空腹は胃だけで決まらない
お腹が空いた。
この感覚は、胃が空になったから起こるように思えます。
たしかに、胃は大きな要素です。
胃に食べ物が入ると、胃が伸びます。
胃が伸びると、物理的な満腹感が出ます。
胃から小腸へ食べ物が出ていくと、その満腹信号は弱くなります。
しかし、空腹は胃だけで決まりません。
空腹は、複数の信号が合わさって起きます。
空腹は合成信号である
「お腹が空いた」は、ざっくり言うと次の合成信号です。
- 胃の中身が減った
- 小腸に栄養が流れなくなった
- 空腹ホルモンが上がった
- 満腹ホルモンが下がった
- 血糖や肝臓のエネルギー状態が変わった
- いつも食べる時間になった
- 匂いや見た目で食欲が出た
- 気分やストレスで食べたくなった
つまり、胃が空になっただけではありません。
胃、小腸、ホルモン、脳、習慣、環境が全部関係します。
胃は一時保管タンク
胃は、食べ物の一時保管タンクです。
食べ物が入ると胃が伸びます。
胃が伸びると、
入っている
という信号が出ます。
これが物理的な満腹感です。
食べ物が胃から十二指腸へ出ていくことを、胃排出といいます。
胃排出が進むと、胃の中は軽くなります。
すると、物理的な満腹感は弱くなります。
食べ放題前に胃を軽くしたい、という感覚はここです。
小腸は栄養センサー
小腸は、ただの通り道ではありません。
栄養を吸収する場所であり、同時に栄養センサーです。
小腸に栄養が入ると、満腹系のホルモンが出ます。
代表的なものに、
- CCK
- GLP-1
- PYY
があります。
これらは、迷走神経や脳に、
まだ食べ物が来ている
もう十分
胃の動きをゆっくりにしよう
という信号を出します。
つまり、胃が少し空いていても、小腸に栄養が流れている間は、空腹が戻りにくいことがあります。
グレリンは空腹寄りのホルモン
空腹を促すホルモンとして有名なのが、グレリンです。
グレリンは主に胃から分泌され、食欲や摂食に関わります。
食後は下がり、食前に上がりやすい。
ただし、グレリンだけで空腹が決まるわけではありません。
胃の伸び、小腸の栄養信号、血糖、習慣、匂い、感情も絡みます。
それでも、グレリンは空腹感を理解する上で大事な部品です。
便秘でもお腹が空く理由
ここで疑問が出ます。
便秘でお腹に便が溜まっているのに、なぜお腹が空くのか。
これは、溜まっている場所が違うからです。
便秘で溜まっているのは、主に大腸や直腸側です。
大腸は、水分調整や便の貯留に関わります。
一方で、空腹を強く左右するのは、胃・小腸・ホルモン・脳です。
だから、大腸に便が残っていても、胃や小腸の食事処理が終わっていれば空腹は出ます。
つまり、
大腸は詰まっている。
でも胃と小腸は空いている。
だから腹は減る。
ということが起こります。
便秘で食欲が落ちることもある
ただし、便秘でも必ず食欲が出るわけではありません。
便秘が強くて、
- 腹部膨満
- ガス
- 吐き気
- 腹痛
- 食べると苦しい感じ
がある場合は、食欲が落ちることがあります。
これは、大腸の詰まり感や膨満感が、食べる気を下げるからです。
また、胃の排出が遅い病態では、少し食べただけで満腹、食後も長く満腹、吐き気、膨満、食欲低下などが起こります。
だから、
- 便秘でもお腹が空く
- 便秘で食欲が落ちる
どちらもあり得ます。
食べ放題前に作りたい「食べられる腹」
食べ放題前に作りたいのは、単なる空腹ではありません。
「食べられる腹」です。
食べられる腹とは、
- 胃が重くない
- 小腸の満腹信号が強くない
- 大腸が張っていない
- 気持ち悪くない
- 体温や疲労が強すぎない
- 食欲が残っている
状態です。
つまり、食べ放題前に避けたいのは、
- 高脂質
- 高食物繊維
- 大量のタンパク質
- 炭酸
- 腹が張るもの
- 直前の高強度運動
です。
胃を軽くするだけではなく、大腸の張りや小腸の満腹信号も考える必要があります。
まとめ
お腹が空いたという感覚は、胃だけで決まりません。
胃の中身。
小腸の栄養信号。
グレリン。
PYY。
GLP-1。
CCK。
血糖。
習慣。
匂い。
気分。
これらが合わさって、空腹感が出ます。
便秘でもお腹が空くのは、大腸に便があっても、胃や小腸が空いていれば食事を求める信号が出るからです。
食べ放題前に目指すべきは、胃腸スカスカの飢餓状態ではありません。
胃は軽い。
小腸の満腹信号は弱い。
大腸は張っていない。
身体は起きている。
この状態です。
