平日昼のホテルランチに行くと、高齢者が多いことがある。
友達同士で来ている。
夫婦で来ている。
地域の集まりで来ている。
何人かでテーブルを囲み、楽しそうに話している。
若いソロ客はほとんどいない。
子連れも少ない。
仕事中の会社員も少ない。
最初は「高齢者が多いな」と思うだけかもしれない。
でも、よく見ると、これはかなり強い生活戦略に見える。
行く場所がある。
会う人がいる。
食べる予定がある。
喋る相手がいる。
温泉や散歩がある。
次の予定がある。
これは、老後の生活満足度にかなり効く。
高齢者全体ではなく、外に出られる高齢者が見えている
ホテルランチに来ている高齢者を見て、「高齢者はみんな元気だ」と考えるのは少し違う。
その場にいる時点で、かなり条件を満たしている。
平日昼に外出できる。
ホテルランチに行くお金と体力がある。
友達や配偶者がいる。
車、送迎、公共交通などの移動手段がある。
食欲がある。
会話する気力がある。
つまり、ホテルランチに出現しているのは、かなり活動的な高齢者である。
一方で、孤独な高齢者、外出が難しい高齢者、経済的余裕がない高齢者、足がない高齢者、友人関係が減った高齢者は、その場に現れにくい。
だから、ホテルランチ会場だけを見ると、元気で社交的な高齢者ばかりに見える。
これは、ある意味で「生活満足度が高い高齢者」のサンプルに近い。
孤独は、ただ寂しいだけではない
高齢期の孤独は、ただ寂しいだけの話ではない。
社会的孤立や孤独は、健康や生活の質に影響する問題として扱われている。
WHOも、社会的孤立や孤独が健康、ウェルビーイング、社会に深刻な影響を与えるものとして、社会的つながりを重要なテーマにしている。
孤独になると、会話が減る。
外出が減る。
予定が減る。
身体を動かす機会が減る。
人に異変を気づかれにくくなる。
気分が沈みやすくなる。
認知機能への刺激も減る。
だから、友達とホテルランチに行く高齢者は、ただ贅沢しているだけではない。
かなり生物として正しいことをしている。
食べる。
喋る。
笑う。
歩く。
外に出る。
温泉に入る。
次の予定を作る。
これは、老後の防衛魔法である。
どこで知り合うのか
高齢者同士は、どこでつながるのか。
よくある導線は、かなり現実的である。
卓球
グラウンドゴルフ
ゲートボール
釣り
囲碁・将棋
体操教室
コーラス
手芸
料理教室
俳句
町内会・自治会
老人クラブ
元職場のOB会
同級生
近所付き合い
シルバー人材センター
地域の健康教室
内閣府の資料でも、高齢者の社会参加では、趣味や健康・スポーツ、町内会・自治会などが重要な導線として扱われている。
つまり、ホテルランチにいる高齢者グループは、急にその場で知り合ったわけではないことが多い。
もともとの趣味、地域、元職場、近所、スポーツ、同級生のつながりがあり、その延長でランチや温泉に来ている。
「今度行こうよ」
「チラシ入ってたよ」
「平日なら安いよ」
「車出すよ」
「温泉もあるらしいよ」
こうして、ホテルランチ会が発生する。
自発的なつながりが大事
ここで大事なのは、自発的なつながりである。
友達とランチに行く。
趣味仲間と温泉に行く。
合わなければ次回は行かない。
自分で参加を選べる。
帰る場所がある。
生活全部を共有しているわけではない。
この距離感がかなり良い。
人間関係は、「人が近くにいれば幸福」という単純なものではない。
自分で距離を選べることが大事である。
老人ホームや施設も、必要な場である。
しかし、「同じ部屋」「同じフロア」「同じテーブル」になっただけで孤独が解決するとは限らない。
相手を選べない。
生活空間から逃げにくい。
生活リズムが合わない。
音や匂いや会話がしんどい。
距離を取りたくても取りにくい。
そうなると、人がいることが逆にストレスになることもある。
自発的なつながりは神経に優しい。
強制された近さは、神経に悪いことがある。
「老後になってから」では遅いこともある
老後のコミュニティは、老後になってから急に作るより、早めに練習しておいた方がいい。
なぜなら、友達づくりも、趣味づくりも、外出習慣も、いきなりは身につかないからである。
一人で外に出る。
散歩する。
釣りをする。
温泉に行く。
ホテルランチに行く。
近所の店を知る。
趣味のコミュニティに顔を出す。
気が合う人とゆるくつながる。
これは、若い時からやってもいい。
むしろ、若いうちから「一人でも楽しめる」「人ともゆるくつながれる」状態を作っておくと、老後の選択肢が増える。
ソロ充は、老後の防衛力でもある。
高齢者向け広告が強い理由
高齢者向けのチラシや雑誌で、ホテルランチ、日帰り温泉、バス旅行、食事会の広告をよく見かける。
これは、かなり合理的である。
高齢者は平日昼に動きやすい。
友達同士で誘いやすい。
温泉と食事の相性が良い。
リピートしやすい。
ホテル側も平日稼働を埋められる。
チラシや地域誌との相性が良い。
ホテル側から見ても、高齢者グループはかなり強い客層である。
その一方で、若い会社員やシフト勤務者は、このルートをあまり使っていないことが多い。
しかし、平日休みや有給があるなら、若い人にもかなり有効である。
人の少ない時間に、広い場所で、食べて、温泉に入る。
これは年齢に関係なく、かなり神経に優しい。
まとめ
平日昼のホテルランチに集まる高齢者たちは、ただ暇をつぶしているだけではない。
外に出る。
友達と会う。
喋る。
食べる。
温泉に入る。
次の予定を作る。
これは、かなり強い老後の生活戦略である。
孤独は、ただ寂しいだけではない。
健康、認知、気分、生活の質に関わる。
だからこそ、元気なうちから、自発的なつながりを持つことが大事である。
趣味。
散歩。
釣り。
卓球。
地域活動。
ホテルランチ。
温泉。
ソロ活。
何でもいい。
大事なのは、自分で選んで行ける場所と、無理なく会える人を持つこと。
高齢者が平日ホテルランチを攻略しているのは、かなり合理的である。
若い人も、もっとこの回復ルートを使っていい。
