  • 見られるのが怖い
  • 承認欲求はある
  • 自己評価が低い
  • 脳内ツッコミは鋭い
  • 失敗したら人生終了
  • 成功したら人生逆転
  • でもギターでは前に進む

という考え方。

山田なら、

  • 孤高ぶる
  • 変人と言われると喜ぶ
  • 金銭感覚が危ない
  • 美学はある
  • 生活能力はない
  • 他人の優しさに甘える

という考え方。

虹夏なら、

  • 場を作る
  • 面倒を見る
  • 夢を持つ
  • 責任を抱える
  • 境界線を引ききれない

という考え方。

この基本の性格は、かなり読める。
読者は「このキャラならそうなる」と予想できる。

でも、行動が変だから笑える

ぼざろの強さは、性格が読めても、行動が変なところにある。

ぼっちちゃんは人目が怖くて変な行動に出る。
そこまでは分かる。

しかし、その行動が、

  • 犬の散歩で道路に寝る
  • ドリブルだけで全身知恵の輪になる
  • 1回シュートを決めただけでプロバスケを目指す
  • 失敗したら脳内引退会見を始める
  • マイナス思考が待機児童や空き家問題や生物多様性まで飛ぶ

になる。

「あー、不安になるよね」では終わらない。
読者の反応を一言で言えば、「そこ行く?」になる。

このズレが面白い。

予想通りと、予定調和は違う

予想通りの展開は、退屈になりやすい。
しかし、ぼざろはそうなりにくい。

理由は、予想できるのが「結果」ではなく「考え方」だからだ。

ぼっちちゃんが不安になることは分かる。
でも、どの方向に壊れるかは読めない。

山田がダメなことは分かる。
でも、クラクションで退校する方向に出るとは限らない。
廣井さんが終わっていることは分かる。
でも、そこで妙に核心を突くこともある。

つまり、キャラの一貫性はある。
しかし、毎回の行動にズレがある。

これが「予想できるのに面白い」の正体である。

ただのランダムではない

ここで重要なのは、ぼざろのギャグが単なるランダムではないことだ。

何でもありで変なことをしているわけではない。
それぞれの奇行は、性格から生えている。

ぼっちちゃんが道路で寝るのは、見られたくない不安と変な体の動きから来る。
バスケで全身が絡まるのは、運動神経だけではなく、自分がどう見えるか気にすることと、人目の怖さから来る。
山田が教習所で折れるのは、社会のペースに巻き込まれることへの拒否から来る。
虹夏が全部背負うのは、面倒見と責任感から来る。

だから笑えるし、納得できる。

ただ変なだけなら飽きる。
理由がある変さだから、噛むほど味が出る。

内面が見えるから、キャラが強くなる

ぼざろのキャラが強い理由の一つは、内面が見えることだ。

ぼっちちゃんは、外側だけ見れば無口で挙動不審な子である。
しかし読者は、彼女の脳内を知っている。

ツッコミ。
妄想。
自虐。
承認欲求。
成功への過剰な期待。
失敗への過剰な絶望。

外側だけなら「変な子」で終わる。
内面まで見えるから、「この子の性格おもろい」になる。

キャラの価値は、見た目だけではない。
頭の中の動きが見えることで、キャラをもっと見たくなるし、物語も面白く感じる。

比較すると分かる、底が見える作品との差

設定が強い作品でも、構造が早く見えすぎると飽きることがある。

たとえば、ある能力が出る。
その能力でごちゃる。
次はその能力が強化される。
さらにごちゃる。

この場合、展開の底が見えると、あとは新しい仕掛け待ちになる。

しかしぼざろは、新しい仕掛けで引っ張っているわけではない。

ぼっちちゃんの性格。
山田の性格。
虹夏の性格。
廣井さんの性格。
星歌の性格。

それぞれが現実の別場面に接続されるたびに、新しい行動が出る。

犬の散歩、教習所、ラジオ、グッズ会議、バスケ、ツアー、機材車。
場面が変わると、同じ性格が別の壊れ方をする。

だから続く。

記事やキャラ作りにも応用できる

この考え方は、記事やキャラ作りにも使える。

面白いキャラを作るには、設定だけでは弱い。
必要なのは、内面の考え方である。

何を怖がるのか。
何を欲しがるのか。
何を誤解するのか。
どういう時に調子に乗るのか。
どこで折れるのか。
どこだけは強いのか。

これが決まると、場面を変えるだけで行動が増える。

同じキャラが、運転したらどうなるか。
グッズ会議に出たらどうなるか。
ラジオに出たらどうなるか。
体育をしたらどうなるか。
金を管理したらどうなるか。

その答えが自然に出るキャラは強い。

結論:ぼざろは“展開”ではなく“性格から生まれる行動”が面白い

ぼざろは、予想できるのに面白い。

それは、読者が性格を理解しているからである。
しかし、性格から生まれる行動が毎回変だから飽きない。

ぼっちちゃんは不安になる。
そこまでは予想できる。
でも、その不安がどこに飛ぶかが面白い。

山田はダメ。
そこまでは分かる。
でも、どの制度で折れるかが面白い。

虹夏は抱える。
そこまでは分かる。
でも、どこまで抱えるかが怖くて面白い。

つまり、ぼざろのギャグはランダムではない。
性格に沿っている。
だから、予想できるのに面白い。

読者側の驚きを一言にすると、「あーそこ行く?」になる。
これが、ぼざろの強さである。

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